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#恋愛
アウラウラ
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私はあの後すぐに帰路につき、誰もいない自宅に着いた。
ひとり暮らしには少し広いアパートだ。
誰もいないけれど、一応「ただいま〜」と言う。
手洗いうがいをして部屋に荷物を置き、リビングでタブレットを開いて、ぽちぽちとチャットアプリに連絡を打ち込んでいく。送信ボタンを押して、連絡を済ませた。
眠くはなかったが、夢を見る時間を長くするために21時には布団の中に入り、夢へ落ちた。
「ここ、は……」
落ちてすぐ、異変に気づいた。
「これは明晰夢だ」、と。
私は基本的に夢を見ないので、これは多分ばりばりに遭遇する夢。
ばりばりは、逃げなければ頭蓋骨を食べられて死ぬ夢。
見つかる前に少しの調査を済ませようと、周りを探索した。
「うわ、これは……想像以上……」
ばりばりは、学校の校舎内で追いかけてくる。追いかけられる前も校舎内なので、教室内などに死体があると思い見てみたらビンゴだった。「鉄の匂いきっつい……」
私が初めて人間を殺した時の記憶が蘇る。
自分の領地に人間が入ってくる不快感。
片付けるのが面倒なバラバラの死体。
鉄の嫌な匂い。
「っと、いけないいけない……黒尾先輩に言われたことは確認し終わったし余計なことを考えてないで逃げるか……」
曲がり角に、ばりばりと思われるものがいた。
私はそれを見た瞬間に走り出し、ばりばりも私に向かって走ってきていた。
私は中高で全国常連の運動部だった。
体力には自慢があるし、記事を見た感じ逃げられそうだった。
しかし、ここで誤算が生じた。
私以外にも、迷い込んだ人間がいたのだ。
そいつは教室の窓から顔を出し、私に声をかけた。
「おいそこのお前!ここがどこか分かるか!?」
「ちっ……ここは“ばりばり”の夢の中、早く逃げないと死ぬよ、おっさん」
そう言っても、そいつは聞く耳を持たない。
「俺はこの部屋の中で隠れて逃げ切ってやる!」
ただその人間は、あとになって後悔することとなる。
私を追いかけてきたばりばりが、視認できる範囲までやってきていた。
ばりばりは私には目もくれず、
男の頭を、ばりばりという効果音を立てながら食べ始めた。
「あああああああ!!!」
男の絶叫が校舎に響き渡ったが、だんだんと小さくなり、ついにすべて噛み砕かれて消えた。
「あーあ、自業自得……そりゃあ自分のテリトリーに誰かが迷い込んできたら嫌だよね」
私はその間に1階へと逃げ、校舎の外に出た。
「私の勝ちだよね、─────」
ほどなくして、夢から醒めた。
無事、五体満足で帰ってこれた。
時間は3:34。まだ深夜と呼ばれる時間帯だが眠くはないので、調査結果をまとめて情報収集をすることにした。
都市伝説同好会のチャットに「無事です」という言葉を送り、別のページを開いた。
調べていたら、朝が来た。
今日は1限から講義があるので、少し早めに出発する。冷蔵庫から栄養ドリンクとゼリーを取り出して、それぞれを飲んだ。
そろそろ買い足さなきゃな……と思っていると、都市伝説同好会のチャットに通知が来ていた。
「無事でよかった。あとでいろいろ話は聞く」と黒尾先輩から、「お前逃げ切れたのか、すげえなあ」と夜久先輩から連絡が来ていたが、そのまま放置して家を出た。
アパートの最寄り駅から3駅の場所に、私が通う大学がある。
スマホを操作しながら電車に揺られていると、驚きのネットニュースを見つけた。
“都内の廃小学校で積み上げられた頭のない死体を発見 行方不明事件の被害者か”という題名のその記事は、写真こそないものの残虐な光景が思い浮かぶような内容だった。Twitterを見ると「ばりばりは頭だけを食べる怪異。今回の事件はばりばりが、食べた残りの要らない部位を捨てたのではないか」という予想が立てられていた。その考え方の人、大正解です。よくお分かりで。
そんなことを思っていると、最寄り駅の到着を知らせるアナウンスが鳴り、私は急いで電車から降りて、大学への道を歩く。
「おー、篠宮、よく無事だったなあ」「うるさいです殺しますよ」「殺すのはやめてくれ」途中で黒尾先輩と遭遇し、軽口を叩きながら歩く。
