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今回のテストも散々だった。もちろん成績も。呼び出しは慣れっこだ。そして、呼び出しのたびに担任に言われるんだ。

桃はちゃんとやってるぞ、って。僕は桃じゃない。双子だからと言って、学力が一緒とは限らない。というより、絶対違う。

この高校だって、僕はギリギリで合格、桃くんは余裕で合格だ。その時点で、この高校生活の運命は決まっていた。

わかってはいたんだ。きっと良い点数なんて取れないし、良い成績もとれないって。それでも、ここに入ると決めたのは僕だ。

桃くんは昔から頭が良くて、スポーツが出来て、とにかく何でも出来た。だから、勉強もスポーツも出来ない、何もない僕には誰にも見てもらえなかった。

百点とってすごい、とか、リレーの選手に選ばれてすごい、とかって言われている桃くんが羨ましくて仕方なかった。

だから、僕は誰かに見てもらえるように、振り向いてもらえるように、いつも笑顔でいることを心がけた。笑顔な人には自然と人が集まると思っていた。

だけど、それは違った。

結局、結果が全てで、人生の成績が良い桃くんにしか目は向けられなかった。

笑顔でいても、誰も振り向いてなんかくれないってことに気づいた。

最初は誰かに見てもらうための笑顔だったはずなのに、今は辛いと思っているのを隠すための笑顔になっている。

お兄ちゃんと比べられるのには慣れたし、自分は桃くんより劣っているという事実を、何年もかけて認めたはずなのに。

結局、比べられるのも慣れてなんかないし、劣っていることも自分で認められない。そんな弱い人間なんだ。

正直、辛い。双子でなければよかったのに。なんて、相談できる相手は、僕にはいない。

ナイモノネダリ。

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