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僕らの14つのメモリー

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僕らの14つのメモリー

16 - 4つ目の思い出のかけら16

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2022年08月04日

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朝起きてびっくりした。まだ父が家にいたのだ。いつもは6時にはもう家を出ているのだ。今日は昨日の夜ふかしもあり時間ギリギリまで寝てしまった。

「おはようございます。」

「あぁ,お前の薬みたがあれはなんだ?本当に本を見て作ったのか?」

「はい、、、、」

「はぁー、色々あるが一つ,焦りすぎだ,それじゃあ助けれるはずの命も助けれないぞ。」


「はい、、、、」

「だがまぁ俺は子供を犯罪者にしたいわけじゃない。」

「どういうことですか?」

「お前は黙って見てなって意味だ。」

「そんなのっ!!」

その時父が勢いよく椅子から立ち俺の前に立った。

「お前に何が出来る?」

その声は酷く冷めていてでもとても深い意味があった。その声を耳元で聞いた俺にしか分からない,あの声は背筋を凍らせ,何も言い返すことができなかった。

「俺だって助けられなかった命はある。その子は子供の頃から体が弱くてな,7歳ぐらいで亡くなってしまったんだ。全力を尽くしたでも,死んだらそんな過程に意味はないんだ。だからこそ助けようとしたら必ず最後まで助けようとするんだ。お前にそれはできない。」

「……………」

「もう一度言う、任せとけ。」

そう言って綺麗な服を着て家を出ていった。それを見届けてからも俺の体は凍ったままだった。学校に着いてもあの声は耳と脳内から消えることはなかった。

「おはよう!先生!。」

「もう、薬は作れない、、、」

「あ?何言ってんだ?」

かいとの声は怒りがあった,でもそれ以上に心配してくれていた。でもその心配を裏切ることになる。

「もう、、無理なんだよ。」

「何言ってんだよ!昨日何があった!」

「お前には分からないよ。」

「分からないから聞いてんだろ!」

そう言ってかいとは掴みかかった。クラス中の生徒の視線が俺たち2人に向く。

「わかるように言ってやるよ。もう薬は作れないし、作らない。」

「なんで?お前ははるきたちを助けたくないのか?」

「俺が何やったって無駄だからな。」

「やったってことが大事なんじゃ無いのか?」

「大事なのは結果だ。」

タイミングが良かったのか悪かったのか、鬼山先生が入ってきた。かいとは何事もなかったかのように席に座った。そこから1日はかいととは一度も会話しなかった。家に帰ってびっくりした。父がテレビに出ていたのだ。

(この度近頃世界問題となっていた病気の副作用が無くなった薬の開発に成功したと言うことですが、薬の決め手はなんでしょう。)

(コケの中にある神経衰弱への対抗からヒントを得ましたね。)

「はっ?あのクソジジイ,手柄を横取りってか?」

そう言って近くにあったカバンを蹴った。すると20枚位のプリントが出てきた。

「チッ、なんだ?これ?」

そこには大量の父の成果が書かれていた。しかし今の俺にはこうやって人の努力を奪ったようにしか思えなかった。でもそれは違った。父は人の努力を裏切らなかった。その紙の下には一冊日記的なものがあった。そしてその日記を読んだ。

[7月2日 けんじがやけに反抗的だった。薬を作りたいと言い出した。こんな忙しい時期に、しかも友達を救うためになんて言い出した。そんなのただの薬物乱用だ。なんとかして止めなければならない。]

[7月3日 けんじが作っている薬を見たがあれはほぼ完成品だ。このまま明日を迎えるわけには行かない。けんじの頑張りを裏切ることにはなるがしょうがない。あいつのためだ。]

[7月4日 けんじにとても強く当たってしまった。]

ここで日記は終わっていた。でもなぜかそこに続く言葉が分かる気がした。

「本当に、あのクソジジイは」

無意識に頬が緩んでしまった。これが俺の大きな1つの思い出だ。


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