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krsm
兄弟パロ、幼児化あり
「ねぇ兄ちゃん、おれサンタをつかまえたいんだけど」
「……え?」
クリスマスイブの夜7時、弟のスマイルが意味わからないことを言いだした。
まさかこいつ、サンタを信じている純粋な少年なのか。
「兄ちゃんサンタみたことある?」
「いや、ないけど」
「じゃあさくせんかいぎしよう」
スマイルはどうやら本気らしい。俺の困惑も露知らず、スマイルはどこからか持ってきたA4の真っ白な紙を広げだした。その一番上に拙い字で【さくせんかいぎ】と書き出した
「サンタってどこからいえに来るの?」
「……玄関じゃないかな」
「じゃあげんかんにわなをしかけよう」
「それじゃあサンタがプレゼント持ってきてくれないんじゃない?」
「あっ」
まるで盲点だったと言わんばかりに驚いている。どうやらプレゼントは重要らしい。
「だからさ、ツリーの前に罠を仕掛けたらどう」
「そうすれば、プレゼントを置いた後に罠にかかるはずだよ」
「それいいね!」
「じゃあどんなのがいいかな」
まさかの、俺の考えた案が通ってしまった。そんなに画期的な案でも無かった気がするけど、どうなんだろうか
「サンタのすきなたべものってなんだろ」
「あー……クッキーと牛乳はよく聞くけどね」
「それおいといて、たべてるあいだにつかまえる」
「クッキーある?」
「探してくるから、ちょっと待ってて」
急いでキッチンまで行き、戸棚を開ける。いくつかの菓子の中にチョコチップクッキーが1箱あった。これでいいか。
「あったよ?」
スマイルにそれを見せると、分かりやすく目を輝かせ始めた
「それつかおう!」
「まぁいいんじゃない?」
「さくせんきまりだ!」
二人で皿にクッキーを出して、クリスマスツリーのそばに置く。もちろん牛乳もコップに入れて一緒に置いた。少し前にスマイルが飾り付けしたクリスマスツリーには、自分で作ったであろうオーナメントも飾られていた。
くだらないと思っていたけど、案外熱中してしまっているのがちょっと悔しい。
「スマイルさ、この後起きれるの?」
「兄ちゃんがおこして」
「えぇ、やだよ」
「だめ。ぜったいにおこして」
「はいはい」
どこまでもこいつは他力本願だ。そういう奴だという事はよく知っている。
「じゃあおれ、いいこだからはやくねるね」
「おやすみ、兄ちゃん!」
バタバタと寝室へ駆けていく後ろ姿を眺める。いつもは9時過ぎに寝るのに、今はまだ8時だ。きっと、相当サンタクロースを待ち望んでいるのだろう。
さて、俺はどうしようか。まずはサンタと協力して、一箱分のクッキーを食べきる必要がある。
彼の夢を守るためにも、起こしてはいけない。きっと明日の朝、サンタを捕まえられなかったことを悔しがるだろう。でもそれでいいはずだ。子供の頃ぐらいは、夢を見させてあげたい。それに、すぐにプレゼントを見つけてそんなことどうでもよくなるはずだ。
メリークリスマス。いい夢見てね。