その後、ずっと距離を置いてきて、何の変哲もない日々を過ごしていって。ただ勉強して、適当に運動して、適当に遊んで、適当にご飯食べて。ちょっとだけ夕波がちらついて。普通の生活を送っていた。だが、ある日のことだった。玄関に
“放課後、近くの公園に来てくれますか?話したいことがあります。”
という内容の紙が置かれていた。名前は書いてなかったが、字から見て間違いなく夕波だった。
放課後。
僕は約束通り公園に向かっていた。するとやはり夕波が立っていて、気まずそうな顔でこちらを向いた。
「あ…こっち、だよ、如月さん。」
「…君なんだ。僕を呼んだの。」
ホントは謝りたかったが口に出せずにいると、夕波が口を開く。
「あのさ、ごめんね。」
「…え?」
予想外の言葉に、僕は目を開く。そして―
「中学の時、離れちゃってごめん。私―」
嘘だ。嘘だ。そんなわけがない。そんな言葉が頭に入り
「じゃあ、あの『いじめ』は何だったの?ねえ。」
「違う。違うの。あれは―」
やめて。そんなことは僕が一番知ってる。どうしてあんな嫌いだったのに、夕波に希望を信じてるんだろう。
「もういいよ。西園寺さん。それは僕は―」
そうやって僕は雄はの前から消えようとする。すると―
「優希。」
「……え?え?」
「私、さ。優希のこと、好きだったんだよ。ああやって離れてから、気がついた。最初は、見捨てたことから逃げようとした、けど―」
「大好き。優希。」
僕の名前を呼ぶ夕波の目には涙が浮かんでいた。
「名前を呼んであげるから。もっと。もっと。聞かせてよ。優希の心を。」
「っ…ゆ、夕波…」
泣かないと決めようとしたときにはもう既に涙がこぼれていた。
そして気付いた。恐らく僕は、夕波が好きなんだ。
「…夕波。大好きだよ。」
「うん。優希。」
とある高校生のお話。何の変哲も無い女の子の話。『大嫌い』から始まる、恋のお話。そんな話が、今日終わった。
【あとがき】
楽しかった!終わり。(終われ)
完結です!ありがとうございました!
コメント
3件
う″お″ぉ 泣 何てハッピーエンドなんだよぉおお最高かよぉ … 神様ですか?