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面白い。みんなに笑顔を振りまくアイドル的存在。愛されキャラ。超天然。身長154㎝。
結愛の親友。メンタル強め。でも可愛いところもある。身長157㎝。
イケメン…だけど市内でも有名なヤンキー。紗季の幼馴染。根はとてもやさしい。身長158cm。
少し恥ずかしがりや。でもしゃべることは面白い。ちょっと意地悪っぽい。結愛の幼馴染。身長150cm。
※このお話は主人公というものがないので、コロコロ主人公が変わっていきます。
海翔目線
海翔はポケットからそっと小さな包みを取り出した。
中身は、結愛に渡すための手作りのプレゼントだ。
(今日がんばって完成させたんだ…。絶対渡すぞ…!)
心の中で何度もつぶやく。
そのとき、バスが突然大きく揺れた。
「わっ!」
海翔の手から包みが滑り落ち、床に落ちてしまう。
慌てて結愛が素早く拾い上げた。
「海翔のだよね?落ちたよ?」
「あ、ありがとう!」
そのやり取りを見ていた紗季が、隣の海翔に小声で言う。
「ねぇ、海翔。それ結愛に渡すプレゼントでしょ?プレゼント渡すなら、ちゃんと計画立てた方がいいよ?」
「計画?どういうこと?」
「みんな気づいてないけど、タイミングとか場所考えたほうが、結愛も困らないし、きっと喜ぶよ」
「なるほど…」
その言葉に、紗季は少し笑ってうなずいた。
結愛目線
――その後ろで二人の様子を見ていた結愛は、胸の奥がちくりと痛んだ。
「はーい、到着しましたー!みんな降りてー!」
先生の声で、ぞろぞろとバスから降りる生徒たち。
外の空気は少しひんやりしていて、秋の気配が漂っていた。
「うわ〜ひろっ!」
「空気うまっ!」
「何それ笑」
そんな声が飛び交う中、4人もバスから降りる。
「さぁ、思いっきり楽しむよーっ!」と紗季が勢いよく声を上げる。
「おー!」怜もテンション高めに返事をした。
~しばらくして~
海翔目線
広場のような場所で、4人は追いかけっこをしていた。
「紗季ー!こっち来いよー!」と怜が全力で走りながら叫ぶ。
「うわ、逃げんの早すぎっ!待てーっ!!」
ドタバタと追いかけっこが始まり、2人の笑い声が遠くまで響いていた。
少し離れた木陰で、結愛と海翔が並んで腰を下ろしていた。
2人とも息を整えながら、目の前の楽しげな様子を眺めている。
「…2人とも元気だなー」
「ほんとだよね…あんなに走って疲れないのかなぁ?」
「怜もあれで結構全力なんじゃない?」
「ふふっ、そうかも!」
2人は顔を見合わせて笑い合った。
少し風が吹いて、結愛の髪がふわっと揺れる。
海翔は一瞬、その横顔に目を奪われた。
(今しかない――)
海翔はそっとポケットに手を入れた。
やがて先生の「そろそろ帰るぞー!」という声が聞こえてくる。
生徒たちは荷物を片付けながら、バスへと向かっていく。
その生徒たちの間で海翔は勇気を出して、結愛の前に立った。
「結愛、ちょっと…待って」
「うん?なに?」
「これ…今日、渡したかったんだ…」
そう言って、ポケットから包みを取り出し、照れくさそうに差し出す。
「えっ…私に?」
結愛は少し驚いた顔をしながら、丁寧に包みを受け取った。
「開けてみて…」と海翔が促す。
包みを開くと、中からふわふわのクマのキーホルダーが出てきた。
やわらかくて、まんまるの目をした可愛いクマ。
見た瞬間、結愛の目がぱっと輝く。
「わぁ…!かわいい!」
「これ、手作り…?」結愛が目をキラキラさせながら尋ねる。
海翔は顔を赤くしながら、ぼそっと返す。
「う、うん…ちょっとだけだけど。作ってみた。結愛、クマ好きかなって」
結愛はその場でキーホルダーを胸に当てるように抱きしめて、顔をほころばせる。
「ありがとう…海翔。めちゃくちゃ嬉しい」
その言葉に、海翔は照れくさそうに笑い、後ろ頭をかいた。
その瞬間、結愛の心の中にあった小さなざわつきが、そっと溶けていった。
(紗季と話してたとき、ちょっと寂しくなったけど…これは、私だけにくれたんだよね)
結愛はその小さくて、なぜか暖かいキーホルダーを抱きながら静かに微笑んだ。
結愛目線
バスの中は、遊び疲れたみんなの静かな呼吸に包まれていた。
紗季と怜は軽く談笑していて、海翔と結愛は静かに、窓の外をぼんやりと見つめていた。
結愛はカバンの中のクマのキーホルダーをそっとなでる。
(今日…本当に楽しかったな)
お風呂と夕食を済ませた結愛は、自分のベッドにぽすんと座り込んだ。
部屋の静けさに、今日の賑やかだった時間がよみがえる。
(紗季と海翔がバスで話してたとき、少しだけ不安だった。
でも…最後にくれたプレゼントがすべてを吹き飛ばしてくれた気がする)
「…海翔、ありがとう」
ぽつんとつぶやいたその声は、誰にも届かないけれど、どこか温かかった。
ベッドに潜り込み、目を閉じる。
「お休み…」
海翔がくれた心が温まる不思議なキーホルダーを優しく握りながら、結愛は静かに眠りについた。