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いちごバナナスムージー
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バシッ!
「早く部屋に戻りなさい‼」
今日は殴られたのが三回…蹴られたのは二回。叩かれたのは五回でタバコは一回…今日は少ない方だ…
物心が付いたときには俺はもう両親に虐待されてた。
(痛いな…)
アッシュ・レーヴ。体は無数のアザ、切り傷、タバコの火傷跡が大量に残っている。肌がブラックホールのような黒色で、火傷跡はぐじゅぐじゅしてる。
母さんは俺のこの肌と目が嫌い。母さんが言うには僕の目は人を見下しているように見えるらしい。
俺が四歳のころ、外に出ようとしたら母さんが止めてきた。そして、何が気に入らなかったのか火が付いたままのタバコを俺の右目に入れてきた。琥珀色の瞳はどんどん焦げていき、どんどん溶けていく。痛いよりも熱いが最初にでた。ジワジワと痛みが広がっていく。ぽたぽたと溶けた眼球がたれてくる。それと同時に強烈な頭痛と吐き気を覚えた。視界がグラグラする。今までにない痛み。体が震えてる。恐怖で息もうまく吸えない。呼吸ができない。この恐怖は一生忘れられない。「…゛あッ…゛ウグッ…゛んッ」(ヒュッ、ヒュッ)と首が締まるような息遣いの音がする。それから母さんは何かを吐き捨てリビングに戻ったのだが、苦しくて何を言ったのかわからなかった。少しの間は安心したが、吐き気が止まらない。俺はすがる思いで部屋に戻った。「…ゲホゲホッ…ゲホッ……ヴェッ…」気分が悪くなりすぐに吐いてしまった。その日は眠れなかった。その日から数日間はずっと吐いていた。母さんに何度も何度も罵られ、殴られ、蹴られた。目が痛いうまく歩けなかった。それでも母さんは俺のこと何かちっとも気になんてしなかった。
ある日、俺に弟ができた。母さんが病院から帰ってきた。母さんがいないとき、弟を見てみた。肌が綺麗。真っ白。俺は手袋越しに彼に触れた。ぷにぷにしてる。かわいい……けど、ずるい。憎い。死ね。なんて考えてしまう自分に嫌気が指した。瞳の色は父さんと同じで赤色。まるで野いちご見たい。僕の瞳なんかより、よっぽど綺麗。彼はモナと言うらしい。俺はアッシュだ。ひどい差別。気分が悪い。酷い嫌悪感。もう部屋に戻ろう。
何時間立った頃だろう。母さんが鬼の形相で部屋に入ってきた。どうやら俺が弟に触れたのがばれたみたい。髪を掴まれ怒鳴られた。
「あの子に触れないで、この悪魔‼︎何故あんたは私を不幸にするの⁈私の大切な大切な息子なのよ……⁈」
「ご、ごめんなさい……でも、俺も母さんの息ッ ……‼︎」
(タバコ……)母さんはタバコを片手に持っていた。
「息子……?悪魔ごときが何言ってんの…? ……んで…? 死んでよ……‼︎」
目のとなりをすれすれでタバコが横を通る。目には入らなかったが、頬に当たってしまった。(…ヒュッ……)どうしてだろう。今までもおんなじことがあったのに、呼吸ができない。「……゛あッ…」苦しい苦しい苦しい
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
叩かれる。怒鳴られる。罵られる。殴られる。蹴られる。打たれる。怪我をさせられる。首を絞められる。
殺される
「やめて」って言ったところで味方何かいない。ただ地獄が延びるだけ。俺はただ黙っていた。
結局、タバコが五回、殴られたのが十回で済んだ。
「……」ただ、沈黙が続いていた。
数年後…俺はずっと罵られながらも言われた仕事をしていた。
(疲れた…)
夕暮れ時、扉を開けるが誰もいない。
(あれ…いつもは母さんがいるはずなのに…)
リビングやキッチン、バスルームもいない。
(2階…?)
2階の日差しが良く入る大きな窓がある広い部屋。(この部屋に入るかもしれない…挨拶しないとまた…)
扉を開ける。
「…ただいっ…ヒィッ…!」
そこには、胸に包丁を刺して倒れている母の姿があった。
(えっ…う、嘘っ…どうしよう…助けないと殺される…!)
けれど、時すでに遅し。死んでいた。
急いで胸をつらぬいている包丁を引き上げた。ドバドバと血があふれている。
(どうして自殺なんか…俺がストレスに?俺がなにかした?俺が…俺が…?「俺のせい」で母さんは死んだ…?)
