tn「…お母さん、じゃまだなぁ、」
床に倒れ、血を流している母を見る
tn「くさいし、虫わくし、…」
母親の髪を両手で掴み、
思い体を引っ張る。
tn「よいしょ、ッ…」
ぶち…っと髪が数本抜けるが、
まあいいか。
そう思い、
使われていない倉庫のような部屋まで引きずる。
tn「血、たくさんついちゃったな。」
きったな…
今日はもうめんどくさいなぁ
からだ、まだいたいし、
もう、ねちゃおうかなぁ
ぱち…
悪臭が漂うこの家で目が覚める
tn「うぇ…、、」
こんなくさいところ…いやだ
我慢ができないため、
家から出ていく。
ピンポーン…
…
tn「あれ、」
ピンポー…ん
…
出てこない。
tn「グルさー、ん?」
鍵のかかっていないドア
を開ける
覗いてみる。と、
tn「ぇ、…?」
何も無い、
家具も、物も、全部ない
唯一残されたのは
グルさんが使ってただろうこの
眼鏡だけ。
tn「グルさん?」
家中駆け回る。
風呂もトイレも全部全部
tn「グルさん…?」
…
ちがう。
今は出かけているんだ。
…そうだ。
家具は、すてちゃったのかもしれない。
ただ、それだけ…、。
明日、帰ってくる。
そう信じて。
ー翌日ー
今日もインターホンを鳴らすが…
出ない。
tn「グルさん…?」
家の中も。
りょこうにいってるのかなぁ?
残された眼鏡を持ち、
自宅へと戻る。
ー翌日ー
…出ない
tn「…いないなぁ」
…
ー1週間後ー
ピンポーン…
…
tn「…いない…」
ー1ヶ月…ー
tn「………」
もう一度、家中探し回った。
風呂場にあったんだ。
こんなてがみが。
「
お前とはおさらばだ。
ごめんな。
グルッペン
」
たったそれだけ書かれた手紙。
tn「は、……?」
おさらば、?
そんなハズ
tn「はァッ、はぁ…!ッはぁ…!!っはッ…!」
無意識に家から逃げ出していた
走って
走って
走って。
そんなはずない
だって約束したから
俺がかならずグルさんのヒーローになるって
だって…
だって!!
グルさんに
まだ…!!
“好き”
って
言ってもらってない…!!
自然と涙があふれる。
もうどこまで走っただろうか。
分からない
場所も
自分のやりたいことも。
グルさんがいない…。
tn「ぐるさんがいないセカイなんて…ッ」
,…………..
あれ
おれって、
なにがしたかったんだっけ。
グルさんから貰った…、いや、貸してもらった
眼鏡を顔にはめる。
…そしてマフラーを首に。
おれのやりたいこと…。
「いいかァ?トントン。これが人助けだ。」
その言葉を思い出す。
tn「人助け…。」
…
人助け…、ヒーロー…、
おれ、ヒーローになりたい
人をたすける、そんなヒーロー!
かならずなってみせる。
なったら、グルさんに見せつけるんだ!
そう胸に誓い、もう一度走り出した。
そこから何年経っただろうか。
自分の年齢さえ覚えていない。
世界中を旅するヒーローとなった。
tn「……早く教えろ。」
「だッ…だから、!俺はなんも知らねぇんだ!!本当に…ッ!!、」
tn「ッチ…、」
パァンッ!!
使えねぇな…。
血が大量に飛び出し、
返り血がマフラーにつく。
tn「…、、」
「人助けをしてもバレない、赤いマフラーだ。」
ふとそんな言葉を思い出す。
今更考えたって…。
死体を池に沈め、
スマホを確認する。
tn「次の任務は…。」
いじめをたすける…か。
…
「いたいよ…やめてよ…、」
「はぁ?だまれブスっ!!おまえみたいなやつが口答えすんじゃねー!ばぁーか!!」
「キャハハははッ!!」
「ぅ…、”」
見つけた。
身体的にも精神的にも疲れているであろう。
虐められっ子はその場で意識を失ってしまった。
tn「よォ、君たち。」
「…っ、おまえ、誰だよ…」
tn「通りすがりの一般人や。もっとコイツ…痛めつけたくないか?」
いじめっ子たちは顔を見合わせる
「おう!!もっと、もっといじめたい!!」
皆揃って、そんな言葉を言い放つ。
クソガキが…。
tn「はい、着いたよ」
「ここは?」
「真っ暗じゃん、こわーい」
tn「…ちょっと、そこでまっててね。」
「わかったー」
そう言い残し、
おれはこの部屋から出ていく。
…二度と出られないこの部屋から。
カチャ…
鍵を閉める。
トイレも
水も
飯も
風呂も
なにもなーいこの部屋で
生涯を終えるなんて。
なんてダサい死に様だろう。
tn「せいぜいもがき苦しめ…」
どうせ1週間後にはハエとウジ虫がうじゃうじゃいる空間になるのだろう。
なんて滑稽な。
人助けの為なら人を殺す。
それが” ヒーロー “、
そうやってあの人は言っていたから。
そんな行為を毎日毎日
何回も、何回も
繰り返し、繰り返し、
はて、俺は何人殺したのだろう。
…いや…
俺は何人救ったのだろうか。
tn「これがヒーロー。」
人を赤く染める度、
そんな言葉を甦らせる。
ヒーローは人を殺さない?
…殺すよ。
殺すに決まってる。
だってあの人が言ってたから。
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