最初はバッドエンドからにしましたー
初めてバッドエンド書くので温かい目でで見てください
三途が可哀想
自傷行為有り
死ネタ
少々過去構造
これじゃない感半端ないかも
ある日、俺は自分の存在価値を考えてみた。マイキーは今、花垣が死んだためあれからというものの元気がない。たまに自殺をしようとしていたものの俺がギリギリ何度か止めて、事なきを得た。マイキーの中の1番は何なのかは知らない。しかし、俺が1番な訳がないのは確かだ。多分上位10位にも入っていないだろう。マイキーは俺を自分のすぐ近くに置いてくれたものの眼中には入れてくれない。それは俺が1番分かっていた。
そして、蘭。あれからは1度も会ってないし、連絡もとっていない。あの時…彼奴が刑務所から出てきた時は一応会いに行った。あの時の蘭はそれはもう嬉しそうな顔をしていて俺に抱きついてくる。その顔は印象的で今でも鮮明に覚えている。俺はその時は正直言うと、俺が来るだけでこんなに喜んでくれる体験がなかった為内心嬉しかった。必要とされている気分に浸れた。しかし、今は如何だろうか。多分俺が今会いに行ったら半殺し、運悪ければ命は無いだろう。そのくらいに蘭の中にいる俺は堕落している筈だ。
俺はあれからできるだけ家に篭っていた。誰にもバレないように。犯罪者だからと言うのも少しはあるかもだが、1番は蘭に会わないため。前までは何ら変わらない、喧嘩ばかりする恋人だった筈なのに、今は「もし会ったら」と考えるだけで震えてしまった。その体は震えが止まらず、止めるために何かしないとと思い、引き出しの中を乱雑に漁る。
「あ…。」
そこには百均で買った物であろう、切れ味があまり良くなさそうなカッターが置いてあった。それに視線を向けた瞬間、無意識に手を伸ばしていた。俺の中の天使と悪魔が論争している。苦しいなら切れば良いじゃん。駄目だよ、やりすぎて苦しくなるのはお前だよ。少しは楽になれるかもだぜ?そんな事やっても何も起きないよ。…結果、俺の手首は血塗れになっていた。カッターの刃を出すカチカチ音で少し身を引いたものの、肌に当てた瞬間俺の中の何かが切れた音がした。それからは記憶があまりない。いつのまにか手首には無数の切り傷があり、大量の出血。流石にヤバいかなと思い俺は要らない布を当てて、余っていた包帯をグルグルと巻いた。
外はチュンチュンと小鳥が軽やかに鳴いているが、俺はそんな声を聞いてもいい朝だとは思えなかった。今はそんな気分じゃないから。怪我も応急手当はしたし朝食を取ろうとしたが、食欲がなかったため今日はやめておいた。そもそも俺は蘭に育てられてきた。俺が身長と体重を言うと驚愕しており、それからというものの俺にちゃんとした3食を食べさせてきた。朝昼晩、蘭に管理されていて俺も最初は少々拒んだ。しかし、蘭はそんな事聞かずに栄養バランスが整ったものを食べさせてくる。これがいつもの日課だったのがちょっと前までの事な筈なのに懐かしい気分になった。だから俺は1人でご飯をとるのはいつ振りだろうかと振り返った。
1人で食べる時何を食べれば良いのだろうか。そもそも、蘭から貰った物は返した方が良いのか。蘭からの貰い物は俺の家に沢山残っていた。服や物、それと蘭の家の合鍵まで。
「流石に合鍵は返した方が良いか……。」
会いたくないという考えがすぐに脳にきた。そういえば蘭に用がある時は竜胆経由でと言われた気がする。多分。俺は携帯を取り、竜胆に電話をかけた。電話のプルルという着信音が緊張感を高まらせる。暫くすると着信音は止み、電話の向こうの雑音が聞こえてきた。
『なに。』
竜胆の声がする。どうやら相手も俺と話したくないのだろう。声のトーンだけで理解できた。
