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好きだからこそ

14 - 第13話 完

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2024年04月10日

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「……駄目?」


自分でも卑怯な聞き方をしているのは分かっている。でも、こんなチャンス、そう何度も訪れるものではないし、これを逃したら、それこそ腰抜けだ。じっと揺れているホバの目を見つめれば、数回瞬きをした後、逸らされてしまった。……展開が急すぎた?キスは早い?嫌…とか?


「…僕……まだ、準備が……」

「…準備……そうだよね、急すぎたよね、ごめ「リップ塗っても良いですか?」……ん?」

「えっと……キ、キス…するとは、思ってなくて……乾燥してるから、リップ……」

「……あぁ……うん、良いよ」

「ありがとうございます……ん、良し。…一応、歯は磨きましたけど…匂います?」

「……いや、別に……」

「後、しなきゃいけない事……初めては、レモンの味?ラムネ?とか言いますよね。……レモン汁ありましたっけ」

「……無理にする必要はないと思うし、初めてって、爽やかなイメージがあるから例えで出てるだけだと思うよ」

「…そうなんですか?」


…一筋縄ではいかないだろうなとは思っていたが、想像の斜め上を行き過ぎてる。真面目なんだか天然なんだか…まぁ、そこが可愛いんですけれども。ぱちぱちと瞬きをしながら僕を見るホバの丸っこい後頭部を両手でなぞり、そのままの流れですべすべの頬に手を添える。嫌がってる反応ではないんだけど…ちゃんと返事は聞きたい。


「………ホバ、キスしたい」

「………は、い………」

「……駄目?」

「だ……め、じゃない。えと……ぁ……駄目、じゃない、です……っ」

「………ホバ、目閉じて」

「………っ」


ぎゅっ……


…顔真っ赤。目どころか、全身に力を入れてるせいで小刻みに震えてるのが面白いけど可愛い。唇も、ほんのり尖らせてくれてる。……ホバの反応のせいで僕まで緊張してきたじゃないか。さっきの斜め上な反応のおかげで良い感じに冷静になれてたのに。だが、ここまで来て引くなんて選択肢は何処にもない。


ふに……


何故か震えが伝染してしまったまま、そっと唇を重ねる。…柔らかくて、あったかくて…合わせた唇から、言葉に出来ない幸福感が全身に広がっていく。…これは、中毒性がありすぎる。


「…ん………」

「……………」

「……ホバ、目開けてよ」

「…手、離して下さい……」

「……何で」

「め、目……ジンヒョンと、合わせたら…恥ずかしさでどうにかなりそう……!」

「やぁー、恥ずかしいのは僕も同じだってば」

「い、一回…離して下さい。このままじゃ、目を開けられません…!」

「………はい」


そっと離してホバを見るも、体を動かす気配もなければ、目も開けようとしない。恥ずかしいからって……お互い様だと伝えるが、無理なものは無理らしい。仕方なく両頬に添えていた手を離せば、両手で顔を覆ってしまった。…それは反則だろ!!


「やぁ!顔を隠すのは卑怯だろ!」

「無理です、恥ずかしい……!」

「そんなんじゃ、この先どうするんだよ!」

「今は無理!」

「……それ、傷付くんだけど?」

「ぅ……し、仕方ないじゃないですか…ヒョン、絶対格好良いもん……目が追いつかないです…」


一向に手を退けようとしないホバに疑問をぶつければ、何とも可愛い答えが返ってきたので、力づくで両手をこじ開けると、再度唇を重ねる。


「っんぅ……!」

「……ん………ホバ。今すぐ部屋に強制連行されたくなければ、退けて」

「…へ、部屋!?むむ、無理!今もいっぱいいっぱいなのに、これ以上は無理です!!」


半分脅し、半分本気で言ってみれば、物凄い勢いで首を横に振りながら否定されてしまった。少しガッカリするも、相変わらずの赤い顔にテンパって吃り口調になっているのが可愛くて、動きを封じる意味も込めて抱きしめる。…キスしたいだなんて大きい目標掲げてたけど、よく考えれば触れ合う事自体久しぶりだな。


「ホバ、ヒョンは幸せ者だよ」

「幸せ……それは、僕もですよ……」


大好きな落ち着く匂いを肺に取り入れながら、ぽん、と頭に浮かんだ言葉を発すれば、そっと背中に腕が回ってきて、何とも嬉しい言葉が返ってきた。二人きりの時間はあったはずなんだけどな…いざ、恋人としての時間を過ごそうと思うとどうにも照れてしまい、上手く目を合わせられていたかすら不安になるほどだ。……でも、キス……したもんな。確実に一歩は進んだ。これで恥ずかしいは可笑しい話だ。


「……ホバ、次の目標ね」

「…目標?」

「そう、目標。………毎日キスが出来るようになると良いよね」

「…ま……毎日!?ぇ……えっと……ま、まずは、一週間に、一回くらいで……!」

「……ゆっくりね」


そう、ゆっくり。焦る必要はない。僕たちのペースで、ゆっくり進んでいければ……後は、これだけ可愛い奴の前で僕の理性がどれだけ持つかだな。






皆様、【好きだからこそ】これで完結でございます。無事書けたか…不安ではありますが、沢山のいいねと愛読、感謝しております。


二人のお話は、これでおしまいとなります。今後は、皆様の想像にお任せします……🙏


長らく読んで下さった方々、本当にありがとうございました。

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