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4 - 三話 自分自身の嘘

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2022年04月04日

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誰もいない静かな帰り道は初めてではない。きんときが学級委員の集会があるときは、大体一人で帰っていた。そもそもきんときと友達になる前は一人だった。そんな静寂が響き渡る時間は嫌いじゃなかった。


なのに、なんでこんなに僕の心は空っぽなんだろう。


早退を選んだのは僕の意志だ。紛れもない僕の意志。なのに、横から温もりを感じることが出来なくてそれだけ…それだけの筈なのに僕の心は風を通す。

それが叫びだと言うことを理解しながら、薄っぺらい思考を回し心に蓋をする。


何を考えるかと言われればスマイルのことだろう。保健室登校。教室への登校拒否。一年も二年も、同じクラスになった記憶はない。いつから不登校なのだろう。


そんなことを考え出した内に家に着く。


「ただいまー…。」


誰もいない家に声をかけた。誰もいないのになぜ言うのかと問われても、習慣となってしまった今では止めようと思っても難しいことだろう。そういば”彼”がよくやってたことだったな。それを真似してるだけか。


「…頭痛で帰って来たし昼ごはんも食べたし……仮眠でもとろっかな。」


制服姿から部屋着に着替え、制服を乱雑に放り、布団に潜り込み目を閉じた。



今日は、夢を見なかった。




「ぅ……ぅん………。」


…ああ…早退してそのまま仮眠とったんだっけ。今何……あ………めっちゃ寝てる…。


「…もう夕ご飯の時間だ……。…行きたくないな。」


両親と顔を合わせたくなかった。


「…まだ寝たふりしてよ。」


両親が食事を終えた後に行けば良い。…のかな。

何故かその行動を否定する僕がいた。自分に嘘をついているようで、逃げているようで、そんなことはしたくないと願う僕がいた。


「…食べ行こ…。」



自分の在り方だけは変えたく無かったのかもしれない。


そうしないと自分がやってきたことが無意味になるような気がして————

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