「蘭の家の合鍵…返したくて。」
『……分かった。
じゃあ、後で◯◯に来て。』
そう言って竜胆は勝手に電話を切った。こんなにも緊張した電話は人生で初めてだろう。俺はその場で蹲り、急にきた吐き気を無理矢理抑えた。しかし、行かないと。動かないと今日の目標は終われない。そう思って鉛のように重たい体を起こして、着替え始めた。
晴れとはいえない天気の中、俺は竜胆に言われた所に徒歩で向かった。合鍵だけを持って。集合場所に着くと、そこには派手な髪色の奴が携帯を弄って俺を待っていた。そいつは俺が来たのを見て、携帯をポケットにしまう。
「早く渡して。」
「ん…。」
そう言って、俺は鍵を手に取り握り締めて手を差し出して渡す。しかし、竜胆は受け取る素振りをピタッと止めた。何か見ているようだが…と、そう考えているうちに竜胆はハッとして強引に受け取った。何を見ていたのだろうかと少し不思議に思ったが、俺はこの場に一刻も早く立ち去りたかったため、今は考えるのをやめた。竜胆も同じらしく、「んじゃ」と言って去ろうとする。俺も帰ろうと振り返ると、後ろから小さな声で何か言ってきた。
「…あんまやり過ぎんなよ。」
俺はその言葉に振り返り、竜胆を見ると竜胆はもう後ろを向いており、人混みに紛れていった。やり過ぎってなんだよ。意味がわからなかった。…考えすぎも良くないか。もうこれからは話さないだろうし、大丈夫な筈だ。竜胆の言葉を深掘りするのを俺はやめた。
帰ろうとしたものの、家に何も無いことに気づいたため、近くのコンビニに寄った。インスタント麺と栄養ゼリー、それに2リットルの水。数日くらいは出なくても良いように俺はその三種類を多めに買った。手荷物が多くなり、重たいと感じたものの家はすぐそこだ、あまり気にせずに持って帰った。
「あ、雨降ってる。」
コンビニから出ると空からはポツポツと小雨が降っていた。まあ、このくらいなら大丈夫だろうとそのまま雨に少し当たって帰る。俺は曲がり角を曲がる。するとそこには見たくも無い光景があった。
「は……ら、蘭?」
そこには見知らぬ髪の長い女と腕を組んで楽しんでいる元恋人の灰谷蘭がいた。俺は急に滝のように汗をかきはじめた。誰だよそいつ。もう新しい女か?なんで。あんなに俺の事好き好き言ってたくせに…なんで。蘭、頼むからその女と離れてくれ。頼むから。
「…ら、蘭!」
「…あ”?」
俺は無意識に蘭の名前を聞こえる声で呼んでいた。蘭は声のする方を振り返り、俺が呼んだと分かるとあからさまに不機嫌になった。隣の女はキョトンとして蘭と此方を交互に見てくる。
「ねぇー、蘭君この女の子?男の子だれー?知り合い?」
「…ちょっとさ、あの店で待っててくれない?彼奴と話して来るから。」
ニコッといつものような笑顔で女に接する。女は蘭の頬にキスを落として「分かった!」と上機嫌に蘭が指した店に入っていった。そんな光景を見ているだけで今にでも泣きそうだった。しかし、俺のプライドが許してくれない。誰かの目の前で泣くなど三途春千夜にあってはならない。
蘭は静かに俺の方に向かってきた。俺の目の前にくると足を止め、数秒立っている。なんだ?と思い恐る恐る顔を上げると、急に胸ぐらを掴まれて建物の壁に投げられた。
「ゲホッ、お”ェっ…は、ぁ、はぁ…」
「ねぇ、俺さー言ったよね。
一生俺の視界に映んなって…
なのにもう約束破ったのかよ。」
鼻で笑ってはいるも相当キレてるのがわかる。しかし、俺は蘭の言葉が頭に入ってこなかったから。今の蘭はヤバいって直感でわかる。多分、このまま抵抗せずにされるがままなら本当に殺されるって。俺は怯えながら体に鞭打って無理矢理立った。
「ねー、聞いてる異常者くーん?
