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最近仕事が楽しい。
毎朝荷物の仕分けをしているときに彼女の名前の荷物を見つけると「やった!」と思う。
少し話せるようにもなってきて嬉しい。彼女の笑顔を見るのが好きだ。
…でも、気になることもある。
彼女は俺たちのコース担当の間で人気なだけではなく、他の配送会社のその辺りを受け持ってる配達員にも人気だった。
他会社の配達員同士も顔見知りになるから話をして仲はいい。あそこの家はああだこうだというような話もする。そこで彼女の話も出た。
…というか、俺が話を振った。
「あの新しく出来たアパートの102の人わかります?」
『ああ!杉田さんだろ?あの人愛想いいし綺麗だよなー!』
「あ、やっぱり思いました?!あの人俺お気に入りなんすよー!!」
…やっぱりみんな思ってる。
そりゃそうだよなと思う反面、面白くなかった。
どうにかしてもう少し仲良くなれたらなと思ったが…仕事柄お客様に連絡先を聞くわけにはいかない。
それに聞いたところでダメだったら二度と会えないかもしれない。
クレーム受けて出禁にでもなったり、担当コースを外されて二度と会えなくなるのだけは嫌だ。
そんなことを毎日のように考えていた。
ゆうさんの家に配達に行ったあと、どうにか少しでも気にかけてほしいと思った。でも明日から連休に入るし連休あけもしばらく他のコース担当になり会えない…。
どうしようかと思ったが、会社の携帯から電話をかけた。連休をお伝えするということを名目に。
「…もしもし?」
彼女の声だ。
名前を名乗り、連休に入ることを伝えた。
でもそれ以上なにを話していいか分からなかった時に
「チョコ渡したかったんだけどな…残念!」
と言われた。
そういえばあと数日でバレンタインだ。
忘れていた。
というかチョコ?!俺に?!
『ほしいです!!』
めちゃめちゃでかい声を出してしまった。
嬉しすぎて早口で午後に行きますと言って電話を切った。
電話のあと、昼休憩のためにセンターに戻ったが浮かれて休憩どころではなかった。
お客さんからチョコをいただくことはまあまあある。でも大抵事務の人にあげてしまう。それか欲しがる他のドライバーにやっている。
当然お返しなんてしないが、ゆうさんには絶対したいと思った。でもホワイトデーまで待つのか?
いや、その時にうまいこと配達があるとも限らないし、自分がそのコースに入れるとも限らないし…。
今日渡したほうがいい!なにがいいだろう。甘い物好きかな。
色々考えたが、休憩中で用意出来るとしたらコンビニスイーツくらいしか無かった。
自分の好きな生チョコとミルクレープにした。
喜んでくれたらいいけど…。
昼休憩がやっと終わり、彼女のところに向かう。丁度午後便の彼女あての荷物もあったので持っていくことにした。
ほんとはこの荷物は委託さんが持っていくことになっていたが、俺の方の荷物に入れた。
…他の人にあの笑顔見せたくないなって気持ちが少しあった。
インターホンを押し出てきた彼女にチョコをもらう。
めちゃめちゃ嬉しい!!
手作りかなって思ってたら違うと言われて勝手に少しがっかりした(笑)
…ゆうさんの方から連絡先聞いてくれないかな…。
会話が何度か止まり、帰る雰囲気なのは分かっていたが連絡先を聞いてほしくてその場に留まってる自分がいた。
彼女にそれが伝わるわけなく、次の配達に遅れるのではないかと心配されている。
結局連絡先を聞いてもらえずその場をあとにしたがいつもより色々話も出来たし分かったこともあったしアピールもできた…!
分かったことと言うのは彼女が俺の5個上だということ。俺が28歳で彼女は33歳だ。
2個上くらいかなと思っていたが正直年齢なんてどうでもよかった。
あとはバツ一ということ。
…俺もだからこれもなんとも思わなかった。
俺は結婚というものをもっとよく考えればよかったと後悔していた。
というのも、疫病が流行ってるときにSNSで出会った人と交際1年で結婚してしまった。しかも飛行機をつかう距離だったからその1年で会ったのは3回ほど。結婚結婚言われて、周りも結婚ラッシュということもあり結婚したものの、
一緒に住み始めて1年経たずに離婚。
あっちに男がいた。
結婚前にも他の男と出かけたりがあったが『こいつもか』と思いなかばどうでも良かった。
今まで本気で人を好きになったことはない。
だからこそこんなに必死になるのも始めてだった。
アピールと言うのは、年齢の話になったときに
「28なの〜?!23くらいかと思ったよー!すごく若く見えるね♪28も充分若いけど!私なんてもうおばさんだよ〜」と言われたから
『ゆうさんは俺から見てお姉さんですよ!
それにみんな綺麗って言ってます!』
と話した。でもみんなが言ってるのはほんとだけどこれじゃ自分のアピールにはならない…。だから少しウソをついてしまった。
『俺が新しく出来たアパートの杉田さん綺麗じゃないですか?って手越さんとかにいったら、〝な!綺麗だよな!〟ってみんな言ってますもん!』
と言った。
ほんとは最初は手越さんが先にゆうさんの存在に気付いていて、ゆうさんを気に入っていたけど絶対それは言いたくなかった。
…手越さんはカッコいい。
手越さんもバツ一だけど、背がすごく高くて足も長いしスタイルもいい。サーフィンとスノボが趣味の人でほんとにカッコいい。
ゆうさんも背が高いから2人が並んだらお似合いだと思う。
ゆうさんはきっと俺なんかより手越さんを選ぶ。背の低い俺なんかより、手越さんとくっつくに決まってる。
…そう思ったからこそ、やだった。
手越さんより俺の存在をアピールしたかった。
俺を見てほしかった。
「またまた〜!(笑)ありがとう嬉しい!」とゆうさんが笑った。
ゆうさんは口元を隠して『ふふ♪』と笑う。
それがすごく可愛い。
結局連絡先交換出来なかったけど、チョコをもらえた!!
他のドライバーに寄越せと言われたらうざいからトラックの中で全部食べた。
家に帰るまで待てなかった。
早く連休なんて終わればいいのにと思った。
もうすぐにでもまた彼女に会いたかった。