続きです。
後半すぐだそうと考えながら忘れてました。
すいません
注意事項は一個前と一緒です
翌日、初めてステージに立って踊った。
キラキラ輝くきんときの後ろできんときの踊りを引き立てるように動く。
たくさんの拍手を受けたあと、バック段差の方はこちらへ、と控室に通される。
他のダンサーの人たちとは別の場所に通された。
ここどこだろ…最初はきんときの控室だったからわかんないや
「ねぇ、君、新しいバックダンサーだよね?」
「は、はい、そうですけど……」
「君かわいいからさ、僕といいことしない?」
「ひ、ぇあ…?」
目の前に現れた知らない男の人が、怖いことを言いながら自分のズボンのベルトに手をかけた。
何をされるのか、されそうな、嫌なほどわかる。
「ねぇ、いいでしょ?」
「っひ、はぁっ、いや、やら、」
近づいてこられた時に、ドアが開かれる。
スタッフさんが、駆け込んできて、僕と男の人が引き離される。
震えるからだを抑えようとしても頭ではそう思ってても、言うこと聞かなくて……
「琉玖…!!よかった…怪我なくて…っ」
「っ、っ、ふっ、き、とき…」
「大丈夫、ごめんね怖い思いさせて、ごめん、ごめんね…!」
スタッフさんの後ろから駆け出してきたきんときに飛びつかれて抱きしめられる。
不思議だけど怖くなくて、すごく安心する。
抱きしめて謝り続けるきんときの背中の後ろに手を回して、抱きしめ返す。
ピクリと反応したと思ったらもっとぎゅーっと抱きしめられた。
すごく心が安らぐ、でも心臓がバクバクしてあつい。
変な、かんじ
「………琉玖、気持ち悪かったら突き飛ばしていいから」
「へ、?」
「……俺ね、琉玖、のこと初めてみたときから好きなの…恋愛的に、」
「……………」
「だから、友達からでもいいから、俺のそばにいてほしい。」
静かに淡々と伝えるきんとき。
その言葉が少し嬉しいようなびっくりするような…でも答えは一つだった。
「…いぃよ…」
「僕、も、奏斗のこと、好き、大好き」
「……だから、友達じゃなくて、恋人にして…」
「っ、いいのっ…?」
「僕嘘言わないよ」
「………ありがと…!」
そんなこんなで僕は、推しと恋人になりました。
――――――――――――
僕らが恋人になって半年、学校に行きつつ、踊りの練習をしてライブに行く日々。
たまに恋人らしいこともした。
服のしたは、湿布やら絆創膏やらが大量にある。
服が擦れて仕事に支障が出るから、前は開発されなかった。
というか、まだ処女卒業すらしてない。やったのはキスとハグくらい。
「今日終わったらこのツアー終わりだから次一ヶ月は仕事ないし、夏休みはいるからうちおいでよ!」
「わかった行く〜」
「今度こそいっぱいイチャイチャしよーね!」
楽しい未来の話をしながらバックヤードに立つ。
「それじゃ、幸運を」
「きんときこそ」
2人でグータッチをして別れる。
いざステージが始まると曲が流れて、それに合わせてバックダンサーとしてきんときの引き立て役として動いて踊る。
今日は踊ったあと、同じツアーで場所が被ったアイドルさんとお話する時間があるから、その間バックダンサーは待機なんだ。
でも、僕はバックヤードで待つ。
最近きんさんはつかれてるから僕が最初に迎えてあげなきゃ。
コラボ相手とのトークが聞こえる。
そっと舞台の方を覗くと、いつの間にか全員がハケてファンサタイムが終わった頃だった。
今日も平和に終わるかと思ったら、ステージに知らない人が侵入していて、手にはカッターを持っていた。
気づいたきんときだったけど、ファンじゃない人間が怖いみたいで、足が震えてる。
その人はカッターを持ってきんときの方に走った。
その瞬間僕はバックヤードから駆け出した。
きんときを庇うように前に飛び出して、タオルをぶつける。
その間にきんときを引っ張ってバックヤード近くまで連れてきて、軽く腰を支えながら座らせる。
体も酷く震えてるし、顔も真っ青、腰が抜けちゃってるみたい。
ステージの方を振り返ると守衛さんが知らない人を取り押さえていて、安心した。
へたり込むきんときにいつものジャージをはおらせて、姫抱きにする。
