階段を降りて直ぐのドアノブは布団の中と違いかなり冷たかった。
「あら、Broooockおはよう。」
「…あ、うんおはよう。」
「早退したって聞いたけど…大丈夫?」
「うん。」
母の目は苦手だ。まるで全てを理解しているようで、僕の心情なんて全てお見通しであるかのように、僕の目を覗いてくるから。
今の僕の気持ち…分かってるのかな。
「あ、夕飯用意してあるわよ。食べれる?」
「うん。食べる。」
こんな短い会話でもきっと母は色々考えていてくれているんだろう。僕が何も言わないから。普段通りに振る舞っているから。きっと母もいつも通りにしているのだろう。そう思うと何かが込み上げてくるような気がして目尻が熱くなる。
「いただきます。」
そんな感情を隠すようにスープに手をつける。温かく甘みのある味。
…降りてきて正解だったかも。そう思った瞬間だった。そんな考えを吹き飛ばす、母の一言が放たれたのは。
「きんとき君がね。ほら、面倒見てくれる親御さんが居ないから。暫く祖父母の家に行くって…可哀想よね。まだ幼いの…Broooock?」
…ねぇ。
僕のことよりきんときのことなの?なんで?なんで?なんで僕じゃなくてあいつの話なの?僕は正しいんだ正しいことをして、それできnときを助けてkんtきが助かってそれで…それで僕は悪く無い悪く無い悪く無いあいつが可笑しい僕を責める?なんで?なんで?母はなんでそんなやつのこと心配してるの?ねぇ?ねぇ?ねぇ?ねぇ?なんでなんでどうして…
「ぶ…Broooock……?」
こちらを見つめる瞳と視線が重なった。僕と同じ。いや、それより少し濃い青の瞳が。あいつと似てる瞳が。とても忌々しく思える。
僕の考えなんてあの瞳なんかで…分かる訳がない。
「…ご馳走様。」
「Broooock!」
「…なに…あんま食欲無いんだけど。…部屋戻るから。」
「あ………」
…なんかついさっきこんな光景があったような気がする。そうだ。そういえばknとkにも教室出る時に言われたっけ。
そんなことを考えながらドアノブを思いっきり突き放し階段を駆け上がる。
「っ……ぐすっ…うっ……ぐすっ……」
込み上げてくるのを止められない。とめどなく溢れ出てくる。止まる気にもなれない。
こんなの不公平だ…神様がいるならほんとにいるなら…助けてくれてもいいじゃないか…こんなにこんなに頑張っているんだから……
目尻から溢れる雫は一瞬だけ光を強く反射してから地についた。
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もしかしなくても文才の塊やんk