「…゙ウゥッ…」吐きそうになったとき、扉が開いた。それと同時に怒鳴り声。
「人を殺したのか悪魔‼いつか殺ると思ってたんだ…‼家事してくれる奴いなくなったじゃねーか‼」
「違っ…!俺のせいじゃ…‼」
「うわっ‼殺される‼斧…!斧…‼」
一階に下りていく父。
(違う…俺は…殺してない…母さんが自殺しただけ…【俺は殺してない…!】)
俺は気づけなかった。
「ガンッ‼」
え?
(腕が…)
俺の右腕は真っ二つ。血が吹き出している。理解した瞬間。堪えがたい痛みがはしった。
腕を押さえても血は止まらない。
やだ……
死にたくない……
でも、確実に殺される……
どうにかしなきゃ。
次に気がついたら俺は父を殺してた。
俺の顔の右半分が裂かれ、眼球が出ているような状態。
左手の指は全部切断されてた。
他に何十ヶ所と皮膚がめくれてた。
父はバラバラになってた。
記憶に無いけど、父が使っていた斧が俺の手にあるということは俺が父を殺したんだ。
「っ……!」
動くだけで痛みが響く。
(…もう…やだ……)
そんなことを思っている中でも「よかった」と思う自分がいる。
(部屋に戻ろう…)この辛さをなくすために部屋で休みたい。その前に、斧を元の場所に戻して来よう。
次の瞬間、扉が開いた。
モナだ。血まみれの俺を見て、なにか良くないことを察したのだろう。2階へ駆け上がっていった。
(なにか余計なことをしたら殺さなくちゃ…)俺は階段を登った。ギシギシと音をたてて。
右手には、しまい損ねた斧を持って。
俺に気づいた弟は俺に怒ってきた。「何で父さんと母さんを殺すんだ。兄さんは頭がおかしい」って言ってた。
(俺の親でもあるのに)
モナは知らないんだって、自分の親がどれだけ屑なことか。俺には虐待。モナには優しく?
差別だろ…理不尽だってわかってる。こいつがなにしたっていうんだ。でも…もう…無理。
「お前はいいよね…普通の見た目でさ…?俺がどれだけ辛い思いをしたのかも知らないでしょ…親に愛情注がれて幸せって…その幸せ俺にもくれよ…!俺も真面に生きたかったんだよ…‼
そんなに親がいいんだ…その屑な親…もう死んでるからなに言ったっていいよね…?ねぇ…親のところ行きたい?連れてってやるよ…‼
死ね」
(俺…なにしてたんだろ…)
頭がずきずきする…
えっ…死んでる…?おっ俺が…?なにも覚えてない…
でも…この肌…
父のせいで皮膚がなくなった顔の部分をえぐるように触る
「いっ…!」俺は弟の肌を縫いつける。
なんか…申し訳ない…?
全く記憶がない…【違う人格】とか…?そんなまさか…ある分けないよ。
で、この死体をどうするかだ…
埋めるか……
まずは両親から先に埋めた。なんか、先にしないと殴られそうだから。もういないけど。
(疲れた……後はモナだけ埋めれば……)
(…テレビ…いつも父さんが見てたやつだ…つけて、見ようかな…)
カチッ
あるニュースが流れてきた。
『昨日の午後1時、○○駅で電車の死亡事故が……』
電車……
気付いたら駅のホーム。手にはごみ袋。入ってるのは……
この見た目じゃなにを言われるかわからない。
ローブみたいなのを着てみた。
電車が来た。
『ポォー』
(眩しい…)
『ドサッ』
オレは線路に持ってた袋を捨ててホームを走った。
雨が降ってきた。
(最悪……これから…どうしよう……)
それから数日間、なにも食べずに、なにも飲まずに、寝ずに道を歩いてた。雨の中。誰かが近寄って来る。声をかけられた。
「あなた大丈夫?」三十~四十代位の女性が声をかけてきた。
ビクッって怖がってるオレを見て何かを察したのかその女はオレに「あなた。ワケアリみたいね」と、声をかけてきた。
(【ワケアリ】…?)
