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53 ◇婚活
蒼馬正義と付きい始めて4年目、30才を目前に俄然まほりは、自身の結婚を
意識するようになる。
友人に紹介を頼んでみたり、結婚相談所にも入会してみたりと。
そしそのような中、まほりは結婚相談所からの紹介で2人の男性と何度か会って
話をする機会に恵まれる。
多くのお相手を紹介され、そのうちの6人から打診があり、まほりが選んだのが
堀内と鍋本のふたりだった。
1人目は堀内貴史28才――会社経営している父親の会社で働いており、年収は2000万円。
そして、2人目が鍋本俊郎32才――サラリーマン、温厚でやさしく年収は
800万円。
堀内は婚活しているのが不思議なくらい見映えもよく洗練されている。
その上社交的で会話もスマート、一緒にいて飽きることなく楽しくいられる相手だった。
ただ、懸念点があるとするなら、すでに自分とは6回も会っているのにまだ結婚を前提と
した交際の申し込みがないことだった。
一方の鍋本は特別華やかさはないものの、穏やかな人柄で一緒にいて寛げる
男性だった。
彼とは3回会い、そのあとで結婚前提の交際の申し入れがあった。
まほりの本心は、見た目もよくお洒落で華やかさもあり、その上鍋本の年収の2倍以上ある
堀内に交際の申し入れをして貰いたいというものだった。
だが、鍋本よりも数多く会っている堀内からは、断られることもないが交際の申し入れも
なく、様子見されている状態である。
まほりは、どうするべきか迷い、気持ちは揺れに揺れた。
申し入れをしてくれない堀内をあっさり諦め、鍋本の交際申し入れを受けるのか、
はたまた結論の出ていない相手、堀内が申し入れしてくれるのをただひたすら待つのか。
それとも、いっそ相手からの申し入れを待たずに、自ら交際したいと
堀内への申し入れをしてみるか……。
けれど一方でそう考えれば考えるほど、堀内は人気があるため、おそらく
他に自分以外にも、気になる女性がおり――――
その人と自分を天秤にかけ選びあぐねているのだろうと思うと、
怒りがフツフツと沸いてくるのだった。
お相手は何もルール違反はしていない。
だから、自分に相手を責める資格などないことは、重々承知している。
だが、人間の心情というものは、そんな単純なものではすまされないやっかいなもの
を内包している。
そのような状況の中でまほりがとった最終的な選択は、自分の本意を捨てること。
それは、自分へ明確に好意を示してくれる鍋本の申し入れを受け、結婚を見据えての
交際をはじめるというものだった。
そこに至るまでどれほど苦しんだことか。
なので、結婚相談所のスタッフにそのように返事をしたあと、ようやくまほりは心を
落ち着かせることができた。
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