元貴 side …
顔を洗いリビングへ入ると、リビングは昨日と変わらないままだった。棚の下に散乱した置物の破片、床の所々に着いた小さな血痕。
「…片付けなきゃ」
俺は要らない厚紙を取ってきて、粉々になった置物の破片を一つ一つ丁寧に拾っていく。原型を留めていない置物は、なんだかあの頃から変わり果ててしまった若井を表しているようで、胸の奥がチクチクと痛かった。
片付けを終え、立ち上がりゴミを捨てに行こうとしたその時、棚の上のひとつになってしまった犬の置物に目がいった。なんだか、今の俺みたいだな。
「…あの頃の若井はどこに行っちゃったの、?」
犬の置物に問いかけてもなんの返事もない。
いつか若井も、俺の傍から離れていっちゃうのかな。そしたらきっともう痛みも苦しいのも感じなくて良くて、きっと楽で。
きっと寂しい。
若井は酷くて、最低で、ダメな人間だった。何かに依存して、何かを無くて、また新しいものを好んで、それをまた無くして…その繰り返しをしてしまうダメな人間だった。そんな若井に魅かれた俺も、きっとダメな人間だ。自分もダメなくせして互いを気遣うように魅かれた俺たち。もうその時点で”幸せ”なんてなかったくせに。ただ”仲間”を見つけただけだったくせに。
どうして『好き』という言葉でまとめたんだろう。
「また好きになりたいな…なんてね」
小さく呟いた言葉は、まるで置物に吸収されるかのように消えていった。
あっという間に1日は過ぎ、気がつくと時刻は22時を回ろうとしていた。部屋の中でループしているテレビの音。俺、なんのためにテレビをつけたんだっけ?俺はテーブルに置かれたリモコンを手に取り、テレビの電源を切った。すると一気に部屋は暗くなり、自分が部屋の電気をつけていなかったことに気づく。
「…めんどくさ」
ソファから5mほど離れた場所にある部屋の電気のボタンを見て、少し手を伸ばして小さく呟く。そういえばそろそろ若井が帰ってくる時間だな。今日は優しくしてくれるかな?
…また殴られるかな?
無意識に昨日殴られた左頬に指先が触れる。指が触れると、ピリッと電流が流れたように左頬がジンジンと傷んだ。気がつくと頭の中は若井のことでいっぱいで、そんな自分に嫌気がさした。
俺はゆっくりとソファから立ち上がり、部屋の電気のボタンはスルーして、寝室へと向かった。若井が来る前に寝てしまおう。そうすれば殴られたりなんてしないはず。殴られても眠っているから痛くないはず。俺は暗い廊下を通って寝室へと入っていった。
最近一気に♡が増えて
物凄く驚いております…笑笑
「crazy clock」、「溺」、まさかの
♡10,000を超えていました…🥹💞
まさかここまで♡を貰えるとは
思っていなかったので、
本当に嬉しい気持ちでいっぱいです🥲✨
皆様、本当にありがとうございます!!!
これからも 更新ちょこちょこと
頑張っていきますので、
是非応援よろしくお願いします🙏🏻💗
ではまた次のお話で^^
コメント
3件
ほんとは毎日一話づつ読んで毎日幸せを噛み締めたいのに、続きが気になって気になってここまで一気読みしてしまった…
【追記】 まさかの「crazy clock」、 ♡30,000を超えておりました…!! 本当にありがとうございます🥲💞💞