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駅まで戻るタクシーの中で、こっそり鞄を開け、封筒の中を確かめると、札束の真ん中に細い紙の帯が巻かれた物だった。銀行からまっさらの札束として出た物そのままだ。
本山の高僧たちのお供をした時、そういう物を見かけた事は正源にもあった。だが、自分がそんな物を実際に手にする日が来るとは夢にも考えた事はなかった。
正源はその思いがけない臨時収入で、まず相当見てくれが悪くなっていた寺の本堂の外壁を塗り直してもらった。
残った金で思い切って専門の業者に依頼し、自分の寺のウェッブサイトを開設してもらった。ウェッブサイトを開いている有名な寺社仏閣はもう何十年も前からあるが、正源の寺のような零細寺院には高嶺の花だった。
十月一日にウェッブサイトをオープンすると、段々寺の評判が変わり始めた。
「ロボットを供養してくれるお坊さん」として、正源は一部のネットユーザーの間で話題になり始め、その月の中旬には五軒もロボットの供養の依頼が来た。
先月ほどの大金持ちでこそなかったが、それなりに裕福な家だったようで、やはり介護用ロボットの供養だった。
一軒あたりの布施の額はびっくり仰天する程でもなかったが、正源の寺にとっては馬鹿にならない収入で、火の車だった寺の経営は、少なくとも月末が近づくたびに正源が頭を抱える必要はないという程度には潤っていった。
十月の下旬には、寺にロボットを持ち込んで供養してもらいたいという依頼があり、どこで聞きつけたのか、テレビ局がその様子を取材したいと言って来た。
正源は迷ったが、近くの商店街の高齢の女店主にその話をすると、目を輝かせてこう言われた。
「ご住職さん、それ絶対受けてよ。地元のお寺がテレビに出るなんて、あたしらも鼻が高いし、それにほら、この商店街にとってもいい宣伝になるじゃない」
結局正源はテレビ局の申し出を受けた。最初に運送業者がドローンで介護用ロボットを搬入するところから、供養の儀の一部始終をテレビ局のカメラマンが撮影した。
バラエティ番組で放送されたのは、ほんの三分間だけだったが、それ以前は一カ月で五百円にも満たなかった寺の賽銭箱の中身が、放送直後の一週で数万円に達していた。
ほとんどは物珍しさの訪問者だろうが、正源の寺の金回りは飛躍的によくなっていった。正源は本堂の屋根をふき替え、本尊の仏像の金箔を張り替えた。
コメント
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第20話読みました!ロボット供養でお寺がどんどん良い方向に変わっていく展開、すごくほっこりしました。特にテレビ取材の話を聞いて「受けてよ!」って言う商店街のおばあちゃんのセリフがなんか好き。地元を大事にする温かさが伝わってきました。賽銭箱が500円から数万円になったシーン、正源さんの苦労が報われた感じがして、じんわり来ました。作品のダークな雰囲気の中にも、こういう希望の光が差し込むところが素敵だと思います🤍