さとみ「莉犬ー、今日俺帰るの遅くってさ」
さとみ「兄ちゃんも仕事忙しくて、」
さとみ「弟達も学校なんだけど、」
さとみ「1人で大丈夫か?」
莉犬「大丈夫」
さとみ「ほんとに?」
莉犬「ほんとに大丈夫だから」
さとみ「そ、じゃあ頼んだ」
さとみ「家事は莉犬じゃなくて弟にやって」
さとみ「貰いなよ?」
莉犬「は、?俺だってできッ…!」
さとみ「出来ないだろ!!」
莉犬「ヒッ…」
さとみ「じゃ、そゆことだから」
さとみ「よろしくね、ご飯置いといたから」
さとみ「好きな分だけ食べて」
さとみ「俺もう行くからさ」
さとみ「行ってきます」
莉犬「行ってらっしゃい…」
静かな部屋に扉が閉まる音だけが響いた。
”何も出来ない”か…
そんなこと自分では分かってる。
1人で家中を歩くことも出来ない。
学校に行って授業を受けることも出来ない。
みんなと同じように遊ぶことが出来ない。
俺には出来ることが何も無い。
分かってる。分かってるんだ。
でも、改めてそう言われてしまうと 本当に自分は何も出来ないような気がしてしまって嫌だった。
ころん「おはよぉ、兄ちゃん達は?」
莉犬「仕事行ったよ」
莉犬「帰り遅くなっちゃうみたい」
ころん「まじぃ?僕も遅いや」
莉犬「そっか。とりあえず、ご飯食べな。」
ころん「兄ちゃんは?」
莉犬「俺、いいや」
ころん「そっか」
ころん「体調は?どう?」
莉犬「大丈夫。」
ころ「良かったー!」
るぅと「莉犬ー!!!!」
るぅと「体調大丈夫ですか?痛いとこない?」
莉犬「大丈夫だよ」
るぅと「ほんとですか!?良かったぁ」
莉犬「お兄ちゃん遅いみたい今日」
るぅと「えぇ!?莉犬どーするの?」
莉犬「ぼーっとしてる」
るぅと「そっかぁ、」
良かった。そう思った。
昨日のことを深く聞いてこなかった。
きっと、何かしら察したのだろう。
その気遣いさえも、俺には鬱陶しく感じてしまう。
ジェル「兄ちゃん…大丈夫なん?」
ジェル「熱あるやろぉ?」
ジェル「ゆっくりしいや?」
ジェル「掃除は絶対ダメやで?」
ジェル「わかっとるん?」
莉犬「わかってるよ」
ジェル「ほんまかぁ?」
莉犬「ほんと。」
ジェル「そやな!笑」
ジェル「俺ら行ってくるわ!」
莉犬「うん。行ってらっしゃい。」
3人「行ってきます!」
やっと居なくなった。
家事をするな?じゃあ誰がするの?
疲れた、弟や兄ちゃんがやるの?
俺は?俺は何をするの?
答えは1つ。何もしない。何も出来ない。
見てるだけ。
いや、見ることも難しいかもしれない。
3人と話してる時は頭が痛かった。
今すぐにでも泣きたいぐらいだった。
今は、吐き気に襲われている。
こんな状態で家事をされてもきっと足でまといにしかならないだろう。
そう思って大人しく部屋に戻ることにした。
莉犬「あ、」
莉犬「俺部屋戻れないんだ…」
莉犬「いや、いける、、 」
莉犬「兄ちゃんだもんッ…ポロポロ」
吐き気に襲われる。
頭痛はやまない。
視界は霞む。
視界が歪んで見える。
目の前には階段がある。
階段の一番下の段に足を乗せる。
次の段へと足を運んでいく。
2つ目、3つ目。4つ目5つ目。
視界は変わらない。歪んだままだ。
頭にキーンと音が聞こえる。
頭に響いて思わず頭を抱えて、
しゃがんでしまう。
その時だった。
俺は足を滑らして、階段から落ちた。
落ちる衝動と共に俺は意識を手放していた。
短くてごめん。今度また書くね。
コメント
9件
初コメかな…?失礼します! この物語大好きです!
え!?短くなくないですか!? 最高ですよ!!! みんな、赤くんに優しいのやっさしー!(?)