コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
お盆の昼下がりに僕はコンビニに向かった。
今年の夏は特に暑くて、今日を生きた自分へのご褒美に甘くて冷たいアイスを1つと炭酸飲料を買って近くの公園で一服するのが最近の楽しみになっている。
が、今日はコンビニで偶然同じクラスの女の子に出会ってしまった。まぁ、高校の近くのコンビニに通っているから当然ではあるけども。
「ここでよくアイスを買うの?」
ニコリと笑ってアイスを吟味しながら僕に質問をしてきた。僕は軽く会釈をするとその子は僕の隣に来て
「今年は暑いもんね、おすすめのアイスとかある?」
正直、今食べたいと思った物を買うのがポリシーなのでオススメなんてないがその子のさっぱりした性格からなんとなく青いシャーベットを渡した。そして僕も、おすすめしているのに選ばない訳にはいかないし同じシャーベットを買った。
僕はいつも通り買ったシャーベットとジュースを片手にいつもの公園のベンチに座った。
…その女の子と。
「なんで着いてきてるんですか」
「なんでって、アイス食べたいじゃん」
「…1人でコンビニに来たの?」
「そうだよ、君もでしょ?」
「まぁ、友達とか居ないんでね」
この子とよく話していた友達が頭に浮かぶ。そういえば、あの友達たちとは一緒じゃないのか。
「私も、今日は1人で居たかったから」
「お邪魔しました」
「いいのいいの」
ニコリと笑い、少し緩くなったシャーベットを食べる。夕日が赤色を匂わせる程度に赤みを帯び始めた。
「ん〜冷たい」
「最高の気分だよな」
「うん、とっても」
軽く言葉を挟んで、またこの冷たい物を口に入れる。嬉しかった。単純に、自分の選んだアイスで喜んでもらえてるから。…別に、僕が選んだアイスだからというわけではないが。
「…実はね」
「?」
「私、告白して、振られちゃったの」
「え」
何故、これを僕に話すのか。その時の僕は分からなかったけど、今思うと全く知らない人に言う方が気が楽というものなんだろうな。
「振られて、悲しくなって、そのままフラフラしてたらさ、君がコンビニに入っていくから、着いて行ったの」
「うん」
空はほとんどオレンジ色になり、風が心地よく感じる。
「色々考えてさ、告白してさ、綺麗に断られて、これからどうすればいいかなって悩んでて」
「うん」
「楽しそうにアイスを選ぶ君をみて、羨ましくて、つい、同じアイスを食べてみたんだ」
「そのアイスで良かった?」
「んー、全く味がしなかった!」
「そうかー、僕は結構好きなんだけどな」
「辛くて味わかんないって意味なんだけど」
「今、美味しいアイスを食べて機嫌がいいからいくらでも話聞くよ」
「え?」
「そのアイス、美味しく食べたいでしょ?」
日が沈むまで、その子の話を聞いた。
空も微かにオレンジを感じ取れるが、暗く、もう帰るべき頃になる。
ボロボロと泣きながら聞く彼女の胸の内はとてもーーで、ーーーーーーだった。
「ありがとう、聞いてくれて」
「いいよいいよ、で、どう?アイス」
「んー…」
「もう溶けきって美味しくない」