流石にもう限界なんだけ…どっ」
蘭は勢いよく俺の腹を蹴り、人数が少ない路地裏に連れ込んだ。相当マズイこの展開。俺は蘭と距離を取ろうと、できるだけ早く後ろに下がる。しかし、それは無意味に等しい。蘭は俺の顔を蹴って、近くにあったパイプで殴り始めた。体中が痛い。何か蘭はブツブツと言っているが、耳が正常に機能してくれず何も聞き取れなかった。意識が朦朧としてくる。俺はいつの間にか体が動かず、先程ヤバいと自分でも言った筈なのに抵抗が出来なくなっていた。俺、ここで死んじまうのか?それも元恋人の手で。嫌だ。それだけは嫌だ。蘭に殺されたく無いし、これ以上蘭の手を汚したく無い。御免なさい。御免なさい。御免なさい。御免なさい。
ちゃんと償うから。
お願い。
「……ん。」
重たい瞼を開ける。視界は霞むもののどのような色かは判別できた。多分今は夜中だろう。暗いものの、月の光のおかげで少々明るかった。耳は…まだ上手く機能してくれない。耳鳴りが酷かった。体も上手く動かないが、頑張れば歩ける程度だ。その場には勿論誰もいなく、耳鳴りを除けば静寂だった。
(殺されなくて…良かった)
俺は壁に手をつきながら起き上がり、数十分掛けて家に向かった。帰っている間は俺の脳内は蘭の事ばかり。蘭は俺の事を異常者くんと言っていたな。そんなの俺が今一番理解している。ちゃんとした義務教育を受けてない。世界の在り方なんてそんな事聞かれても何と答えれば良いかわからない。俺は世界にはみ出している黒い、みにくいアヒルの子なんだ。普通なんて知るわけない。俺に普通を強要しないでくれ。そう思っているとやっと家の玄関に着いた。ベッドに行く気力もなく、ただ俺は玄関に倒れた。全身がずっと殴られてる感じに痛い。……そうだ。要らない存在なら消えれば良いんだよ。俺はこの時、心の中の何かが切れて、人生というものが全てどうでもよくなった。マイキーは俺が居なくても大丈夫な筈だ。蘭だって…俺の事を今は何とも思っていないだろう。なら、この命は何のためにある?誰の一番にもなれない命なんて、この世にあってはならないのでは?普通の考えだとそうだろ。これは合ってると思う。俺は這いずりながらある棚に向かった。引き出しを開けると一粒の錠剤カプセルが綺麗に瓶の中に包装されている。これが今俺が唯一欲しいもの。これで俺は楽になれる、幸せになれる。俺は躊躇わずに瓶の蓋を開けて、掌に錠剤を出す。不思議と俺の手は今から死ぬというのに震えなどが一切なかった。俺は錠剤を口に含み、喉を上下に動かしてゴクッと飲んだ。数秒経つと、ドクンッと心臓がいきなり動き始める。苦しさのあまり、俺は唾を床に吐くものの、苦しみは引かず。
「オ”ェッ…ごほっ、ゲホっっ!」
嗚呼、死が近づいてきているのが実感できる。胃の中や喉、頭が苦しくて痛いものの俺はそんなことよりも何故か嬉しさが勝った。俺はやっと人のためになれる。
なあ、蘭。俺は今、ちゃんとお前の為になってるか?
蘭視点
竜胆から見覚えのある鍵を貰った。先程春千夜に会って腹の底から苛立ちがあったため、見たくもない代物を俺は受け取り、すぐにゴミ箱へと捨てた。
時間が経つと少々俺の頭も冷静になり始めたのか、自分も鍵を返さなければいけないか?と考える。会いたくないがそれなりの常識は持ち合わせているのがこの俺。今は連絡先も消して、連絡手段は一つもない。ならどうする?直接会う以外無いだろう。 俺は溜息を吐きながら、嫌々外に出て醜い彼奴の家に向かった。
昔の俺は春千夜が一位に来るほど大好きで愛していた。毎回の反応が面白くてつい意地悪してしまうが、その意地悪もちゃんと返してくれる。最初は暇つぶし程度にしか思っていなかったが、次第に俺は春千夜の虜になっていたのが事実だ。あの時は恋人という甘い関係になれて心の底から嬉しかった。これからはちゃんと愛してやりたい、離さないって自分個人で勝手に誓っていた。…しかし、今は違う。恋人なんて何のことやら状態。俺の中の三途は悪者同然で、顔を思い出すだけで苛立ちを覚えてしまう。だが、心の何処かで俺は後悔していた。自分が恋人にしたい奴をやっと手に入れて、愛してやるって誓って…なのに、俺はそれをいとも簡単に手放して捨ててしまったことに。あんなに人を好きになったのは春千夜が初めてだ。それなのに俺は春千夜をただ一方的に傷つけて、痛めつけて。三途は確かに今は嫌いだ。しかし、流石にやりすぎたのかもと自分の中で一人反省会をしていた。
