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side:自分
自分の家が、
普通だと思ったことは無かった。
物心着いた時から、親は狂っていて、
自分達のならば、兄弟達を売り裁き
ギャンブルや麻薬三昧。
そして、最後に残った兄弟が自分である。
自分は、家事が出来る
そんな些細な事で残されていた。
だが、変な所へと売り裁かれるよりかは
マシだったので、何も思わなかった。
いつも通り、家に帰ると
玄関には見覚えの無い革靴があった。
母親はそんな趣味では無いし、
父親もロクに働いてないので
こんな高い靴を買うなんて事は有り得ない
となると、借金取りか
なんて考察しながらリビングに向かうと
リビングから母親の声が聞こえてきた。
リビングを見てみると
悲惨な事になっていた。
ドアは蹴破られたような痕跡があり、
花瓶は割れていて、床には水が滴っていた
ソファには若い男が冷酷な瞳で、
母親見下ろしていて、
母親は地べたに這いつくばり、
謝罪の言葉を述べていた。
男は此方に気付くと、
「貴女、娘さんなんて隠していたんですね」「ッ…隠してなんかッ…」
男は私の方へと歩み寄って来る。
男はするりと自分の頬へと手をすり寄せる
なんだかむず痒くて
男の手に自分の手を重ねると、
彼は、目を見開いた後、ニヤリと笑い
「自分の命と彼女を天秤にかけてください
さて、貴女はどちらを取りますか?
海堂 美琴さん?」
彼の発言が自分を絶望へと引きずり込む
何十人もの兄弟達を売り裁いてきた奴なら
勿論、自分の命を取るだろうと
分かりきっている事なのに、
否定したかった。
「ッ…そいつは売ってやる!!
だから、私だけは助けなさい!!」
「その返事を待っていましたよ。」
分かりきっていても、
やはり精神的にもキツいものだ。
男は私を抱き上げると家の外へと出る。
家の外には大きい車があり、
男は私を抱き上げたまま乗車した。
男は乗車した後、するりと自分と私の頬を
ぴとりと合わせ頬擦りをする。
「…やっと、やっと、手に入れた。」
嗚呼、私はなんて厄介な奴に
買い取られてしまったのだろうか、
「僕だけの、シンデレラ。
これからたくさん可愛がりますからね」
恐怖のドン底に突き落とされながら
疲れもあったのか瞼を閉じる。
完全に瞼が閉じる前に、
彼の歪んだような瞳を見つめながら___