…パチッ
tord「……ここは…」
目を覚ますと馴染みのある天井が目の先に映っていた。
もう見たくも思い出したくもない、あの家の天井。
tord「俺は……ああ、そうか…」
ズキズキと痛む右腕を見ながら少しずつ思い出した。
あの後、PaulとPatrickが来て手当てをしてくれたんだ。本当はそのまま車に乗って基地に戻るはずだったのに、Eddが「tordは俺達が引き取ります。」って言った後…。
tord「…気を失ったのか?」
思い出すと何ともまあ惨めで皮肉めいた事を言ったもんだな。
トントン
そうしていると部屋のドアからノックが聞こえた。
tom「…起きてるか。起きてるなら入るぞ。」
tord「ああ。」
バタン
ドアを閉めるとtomはこちらに来た。
tord「…何の用だ。」
tom「……お前の世話をしに来た」
世話と聞いてどうせEddが提案したんだろうなと思いながらも疑問を口に出した。
tord「何でお前が?そうでなくとも俺は帰らないといけない場所がある。」
tom「その帰らないといけない場所ってのはここだろ?」
tord「…はぁ?冗談はよしてくれ。もう見たくもないんだ。」
やりたいことも叶えたいことも全てあそこでしか出来ない。こんな所じゃろくに動けやしない。
それでもtomは…
tom「お前の為なんだ。」
何を言うかと思えば
tord「…俺の為?はは、笑わせてくれるな。」
tord「あんなことをしておいて何を今更俺を気にするんだ?俺を辱めたいのか?嘲笑いたいのか?」
tord「もう疲れたんだよ…」
偽善者ぶってきた俺にとってここに居ることは苦痛でしかないのに。
tom「…俺は…」
tom「お前が好きだったんだ。」
tord「……はっ?」
tom「突然こんな状況でバカだと思うだろ?」
tom「でも昔からかっこよくて優しくて俺に意地悪してくるお前が大好きだった。」
tom「だからこそお前の為に動きたかった。」
tom「偽善者ぶってたのも知ってたさ。言わなかったけどな。」
tom「お前に怪我させてこんな事言うのも今更だが…」
tom「ここに居てくれないか。」
tord「……………えっ……」
ぶわわっと顔が火照ったような気がした。
目の先が光って見える。
心臓の音もうるさく、今にも止めたいぐらい。
…少しぐらい、甘えたっていいよな…
……もう嘘はつきたくない……
tord「………コクッ」
tom「…ありがとうな。」
バタバタ
edd「tomー!ちょっと来てー!」
tom「今行くー」
tom「…じゃあゆっくり休むんだぞ?」
バタン
これからどうしようか。
tord「……はぁ…///」
.続く.