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夜が明ける気配すらない、深い闇の中。
リビングの床に横たわったまま、omrは動けずにいた。全身が鉛のように重く、ズキズキと脈打つ痛みが思考を霧散させる。
先ほどまでそこにいたwkiは、omrをひとしきり「掃除」したあと、シャワーも浴びずに別の部屋へ籠もってしまった。
omrは、震える手でサイドテーブルの上にある自分のスマートフォンに手を伸ばす。画面に映る自分の顔は、腫れ上がり、痛々しく変色していた。
通知欄には、wkiがSNSに投稿したばかりの写真が表示されている。
『今夜も最高。やっぱり自由が一番。』
そこには、高級ホテルのラウンジで、見知らぬ女の腰を抱き、シャンパングラスを掲げて笑うwkiの姿があった。数時間前、omrに「金を出せ」と怒鳴り散らし、抵抗した彼を床に沈めた男と同一人物とは思えないほど、晴れやかな笑顔。
omrは、その画面を愛おしそうに撫でた。
「wki、楽しそう……よかった……」
脳の回路が焼き切れているomrにとって、もはや自分への暴力は「wkiのストレス解消」であり、wkiの浮気は「彼の自由」でしかなかった。
翌朝、wkiはまるで何事もなかったかのようにリビングに現れた。
omrが這うようにして作った朝食を一口食べると、wkiはそれをそのまま床にぶち撒けた。
「味が薄いんだよ。お前、殴られすぎて味覚まで腐ったのか?」
wkiは、怯えるomrの顎を靴の先でクイと持ち上げた。
「……ごめん、すぐ作り直す……っ」
「いいよ、もう。それより、今日中にあと十万用意しろ。新しい女にバッグ買わなきゃいけないんだわ」
omrの貯金は底をついている。それを伝えると、wkiの瞳からスッと光が消えた。
彼はomrの髪を掴んで洗面所まで引きずっていき、冷水が満たされた洗面器にその顔を押し付けた。
「金がない? お前が俺の横にいられるのは、お前が俺の役に立つからだろ? 暴力振るわせるサンドバッグとしても、金を引き出すATMとしても中途半端。……なあ、omr。お前の価値って、あと何が残ってるの?」
ゴボゴボと泡が溢れ、omrの指先が狂ったように床を掻く。
wkiは死なない程度に顔を引き上げると、耳元で残酷な事実を突きつけた。
「死ぬ気で稼いでこいよ。お前が売れるのは、そのボロボロの体くらいだろうけどな」
wkiが家を出ていく際、彼は玄関で一度だけ立ち止まった。
そして、泣き崩れるomrの背中に向かって、これ以上ないほど甘い声で囁く。
「……ま、期待してるよ。お前が頑張ったら、今夜は優しく抱いてやるから」
その一言。
そのたった一言の「報酬」のために、omrの心は簡単に繋ぎ止められてしまう。
客観的に見れば、wkiはomrの人生を食いつぶす害獣でしかない。omrの尊厳を奪い、肉体を損ない、精神を家畜以下にまで貶めるクズだ。
しかし、omrにとっての絶望は「wkiに殺されること」ではなく、「wkiに飽きられて捨てられること」だった。
「……頑張るね、wki。俺、君のために、もっと頑張るから……」
omrは、割れた唇で微笑んだ。
床に散らばった朝食の残骸を指で拾い集め、口に運ぶ。
wkiに「味が薄い」と言われたそれが、今のomrには、血の味と混ざり合って、この世で最も甘い蜜のように感じられた。
夕方。omrは顔の傷を厚いファンデーションで隠し、震える足で街へ出た。
wkiに命じられた「十万」を作るために。
心は死んでいても、体はまだwkiのために動く。
wkiは今頃、他の誰かと笑っているだろう。
明日にはまた、omrをゴミのように扱うだろう。
それでもいい。
いつかwkiに壊されて、動かなくなるその日まで。
omrは、自分を地獄へ叩き落とし続けるwkiの腕の中から、逃げ出す方法を忘れてしまったのだ。
鏡に映る自分を見て、omrは呟く。
「幸せだなあ、俺……」
その瞳には、もう涙を流す機能さえ残っていなかった。
疲れた
応援コメ待ってます
次回→1週間後?
35
60
寿司ったらん
✟Coco✟
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