更衣室には既に私のお茶子ちゃん以外の女子全員が集まっていた。
「きたきた!
待ってたよ2人とも。」
ピンクの髪に角が生えている女の子が話しかけてきた。
「今みんなでね、自己紹介しよって話してたの。
どうせなら全員揃ってからがいいじゃん!」
って、透明の女の子。
「やろやろ!
私達もやりたいねって話してたとこなの。」
私とお茶子ちゃんも着替え始めながら返す。「じゃあ私から!
私、葉隠透!
個性は透明化。
見た目の通り透明になる!」
「次は私、芦戸三奈!
個性は酸!
体から溶解液が出せる!」
「次、言わせてもらうわね。
蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで。
個性は蛙よ。
蛙っぽいことが色々できるわ。」
「次うちか。
うちは耳郎響香。
個性はイヤホンジャック。
これで心音を衝撃波として放つことができる。あとどこかに刺せば小さい音とか聞き取れるから詮索には役立てると思う。」
長い耳たぶを指さしながら言う。
「ではわたくしも。
八百万百と申します。
個性は創造。
様々な無機物を生成することができます。」「じゃあ次は私!
麗日お茶子です!
個性は無重力。
触ったものを無重力にできる!」
「最後は私か。
私は九重梓だよ。
個性は時空。
時間と空間に干渉して操るって感じ。
基本は治療に使ってるよ。
あと、みんなのこと名前で呼んでもいいかな?仲良くなりたい!」
女子は7人しかいないからすぐに自己紹介は終わった。
私の問いかけにみんなもちろんと頷いてくれる。
「いいに決まってるよ!
それかせっかくなら女子全員名前呼びにしない?
仲深まるし!」
三奈ちゃんがそう言ってくれた。
「そうね。」
と梅雨ちゃん。
「そうしよ〜。」
と透ちゃん。
「いいね。」
と響香ちゃん。
「いい考えですわね。」
と百ちゃん。
「いいと思う!」
とお茶子ちゃん。
「やった!
みんなと仲良くなれて嬉しいよ!」
これからも一緒に頑張っていく仲間だもんね。「そういえば、百と梓は推薦入学なの?」
透ちゃんが着替えながら聞いてきた。
「そうですね。
わたくしは普通の推薦ですが、梓さんは特別なのでしょう?
先程のテストも座って見学していましたし。
相澤先生の説明だけではあまり分からなかったのですが、説明して頂いてもよろしいでしょうか?」
百ちゃんは首を傾げてこちらを見る。
「えっとね。私の個性が治癒が可能な個性だから、それをリカバリーガールが買って弟子にしてくれたの。
他の医療系の学校に進学するよりも実戦経験が詰めることとか、リカバリーガールの弟子としていつでも控えていられることとか、個性を狙ってくる敵から守りやすいとかが理由で推薦出してくれたらしい。
特別推薦っていっても普通の推薦とあんまり変わらないと思うよ。
ただ、医療系の学習と課題が増えるとか、成績の付け方が少し特殊になるとか。
私、ヒーローになる訳じゃないし、運動とか激しい動きはまったく出来ないから訓練も参加しないし。
でも、みんなが怪我した時は治すからいつでも言ってね!」
説明になったかよく分からないがとりあえずわかることを言っておいた。
「結構梓ってすごいんだ。
相澤先生の説明だけじゃいまいちだったけどそういうことだったんだね。」
良かった。
響香ちゃんを始め全員に分かって貰えたみたいだ。
「あっ!
私、緑谷君を保健室に連れてかなきゃ。
ってことでもう行くね!」
思い出したよ。
早く行かなきゃ。
「なんか梓ちゃんかっこいいね!」
「そうかな?
ありがとう!」
そう答えて、手早く荷物を集め更衣室を出る。外では既に緑谷君が待っていた。
「ごめんね、おまたせ緑谷君!」
「大丈夫だよ!
そんなに待ってないから。」
「そう?
良かった。
よし、行こうか着いてきて!」
緑谷君と並んで歩き出す。
「そういえば、相澤先生が九重さんの個性は医療や救護に特化してるって言ってたけど、どんな個性なの?」
「私のはね、時空だよ。」
「詳しく教えて!!」
「いいよ。
時間と空間に干渉して操る個性だよ。
空間を指定して、時間を戻して治療をするんだ。」
緑谷君は感心したように頷いてくれた。
「すごい個性だね。
確かに医療に特化してる。
でも応用出来ればいくらでもできることが増えるよな。
時間はどこまでいじれるんだろう。
それに空間はどこまで操れるのか。
2ついっぺんに使うのはむずかしそうだけど、使いこなせればかなり強い。
戦闘でもかなり強力な力が発揮できると思うし。
2つの個性を組み合わせれば………。」
緑谷君はそのままブツブツ呟き始めた。
「緑谷君、大丈夫?」
緑谷君の顔を覗き込むと正気に戻った緑谷君と目があった。
緑谷君はものすごく驚いていたようで飛び退いてしまった。
「うわああ!!
ご、ごめんね九重さん!
その、いつもの癖で…。」
ものすごい慌ててるよ。
「そっか、なら良かった。
あっ、ここだよ保健室。」
気がつくと保健室に着いていた。
扉を数回ノックしてから入る。
「失礼します、師匠。
個性把握テストで指を負傷した緑谷君を連れてきました。」
「ああ。」
「師匠?」
緑谷君は私がリカバリーガールに向けて言った師匠という言葉が引っかかったらしい。
「相澤先生も言ってたけど、私リカバリーガールの弟子なの!」
「だから師匠か!」
「そうなの〜。」
「早く治癒するからお座り。」
師匠は今日の私の状態を知っているから緑谷君を椅子に座らせると、チユ〜〜っと治癒を開始してくれた。
「わ…すごい治った…。
けど…なんか…疲れが…ドっと…。」
さすが師匠。
ササッと治してしまった。
「私の”個性”は人の治癒力を活性化させるだけ。
治癒ってのは体力が要るんだよ。
大きなケガが続くと体力消耗しすぎて逆に死ぬから気おつけな。」
「逆に死ぬ!!!!」
ペッツだよ、お食べって言いながらサラッと言われた死ぬという単語に驚く緑谷君。
分かるよ緑谷君。
私も最初怖かった。
「治療は終わりだよ。
早く帰りな。
梓はまだ残るだろう?」
「はい!
師匠、この前の研究の結果を報告したいです!」
師匠は緑谷君をさっさと帰すとお茶を入れてくれる。
気づいたらかなり遅い時間になっていて、驚いたよ。
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