女はオレみたいな【ワケアリ】な子供を助ける施設の医院長らしい。
女は最初オレを狭い個室に呼んだ。テーブルと、椅子が二つ並べてある。
ランタンが小さな光を放っていた。
「貴方の名前は?」
「…アッシュ……」
「そうなのね」スラスラとノートに記入していく。
「貴方の年齢は?」
「十二…」(さっき名前聞いたのに貴方かよ…)
「性別は?」
「…見たら分かりませんか…?」
「男の子ね」チェックマークにチェック。
「家族構成は?」
「父さん…母さん…弟です……」
「今その家族は?」
「…死にました…」
「災難ね」
(絶対思ってないだろ)
「チェックは終り。お疲れ様。貴方はこの施設の患者となる。頑張ってね」
そうそうそのまえに。と、看護師
『ジュッ』
「゛いッ…‼」
「この施設は患者が脱走しないために右手にナンバーを焼印するの。これがある限り機械が分析して隠してもこの施設からは看護師の許可がないかぎり出れないわ」
はぁはぁと息を吐きながらも話を聞いた。
「きゅ…急にこれはないですよっ……」
頭がいかれてる
「クレイジーでしょ?」
自覚してた
「自覚してますよ」
なんでだよ
オレは病棟の3階。容姿に異常がある子供がいる階の個室に通された。
けれど、火傷や虐待跡がほとんど。オレみたいな肌の人は初めて見たらしい。
(…ほんとに……どうなるんだ………)焼印された腕を水に濡らしたハンカチで押さえる。
腕には誕生日と【アッシュ】の文字。
(目に見える形で残るのか……)
誰かが入ってきた。
ショート?いや、ボブヘアーの若い女性。黒で露出をさせまいと言わんばかりのロングワンピに、首に十字架ガタのネックレス。まるでシスターのようだが、それは制服でここの看護師らしい。
手袋をつけている。
オレがいる部屋は狭いバスルームがあり、窓際にベット。そのとなりに小さな引きだし棚があり、上に花瓶にいけてある花があった。
風通しが良かった。
(寒いくらいだ。)
夜。 大きなベットの上。自分が小さく見える。
(ベットなんて、オレの部屋にはなかったなぁ…)
月が部屋を照らしている。暗い部屋で、そっと目を閉じる。
でも。見た夢は、悪夢。
母さんと父さん。モナが笑顔でオレの名前を呼んでいる。
「アッシュ、おいで?」
「どうしたんだアッシュ?」
「兄さん早く‼」
嘘だ。嫌だ。気分が悪い。おかしい。だって、オレが殺したはずっ…!
嫌だ、嫌なのに、オレの足は家族の方へと進んでいく。
(嗚呼。やっぱりオレは三人のこと、まだ家族だと思ってるんだな……)
目が覚めた。
鼓動が早い。胸の音がうるさい。息遣いも荒く、呼吸も浅い。
「はぁっ…!はぁっ…!ゴホッ…ゴホッゴホゴホッ…‼ヴッ…!ヴグッ…‼」
口元を押さえる。口からダラダラと嘔吐物がながれてくる。でも、胃酸しか出てない。
(喉っ…熱い…!痛い…‼)
看護師が飛び込んで来る
「大丈夫⁉」
「はぁっ…!はぁっ……!だ、大丈っ夫…ですっ…!」
いつもの悪い癖。これも母さんのせいだ。本当の気持ちを出せないところ。
起きても不快。気分が悪い。
目の前には食事。看護師が持って来てくれたのだろう。一ヶ月は薬を止められても飲んでたから。
だって、薬飲んだら、胸のモヤモヤも苦しさも、
消えるでしょ?
ちゃんとした食事はいつぶりだろう。2歳三歳以来だ。自分でもほぼ水だけで生きてられてるのかなんてわかりやしない。
食事はスープとパン。野菜など。食欲は湧かない。でも食べなきゃ。心配される。
スープを口に入れてみる。
「味…しない……?」
最初は薄いだけかと思った。でも、全部、味がしない。味覚がおかしくなってる。
多分…薬の影響…?
味がしないからなのか、はたまたなにも食べてなかったから体が受け付けないかなのかはわかる。
飲み込めない
飲み込もうとすると息が詰まる。
(でも、食べなきゃ…食べなきゃ…心配される…迷惑かける…!受け入れてくれるところなんて、ここぐらいなんだから…‼)
「ゴホッゴホッ…!ゴホッ…‼ヴ゛クッ…!゛あッ…!」
(無理無理無理無理こんなのっ…食べられない…!)
コメント
1件
読ませていただきました…。冒頭から本当に重くて、読んでいる間ずっと息が詰まるようでした。アッシュの体に刻まれた傷のひとつひとつが、彼の叫びになっていて、胸が締め付けられました。「味がしない」と気づくシーン、無理に食べようとして詰まるところまで、虐待の後遺症がリアルで苦しかったです。それでも「心配されるから」と食べようとする健気さに泣きそうになりました。続きがすごく気になります…。アッシュが少しでも安らげる場所に出会えますように。