三途の家に着き、深呼吸をしながら家のインターホンを鳴らす。ピンポーンと家の中から聞こえ、返事が来るのを待つ。しかし、一向に返事が来ない。不在か?とも思ったが、今は深夜の2時だ。流石にあの春千夜でもこの時間帯は家にいる筈だろう。
「…仕方ねぇ、勝手に入るか。」
俺は返そうと思っていた合鍵で仕方なく家に入った。入ると、玄関のみ電気が付いており、他の部屋は真っ暗。随分見慣れた部屋の間取り。俺は記憶に残っている三途の部屋に迷わず入った。
「……は」
俺は言葉を失った。そこには口から泡を吹いた春千夜が床に倒れているから。顔は真っ青で、ピクリとも動く気配がない。考えたくも無い結果が脳に過ぎる。俺はすぐ様春千夜の元に行き、声を掛けた。
「春!!起きろよ、春!!」
しかし返答はない。恐る恐る春千夜の頰に手を触れてみると、人間の温度では無いほど冷たくなっていた。嫌だ。なあ、頼むから目を覚ましてくれよ。俺、まだお前に謝ってないからさ、謝らせてよ。俺はいつ振りか分からないが涙をポタポタと流していた。俺は救急車を呼ぼうと思ったが、携帯を生憎持っていなかった。ならば…と思い、三途を抱き抱える。冷たい人体を自分の温度で温めてやった。
「春、ごめんな…勝手にこんな事やって…。辛かったよな、苦しかったよな…。俺、春の気持ち何も考えずに我儘なことしてさー…恋人失格だよな。」
鼻を啜りながら、俺は届きもしない言葉を並べていった、春千夜のサラサラな髪を撫でながら。涙の止まる気配がない。
ヴーヴーヴー
何処からか着信音が聞こえた。それは近くから聞こえて、少し耳を覚ますと三途のポッケから鳴っているのが分かった。渋々取り出すと携帯の画面に「竜胆」と書かれている。俺は躊躇わずにピッと通話を開始した。
『やっと掛かった三途。
あのさ、今兄貴がそっちn』
「竜胆…。」
『え、は…兄貴?
声篭ってるけど大丈夫?
てか三途は?』
「春さー…最後どんな顔してた?」
『え、最後?
それってどうゆう…』
「俺、まだ春に言いたい事あるのにさ…春、俺ら置いて逝っちまったよ。あはは…はあ…。」
『兄貴…』
「ねぇ、竜胆。」
『…なに?』
『俺、いつもどんな風に笑ってたっけ。』
バッドエンド
あとがき?後日談?
蘭はそれからというものの部屋に引き篭もりがちになり、春千夜を思い出す度にベッドの中で泣いてる。最後の言葉通り、いつも通りに接する事が難しくて、竜胆はずっと心配だった。
合鍵を春千夜からもらう時、竜胆が見ていた場所は春千夜の手首の包帯。推測して自傷したのだろうと勘づいていた。それからは春千夜の事が少し心配だったし、蘭が春千夜の家に行ったと知った時は大慌て。春千夜に何回も連絡するも通話に出てくれず。だけどやっと通話に出てくれたと思ったら蘭の声がして混乱状態。詳しく話を聞くと、自分も何故か無意識に泣いてしまった。しかし、蘭に気を使わせたく無いから泣いてるのをバレずに通話していた。けど、勘のいいお兄ちゃんはちゃんと気づいてるけど、竜胆の気遣いな事も知ってたからあえて言わなかった。
コメント
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うわぁぁぁぁぁぁッッッッッッ😭😭😭😭😭😭もうほんと闇千夜ほど栄養補給になるものはありません…😇😇ほんとに毎回神作過ぎて感謝でございます🥲🥲🥲🥲🥲🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏はるちゃんがよく使ってたセリフを蘭ちゃんが言うって言うのがまた………もうほんとに語彙力なさ過ぎますがハピエンも楽しみにしてます!!
えええぇめっちゃ最高です😭 蘭ちゃんが どんな風に笑ってたっけ 、って言う所凄い好きです😭