コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
何で?ねぇ何で奏ちゃん、女と二人で居るの?
俺に断りもなく。
昨晩あんなに愛し合ったばかりじゃん、俺ら。
キスだけだけど!
「ちょっと〜響、どうゆうこと」
「わかんねーよ、俺もう泣きそう…」
「落ち着け!ちゃんと話聞こう」
やっぱり、あさ美は男らしい。
奏ちゃんと知らん女が俺たちの席に近付いてくる。
それだけで俺の心臓は苦しくて鼓動を速めた。
「響、あさ美ちゃん。二人で何してるの?」
奏ちゃんが話しかけてきた。
俺は怒りやら不安やらで、奏ちゃんの顔が見られない。
「先輩こそ。そちらの女性は誰ですかぁ?」
あさ美が代わりに聞いてくれる。
「あぁ、同じ学校の子だよ。塾もたまたま一緒で。いま塾の帰りでわからないところがあるから教えてほしいって頼まれて。今日から夏期講習って、響には言ったよね?」
は?言ったから何?
塾の帰りに女と二人でファミレスに来たことを許せと?許さないよ。
「はじめまして!相沢桃香です。あなたたち1年生だよね?見たことある!この男の子」
何だ。騒がしい女だな。
桃香?名前もムカつく。
しかも髪はロングで大人っぽい、細くて綺麗めな女。
奏ちゃんと二人並んでいたら、美男美女のお似合いカップルだ。
「ちょっとこの席、一緒に座ってもいーい?お邪魔しまーす」
桃香とやらが躊躇もなく俺の隣に座ってきた。
マジで何この女、グイグイくる!
苦手な人種!
「あの相沢先輩でしたっけ?俺、座っても良いなんて言ってませんよ」
怒りを交えて俺は言った。
「やだ、可愛い顔して怒らないでよ。ちょっとだけおしゃべりしよ」
今度は、奏ちゃんが突っ立ったまま俺を無表情で見つめてる。その感情は何ですか?!
「まあまあ、藤村先輩もとりあえず私の隣座って。ハイ」
あさ美が場をとりなす。
「お邪魔します…」
奏ちゃんは少し不機嫌そうだった。
「藤村くんとこのコ、仲いいの?」
「俺と響は合唱部の先輩後輩だよ」
でもって、絶賛恋人中です。
なんて言えるわけねぇ。
「響くんって言うの?この子可愛い顔してイケメンだって2年生からも人気だよ」
「えーそうなんですか!?」
「あさ美、食いつくなよ」
まんまとこの女の饒舌さに乗っかってんじゃないよ。
「うん。藤村くんも人気だけどね」
「それもわかります」
女同士で盛り上がり始めたな。
「響、モテるんだ」
奏ちゃん、お前もかよ。
「女子の間では噂になってるよ〜。藤村くんと一緒にいることも多いでしょ?だから余計に目立ってる」
「へぇ〜」
「なに奏ちゃん、そのへぇ~は?」
ここに来て初めて俺は奏ちゃんに話しかけた。
「響、人気者なんだね。今日もあさ美ちゃんとデートしてるし」
えっ、自分のこと棚に上げて嫌味?
いや、確かに奏ちゃんに黙ってあさ美と会ったのはまずかったと思っているけど。
「そっ、奏ちゃんこそさぁ人に教えられるほど頭よかったんだあ。知らなかったぁ。塾行く必要なくない?」
俺も嫌味たっぷりに奏ちゃんに返した。
「なに、響その言い方…!」
あさ美が笑いをこらえてお腹を抱えている。
奏ちゃんは本気でムッとした顔をしていたけど、俺悪くないからね!
「そーそー!藤村くんめっちゃ頭良いし、教え方も上手いんだよ。君達も教えてもらいな?」
空気読まない天然女の桃香が救いの女神に見えてきた。
いや、元凶はコイツだけどな!
「ところで響くんと…あさ美ちゃんは付き合ってるの?」
天然女がまた場をかき乱す。前言撤回。
「違います!」
俺とあさ美が同時に答える。
「シンクロしてる〜可愛い〜。やっぱりカップルじゃん!」
ちょっとほら、天然女。
奏さまの顔を見てご覧よ!
怒りに打ち震えちゃってんじゃん!
不機嫌マックスじゃん!
「本当に友達ですよ、私たち」
あさ美が冷静に言う。
「えーでも男女の友情なんてあり得る?こんなイケメンといたらあさ美ちゃんも好きになっちゃうでしょ?」
「はい、好きでした。こっぴどく振られたので諦めましたけど」
「友達でもいいよってやつ?辛くない?」
ちょっとちょっと、女たちが気まずい話し始めた。
奏ちゃんの顔が険しくなっていくぅぅぅ。。
「響にはすっごく好きな人がいるので、その人には敵わないんですよ。だからまぁ…友達に戻れなかったとしても応援するしかないんです」
「なにそれ、健気!純愛じゃん!」
天然女が前のめりにあさ美の話に食いつく。
「相沢先輩こそぉ、藤村先輩をわざわざ誘って勉強教えてくれなんて常套句ですよね。藤村先輩のこと狙ってるんですか?」
おぉ、あさ美よく言った!!
「あ、あたし彼氏いるから!でも藤村くんは2番目にしたいくらいイケメン」
「はあっ!?」
俺は立ち上がってしまった。
「奏ちゃんが2番目って何様だよ!俺にとっては世界一なんだよ!」
ヤバい!つい言ってしまった!
奏ちゃんが俺を見つめる。
「俺帰りますんで」
と言って俺は席を立った。
天然女はキョトンとしていた。
「先輩、響を追って!」
「あさ美ちゃん、ごめんこれ響の分のお金。足りなかったら今度言って」
奏ちゃんが後ろから追いかけてくるのは分かったが、どんな顔していいのかわからなかった。
俺は急いで店から出て行った。