「そういえばお前、眠くないの?」
「え?」素っ頓狂な声が出た。「いやお前3:30くらいに起きたんだろ?そのあとも起きてたみたいだし眠いんじゃないかなと思ってな」「ああ、別に眠くないですよ」「へえ……」
大学に到着し、黒尾先輩と別れて講義室へ向かう。
まだ講義室には誰もいなかった。
調べ物をしていたら、講義が始まる時間になっていた。
いつの間にか他の人たちも来ていて、周りにはかなりの人がいた。
講義が終わり、ぞろぞろと退出していく人を見ながら荷物を片付け、都市伝説同好会へ向かう。
今日は用事があるので短い時間だけだが、報告のために行くしかない。
「篠宮です、入ります」と声をかけて部屋に入ると、夜久先輩、孤爪くん、黒尾先輩の3人がいた。
「あ、楓。無事だったんだね」「私がこんなところで死ぬとでも?」
「とりあえず篠宮、感想と発見の発表よろしく」
黒尾先輩に言われたので、ホワイトボードの前に立って説明を始めた。
「ばりばりは、小学校の校舎内で捕まったら頭をばりばりと食べられる夢です」
「空いた教室に体は詰め込まれてましたね、鉄の匂いがキツかったです」
「でまあ感想は置いておいて……」
「まあ私の目の前で1人殺されて食われてたけどそれ見て逃げ切れましたよと」
「そのくらいですかね〜」
だいたい話し終わって3人を見ると、引いたような目をしていた。
「?どうしました?」「お前目の前で人が殺されてよく平然としてられるよな……」「人間、キモっ……」「流石に篠宮はばけもんすぎるだろ……」
と一通り(納得は行っていないが)罵倒されたところで、用事について伝える。基本的に緩いので別に報告しなくてもいいが、業務連絡は大事だ。「あ、今日は用事あるので早く抜けますね」「りょーかーい」
「じゃあ、講義に行ってきますね」
そう言って3限目の講義に向かった。
篠宮が講義に向かい、部屋に取り残されたのは俺と研磨とやっくんだけになった。
「それにしても篠宮は本当にすごいよなぁ、目の前で人が殺されて普通でいられるなんて」「やっくんそれ感動するところじゃない、怖がるところ」
なんて雑談したり課題をしていたりして、篠宮が帰ってくるのを待っていた。
数十分後、扉がノックされた。
「入っていいですよ〜」と言うとドアが開き、男が入ってきた。
「楓ちゃん、いますか?……まだいないか」そう呟いた男を見て、俺たちは戦闘態勢に入った。
「お前、何者?」俺たちは、基本的に“怪異”が分かる。自分が怪異だということを巧妙に隠しているやつは分からないが。
怪異であれば、「こいつは、何人も人を殺している」とすぐに気付けるくらいの血の匂い。
「俺か?俺は」
「───────“ばりばり”だよ」
「まあ楓ちゃんの幼馴染でもあるんだけどな」
男は、衝撃的な言葉を発した。
「幼馴染って……篠宮はお前が“ばりばり”だってこと、知ってんのかよ」「さあ?どうだろうな」
「ッこいつッ……」
研磨は手だけを猫にして、やっくんはいつでも8番出口を展開できるように準備。俺は手を針金にして、男に飛びかかろうとした。その時
「篠宮です、戻りました〜……」
という声が聞こえ、俺たちは慌てて止まった。
「あれ?つかささん、もう来てたんだ」
「……楓、知り合い?」
「うん、幼馴染の飯綱掌さん。迎えに来てくれたんだ」「ふーん……」
研磨が篠宮を守るように立っていた。
「楓ちゃん、2人が待ってるから帰ろう」「そうだね、じゃあ先輩方、研磨くん、また明日!」「じゃあな」
篠宮は俺たちに手を振り、部屋を出て行った。
(ばりばり……もっと調べてみるか……)
俺は、パソコンを起動させた。
コメント
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これはオッタマゲーション ゾクゾクするホラーをありがとう
うわ、第4話読み終えたよ!今回も緊張感がすごかった…「ばりばり」の夢の中で目の前で人が食べられる描写、生々しくてゾッとした。でも主人公の楓ちゃん、平然としすぎてて逆に怖い(笑)ラストの幼馴染・つかささんがまさか“ばりばり”本人だったとは…!「知ってるのか知らないのか」も気になるし、伏線の張り方がうまいなあ。次が待ち遠しい!