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都内の誰も場所を知らない事務所。
もう昼過ぎだというのにブラインドはしめられ、すき間からわずかに光が入ってくるばかりである。
それでもその光は、外が夏であることを教えてくれるほどには眩しかった。
クーラーの稼働音が低くうなり、そよそよと心地よく冷たい冷気が事務所をかき混ぜる。
事務所はパーティションで区切られ、ドアから入って向かって右には貴洋の執務机が、左にはもう一人の執務机がおかれていた。
しかし、どちらの机にも誰の姿も見えない。
しかし、事務所のどこからかくちゅくちゅといやらしく粘性のある液体が混ざり合う音が聞こえてくる。
入り口から入って正面、応接間のソファーの上でその情事は行われていた。
小太りの男がもう一人の唇をむさぼり、左手で自分の陰部を、右手で相手の陰部をもてあそびながらささやく。
「裕明、きもちいいナリよ」
裕明とよばれた男は快楽に身を任せているようで、ときどき小さく声を上げるばかりである。
唇と唇、舌と舌、唾液と唾液、それらがぶつかりあいまざりあいとけあい、淫靡な音楽を奏でている。
しばらく経つと裕明が、顔を背けて口を開く。
「貴洋、まずいよこんなことしちゃ。顧客がきたらどうするんだ」
貴洋はそれを聞き流し、むりやりに裕明の唇を奪い融合を再開する。
その両手の速度は段々に加速し、両者の陰部は十分に屹立し、先端からはカウパー氏腺液がじわじわとあふれている。
「ん……だめだって貴洋ぉ……」
裕明は身をよじり嫌がっている素振りをする。しかし、それが単なる素振りであることは誰が見ても明らかであった。
貴洋もこれをみてとり、摩擦の速度を上げる。
「んんんんん!」
裕明が声を抑えながら絶叫する。腰はソファーから持ち上がる。
しかし、絶頂に至るその寸前、貴洋は手をとめる。
「当職が挿入するナリよ」
裕明の足をつかむと股を広げ、肛門にあてがう。
「だめだょぉ……貴洋ぉ……」
裕明は甘えた声で反抗する。
「優しくするナリよ」
貴洋はイチモツをゆっくりと挿入してゆく。
「んっ、んっ」
裕明は声を抑えようとするが漏れててしまう。
貴洋は腰を動かす速度を少しずつあげてゆく。それにともない、裕明の喘ぎ声の感覚も狭くなってゆく。
「い、いくナリよ!」
「うん貴洋ぉ、中に出してぇ!!」
貴洋の六法全書は大きく脈動し、裕明の直腸に種子を注ぎ込む。
貴洋の息は荒い。肩で息をしている。
「洋以外の人で最後までいったのは初めてナリ」
「ん……それはよかったよ……んん!」
裕明はまだ海岸に身を震わせていた。
少しずつ興奮もさめてくると、ガラス越しにセミの鳴き声が聞こえてくるのがわかる。遠くの空には入道雲が湧き、プール帰りの小学生が道端で遊んでいることだろう。
そんな、爽やかで優しい夏の日のことであった。