コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
何処にでも有るようで、何処にも無い空間
そこには静かにただひたすらに歩き続けている少女がいた
少女は何かを見つけたのか、その場にピタリと足を止めた
見てみると、少女の前には氷漬けにされている一人の少女がいた
その少女よ周りを囲むように、黒と白の逋セ蜷の花が水面上に散っていた
少女は、氷の中にいる少女をじーっと見つめていた
すると、少女は貴方の存在に気づいたのか、ゆっくりと貴方に歩み寄ってきた
「この空間はそう簡単に出入りすることが出来ないの。貴方、どうやって此処に来たの?………わからない?そう。…………え?この古びた本は何かって?そうね、貴方と出会えたのも何かの縁だし、特別に教えてあげる。但し、聞くのは自己責任、それでもいい?………そう、わかったわ。それじゃあ、話してあげる」
少女はニッコリと笑い、椅子を引き、そこに座った
「これは、とある少女の物語」
◇ ◇ ◇
まだ風が吹くには早い季節なのに、今日は冷たい風が一日中吹いている
來夢「うーわ、寒っ…」
とあるビルの屋上で、少女は一人、そう呟いた
來夢(今は夏のはずなんだけどなぁ…)
今の季節は夏で、普通であれば皆、半袖や半ズボン、ミニスカートや薄手の上着などを着用している時期だ
でも、暑い夏にも関わらず、冷たい風が吹いているため、街の人達は厚手の上着や長袖長ズボンなだを着用している
來夢(これではまるで、冬の季節のようだ)
一人でいるはずの屋上、気づけば少女の隣には、とある男性が一人いた
來夢「……君が此処に来るのは珍しいね、太宰」
太宰「おや?気づいていたのかい、來夢」
來夢「まぁ、ね」
太宰「……久しぶりだね、此処に来るのは」
來夢「…うん、」
とあるビルの屋上、其処は紛れもない、太宰治と音之瀬來夢の二人が初めて出会った場所
來夢「あの頃は、お互いに銃を引き合っていたね」
太宰「そうだね」
來夢「昔は銃を引き合っていたのに、今では手を取り合っているよ」
太宰「…君がそんなふうになるのは珍しいね。何かあったのかい?」
來夢「……いいや。…ただ、少し、嫌な予感がするんだ。とてつもない、嫌な予感が」
太宰「嫌な予感、ね。……そこまで深く考えなくていいと思うよ」
來夢「…そう、かな」
太宰「うん」
來夢「そっ、か。ありがとう、太宰」
太宰「お役に立てたのなら光栄だね」
來夢「それじゃ、私は行くところがあるから」
太宰「行くところ、ね。ちょっと気になることがあるんだけど」
來夢「ん?」
太宰「もともと君は、よく何処かへ行く癖があったから気にしていなかったけど、ここ最近は毎日のように何処かへ出かけているね。君は、一体何処に行っているんだい?」
來夢「……ちょっと、私の助けが必要な人達のところ、かな」
太宰「…そうかい」
來夢「それじゃ、私はもう行くから」
そう言い、來夢は屋上に太宰を残して去っていった