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「ありがとうございますっ、ずっと写真撮りたいなって思ってたので、、!お時間とらせてしまってすみませんっ」
「ううん、部活終わったとこだから」
そう言うと、その1年生の女の子は一礼して去って行った。
「お疲れ様」
後ろから声がして隣を見ると、シャトルの入ったカゴを持った佐倉くんがいた。
「…あ、お疲れ様」
「ファンの対応?」
「、、ファンっていうか」
「あはは、まだ慣れない?1年のときからファンいっぱいいるのに」
芸能人じゃないんだから、と心の中で返した。
「じゃあ俺部室の鍵持ってるから先行ってくるね、また部活被ったときに」
「うん、またね」
佐倉くんが手を振ると、鍵が揺れる音が鳴った。
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「相談なんだけど」
「うん、何怖いよこんな相談なんて珍しいよね紫乃」
「別にやばい話ではないんだけど」
昨日、玲花に相談したいことがあるから明日どこかで聞いてほしいとLINEをした。
部活が終わって一度家に帰り、軽食屋さんに二人で入った。
「…どういうのが『好き』ってことなの?」
「、、、うん??」
玲花は一瞬静止した。
「その、恋愛的に好きってどうしたら分かるのかなって」
「、、そういうことね、?好きがどういう感情かわかんない、ってこと?」
「全くわかんない訳ではないんだけど」
多分、最後に異性を好きになったのは小学生のときだろう。そのときの『好き』はきっと参考にならない。
「佐倉くんになんか言われた?」
「、、もう一回ちゃんと告白されて、気持ち聞かせてほしいって」
「そっか、、佐倉くんが紫乃に告白したのってもう3ヶ月近く前だもんね。もう十分待ったよね」
玲花の言う通りだ。
「私も紫乃が自然と佐原くんか上岡のどっちかを好きになる展開があるかもって思って催促しなかったけど、二人の立場を思えば申し訳ないことしちゃってるのかも」
ずっと返事をしないまま。 二人がずっと優しいだけだ。
「紫乃は佐倉くんのことどう思うの?」
「、、いい人だなって思うよ。優しいしかっこいいとも思う」
「それはさ、きっと上岡にも思うし、他の男の子にも思うことじゃない?」
玲花は飲んでいたドリンクをトンと置いた。
「なんだろ、、また会いたい、もっと会いたいとか思ったり、その人がしてくれたこととか言ってくれたこと思い出したり、なんとなくドキドキしたり緊張したり、そういうのが恋だと思うよ 」
玲花は、めっちゃ真面目に答えたな、と少し恥ずかしそうに笑った。
「その人のなんとなくの雰囲気とか居心地とか、そういう感覚的なもので好きになったりとかもあると思うし、こういうところが好き!っていう明確な理由がある場合もあると思うし」
「、、、難しいんだね」
「うん、難しいしめんどくさいよ」
玲花は微笑みながら言った。
「でも、なんとなく分かった気がする」
「ほんと??長々と喋っちゃっただけかもしれないけど、、」
「玲花の言葉思い返して考えてみる」
「うん。紫乃の答えが分かるといいね」
玲花はほんとにいい子だと、最近特によく思う。