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・ mga / ryp
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★ Fujisawa Ryoka side
「わーかーい」
ソファでのんびりしている若井に声をかけ
ぎゅう、と後ろから抱きしめる。
『っゎ、りょうちゃん…?』
「おはよー」
『ぅん、おはよ…………朝からひっついてくるのやめて…』
「え、」
がーんとあからさまにショックを受けていれば、若井の唇が触れる。
ゆっくりと唇が離れていく。
目線を斜め下に移し、頬を赤く染め若井の姿が見えた。
『…………っ、その、…ちゅーは、していいから』
「…………やった!!若井だいすきーー」
ツンツンしてるけど、ちゃんと素直になってくれる若井が愛おしくてたまらない。
「今日何時からだっけー?」
『8時』
壁に飾っている時計に目をやる。
すると、時計のふたつの針たちは7と6に向かっていた。
「…え?」
『ん?』
「あと30分じゃん!?!?え、うそ!?!?」
『ちゃんと起こしたのに起きなかったからじゃん…』
「おはようございま〜す」
ガチャリと楽屋の扉を開ける。
そこにはもう既に元貴が居て、おやつを何個も口に入れていた。
『おはようふたりとも。ガンガン遅刻してるけど、スタッフ来てないから大丈夫』
「よかったあ…」
『いやよかったあじゃないから。遅刻だから。』
気をつけてね?と若井は僕を見下すように言った。
はぃ…と怯えつつ小さな返事をした。
そんな僕たちを、元貴はいつもの高笑いで見つめていた。
「なんか飲み物でも買ってこようかな」
メイクが終わり、出番まで待っていたころ。
飲み物が無くなってしまったので、自分のものを買うついでにふたりのも買っておこうと声をかける。
「若井と元貴なんかいる?」
『コーラ』
『アクエリ』
「はあい」
楽屋の扉を開け、近くの自販機まで向かう。
「…あれ?」
自販機がようやく見えてきた頃。
自販機で飲み物を購入している人が見え、目を凝らす。
…阿部くん?
『…え!涼架くん!?』
声をかけると、やはりそこに居たのは阿部くん。
いつもたくさん仲良くしてもらってる、気象予報士のかしこいアイドル。
今をかがやくスーパーアイドルで、仲良くしてもらっていいのか…?という気持ちになることも多い。
『久しぶり〜!』
お互い忙しいというのもあって、なかなか飲みに行けなかった。
よく阿部くんに恋愛相談をしていて、いろんなアドバイスをくれるから有難い。
自販機横のソファにふたりで座り、他愛もない会話を交わした。
『あ、そういや若井さんとはどう?』
「いつも通り?って感じかなあ」
なにも変わらない、愛おしい日常。
これで僕は満足だし、これ以上どう変わろうともしたくない。
「阿部くんはなんかないの〜?」
『うーん、俺かあ…』
『阿部』
落ち着いた、少し低めの声が聞こえる。
上を見ると、怖そうな方が立っていた。
でも瞳の奥は優しさや愛おしさで溢れている気がした。
『…え、ひかる?なんで?』
『もうすぐ収録始まるから』
『え!やば!!ありがとひかる!』
『ん、いーえ。』
それだけ告げて、すぐに去っていった。
…なんか、怖そうだったけど…
初対面でこんなにも失礼なことを思って申し訳ない。
「…ほえー」
『ちょ、なになにww』
「阿部くんの好きな人?」
『え!?!?全然ちがうよ、!!』
首をぶんぶんと横に振り、目をそらす阿部くん。
「阿部くん今日の夜空いてる?」
『夜は…11時からだけど空いてるよ』
「久々に飲み行っちゃわない?」
『え!ありあり!行こ行こ〜!』
久々に飲みに行ける、と舞い上がっていたのも束の間。
まさかこんな事態を招くとは、思ってもみなかった。