「スタッフさん、後で彼の控室に水とタオルとビニール袋届けてください、少し休ませます。」
「わかりました、お願いします、」
足早に控室に走る。
相変わらず体の震えは止まっていなくて、顔色も最悪だ。
「はっ、はっ、はうっ、ひゅっ、ひゅぅ、」
「奏斗、奏斗、聞こえてる?大丈夫だから、控室で休もうね。」
「ぁぅ…っひう…ひゅっ、はひゅ」
じわじわ浅くなっていく呼吸。
可哀想なほど怯えてしまっていた。僕にすがるように服をつかむ弱々しい手。
控室に着いてすぐ、座敷に壁を背もたれに座らせる。
「はっ、はっ、はひゅっ、かひゅっ、ひゅー……っひぅ…ひュー…」
「奏斗、僕の声聞こえる?聞こえてたら何でもいいから僕に合図ちょうだい?」
細く、不安定な呼吸を繰り返すきんときに声をかけながら背中をなでる。少しだけ、手が握り込まれる。その力は弱々しく、震えている。
「大丈夫、大丈夫、僕が守ってあげるからね、よしよし…」
「っひゅ、はふ……ふー、っひ、…る、く…」
「…!聞こえてるね、僕の心臓の音聞こえる?」
「…んっ、」
「一緒に背中も撫でるから、合わせやすい方に合わせて呼吸できる?」
「…っ……る、く……るくのこえ、も、…」
「ん、いいよ、吸って、はいて……吸って……吐いて………」
甘えん坊なきんときに優しく接して、背中を擦りながら声もかけ続ける。
ぐりぐりと僕の胸元に頭を擦り付けて、しばらくすると落ち着いてきた。
しばらくすると、ノックの音がして、頼んだものが届いた。
「ん、るく、」
「どうしたの?」
「きもち、わるぃ……」
「吐きそう?」
「ん、はく……」
「いいよ、はい」
吐きそう、と口を押さえるきんときにビニール袋を差し出して、持たせる。
吐きやすいように、背中をさすってやる。
「っ、う”、おぇ、げぇ…げほっこふっ、」
「大丈夫、ゆっくりでいいからね」
「ぇ”ほっ…ごぶっ、お”ぇ”ぇッッ、げほっけほ、はぁっ、はぁ…」
「口ゆすぎな、ごっくんしちゃだめだよ」
お水を一口口に入れてうがいをさせる。
しっかり吐き出したのを見て袋の口をきつく縛り、タオルで口を拭いて、僕が予備で持ってきていた服を着せて座敷に寝かせる。
首が痛くならないように新しいタオルで枕を作る。
疲れ果ててしまったのか、眠っているが、苦しそうな顔で眠っていた。
しばらく寝かせてあげよう。
大丈夫、と頭の中で自分ときんときに言い聞かせながら起こさないように優しく黒髪を撫でた。
――――――――――――
「琉玖、さっきはありがと」
帰りの車でそう言われる。
「僕ら恋人なんだから、当たり前だよ」
「ほんと、無事でよかった…!」
そうにっこり笑い返すと、疲れているが笑顔が返ってくる。
まだ怖いのか運転してる人が動くたび、怯えている。
落ち着いていられるように、体を抱きしめてあげながら、車がホテルに着くのを待っていた。
――――――――――――
「奏斗、ココアのむ?」
「ぅんっ、のむっ」
「はい、熱いから気をつけて」
布団にくるまるきんときに、ココアを差し出す。
ちびちびとココアを飲みながらテレビで映画を見ている。
その隣に座ると、ぽすんっと肩に頭が乗る。しばらくすると小さく落ち着いた寝息が聞こえる。
すっかり疲れ切っていたみたいだ。安らかな寝顔を見せるきんときのおでこに、一つキスを落とした。
――――――――――――
『__次のニュースです。
ソロアイドル”きんとき”さんがライブ終了時に不審者に襲われる事件が起こりました。犯人は無事逮捕され、きんときさんや、その他関係者に怪我はなかったそうです。
この事件を受け、きんときさんは2ヶ月間の活動休止を発表しており____』
「奏斗、おはよおきれそう?」
「んぅ………琉玖ぅ、…?」
「そうだよ、おはよ、ご飯できてるけど今日は食べられそう?」
「おなか、すぃた、」
「じゃあご飯食べよっか」
「ん、」
今日も僕らの家には幸せな平和が訪れています。
設定と一緒にちっちゃい短編詰めを出しちゃいます。
ちょっと楽しくなってきてます…w
コメント
2件
わぁーー!!仕事がお早いこと…、神作ありがとうございました😭😭brknになるの好きすぎます!