日帝が死んでから2年が経った。
今日は12月24日のクリスマスイブ。
俺は何をしているかって?
4年前、日帝とあの綺麗な満月を見た場所に向かっていた。
もう日帝とあの満月を見てから4年が経ったのか。
時って早いな。なんて当たり前のような事を思う日々だ。
日帝とまた、あの満月を見れたらな。
なんてまた、叶わないことを願う。
俺って本当諦めがたい奴だな。
俺はあの場所に着いた。
「あぁ。あの時と一緒だ」
俺は心からそう思った。
あの日日帝と見た綺麗な満月と一緒だ。
綺麗で。眩しくて。丸くて。
日帝。お前は今どこにいるんだよ。
もっと一緒にいたかった。
俺は2年が経った今でもそう思う。
「ナチ」
後ろから俺を呼ぶ日帝の声が。
驚いて振り返る。
夢を見ているかのようだった。
そこにはあの日死んだはずの日帝がいた。
「日…帝…?」
俺は聞いた。
「約束、守ってくれたんだな。ありがとう」
日帝は少し透けているようだった。
でも、まるで今も生きているかのように間近に日帝の存在を感じた。
「何でここに…?日帝は…」
「すまなかった。お前を残して死んで…俺はお前ともっと一緒にいたかったのにな」
日帝は少し微笑んで言った。
もう顔は見れない。
一緒にいれない。
そう思っていたのにもう1度日帝に会えた。
嬉しさと寂しさがあって、俺は涙が溢れた。
「あの日と一緒で綺麗だな…」
日帝は月を指差して言った。
「あの日と…一緒」
俺も日帝に続いて言う。
「今日はお前に言いたい事があって来たんだ」
「言いたい…事?」
俺は聞いた。
「今までありがとな…」
日帝は今までに見たことない、満足そうな笑顔でそう言って消えた。
「日帝…!!」
俺は驚いてそう口にする。
月が綺麗で眩しい。
まるで俺を照らしているかのように。
けど照らしているのは俺だけではないはず。
そう。日帝もいる。
月が照らしているのは〝俺達〟なんだ。
ここにいないけどいるんだ。
俺、何言ってんだろ。
けれどこれは本当だと思う。
あの日と同じようにー。
月は今日も俺達を照らしてる。
「月は今日も俺達を照らしてる」以上。