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【🦁×🐇♀】1秒だけ、もう一度抱きしめられたら。
幸せだった。
あの人が私のそばにいてくれてる1秒、1秒が幸せだった。
あの日私に笑ってくれた日。
あの日私と一緒に泣いた日。
あの日互いに愛し合った日。
どれも全部かけがえのない、大切な思い出で大切な時間だったと思う。
…それなのに、それなのに…
私を捨てて、先にいってしまった貴方。
白♀「…悠くん…ッ…?」
水♀「…初兎ちゃん…?」
白♀「…ねぇ、いむちゃん!さっき悠くんがッッ…!!」
水♀「…ッ……、そっ…か…」
水♀「アニキ、来てくれた…?」
間違いなく視界で捉えたと思ったはずなのにすぐに居なくなってしまう。
いつもそうだ、私が貴方を見つけたとして、友人に伝えたその数秒でフラッと音沙汰もなく居なくなってしまう。
まるで泡となって空気に溶けてしまったみたいに――。
水♀「ねぇ、初兎ちゃん…」
白♀「…ん?」
水♀「…アニキはね………アニキはッッ……」
白♀「…悠くんはおるよ、しっかり。」
水♀「っ、でも…!!」
次にいむちゃんが発す言葉が怖くて、どうしても話す言葉を遮ってしまう。
本当はアカンことだってわかっている。
人の話は最後まで聞けって…そんなんわかってるやろうけどって、笑って付け加えてくれた。
貴方が…貴方が教えてくれたことだから胸に刻みこまれている。
白♀「そんなんわかっとるよッ……」
白♀「私だってッッ……」
水♀「ッ…ごめん…、初兎ちゃんッ……」
白♀「ウチやって…悠くんともっと笑っていたかったッ…」
白♀「もっと笑って美味いご飯食べて…、喧嘩も涙もしたかったよッッ……」
白♀「一緒に歳を取りたかった…しわくちゃになった手を握って2人でタヒを感じたかった…」
気づいたら言葉が溢れ出てくる。
喋ってるウチでさえ、止めることのできずただただ虚空に言葉を八つ当たりみたくぶつけているだけだった。
悠くんにも、いむちゃんにも言ってるわけじゃない。
…ただただこの気持ちを発散してしまいたかった。
水♀「…初兎ちゃん。」
白♀「もっと歌って、一緒に料理もしたかった……」
水♀「初兎ちゃん。」
白♀「体調を崩した日は一緒に支え合いたかった……」
水♀「初兎ちゃん!!」
目の前の彼女がそう大きくウチの名前を呼ぶ。
自暴自棄になってしまったウチを現実世界に取り戻してくれたみたいなほわほわした気持ちになる。
嗚呼、このまま自暴自棄になってしまっていれば悠くんのもとにいけたのかな。
水♀「…だめだよ、アニキのために生きないと。」
白♀「…ぁッ……」
水♀「そんな初兎ちゃんじゃアニキに嫌われちゃうよ…?」
そういって彼女に抱きしめられた温もりはここ数年生きてきても感じられなかった温かさで、どこか懐かしさを感じる温かさだった。
end
コメント
2件
感動なんですけど.....🥺 水ちゃんが白ちゃんの側に居てあげるの優しい.....🫰💕