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ある日のこと。オルパダンがタノボラから少し離れてついてきています。目は見えないものの、怪我は完治し、狩りも一応できます。だからなのかあっちへふらふら、こっちへふらふらとしています。そしてお互いの姿が見えなくなるまで離れることだって増えてきました。そしてついに。オルパダンはついにタノボラを去りました。東から吹く風とともにゆるやかに消えた。
それから1ヶ月後。タノボラの仲間たちは目が点になるほど驚くべきことを見つけました。なんとオルパダンが一回り小さな小柄なチーターを連れて戻ってきた。二歳ほどのの若いメスで、名を、キシャナと言った。キシャナは隣の保護区から来た子でした。オルパダンは、また仲間になりたいという思いが込められてこそだった。しかし、オルパダンの性格に耐えかねたのか、キシャナは程なくしてタノボラを去った。
キシャナがタノボラを去って数日、何故かまた新たな争いが起こった。先程と同じく、右目を大怪我し、完全に失明してしまった。足をひどく傷つけられ、傷口は腫れ、虫が湧き、血は止まっているものの見るからに痛そうだった。ただ、一度回復したオルパダン。驚くべき回復をまたまた見せ、タノボラについていった。獲物も捕まえられるようになった。
オルパダンはタノボラと別れ、たった一頭となった。それでもオスのインパラを仕留めた。木陰へ引っ張っていき、そこでゆっくり食べようとした。
ワッワッワフッ
犬が鳴くような声がし、ガサガサと茂みが揺れる音がした。そして樺茶色の毛に鉄黒色の斑模様をした大きな獣、ハイエナが一匹、顔を出しました。そしてその煙水晶のような目をしゃぶった飴玉のようにべっとりと煌めかせ、また一声鳴いた。するとまたガサガサと音がして数匹のハイエナがやってきた。ハイエナからは腐肉の匂いとわずかだが、新鮮なヌーの匂いを漂わせていた。きっと群れでヌーを仕留めたのだろうしかし、何かの肉食動物に獲物を横取りされ、オルパダンの仕留めた獲物をかっさらいにきたのだ。しかし、オルパダンは必死に仕留めた大物だ。そう簡単には渡したくない。チーターは肉食動物では弱いが、やっぱり意地はあるのだ。オルパダンは口で獲物をくわえ、目で睨みつけながら歩き出した。しかし、ハイエナたちはついてまわり、取り囲もうとした。
取り囲まれたオルパダンにハイエナはすりよった。するとオルパダンは慌てたようにサッと立ち上がり、そそくさとその場を離れた。ハイエナたちは待ってましたと言わんばかりにどっと群がり、宴会を始めた。オルパダンはすっかり日がしずんだサバンナを宛もなく歩き回るのでした。
1月26日の朝。オルパダンが死んでいた。見るも無惨な姿で。ドーレンという最強のオスライオンに殺されたのだ。ライオンにとってチーターは獲物を争うライバル。そして気が荒いドーレンはオルパダンを手にかけたのだ。