コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
◇◇◇◇◇
第四章 メヒカール帝国編
◇◇◇◇◇
時は少し遡り、場所はメヒカール帝国王城。 その一室での帝王と丞相のやりとり。
「帝王様!緊急連絡です!」
「なんだ、ホセ!騒がしい。何があった?」
「ウサール王国で死神が討伐されました。またもや、黒の軍団です!頭領のユメが討伐しました。それによって、国王、王妃、王子の呪いも解除されたとのことです!」
「何をー!黒の軍団の頭領は緑と言っておったではないか!なぜ、討伐できたんだ!」
「はい、たしかに緑であることは間違いないのですが、単身で討伐に成功しています。スケルトンナイトの集団もすべて消滅しました。」
「ぐぬぬ、一度ならず二度までも!クソ、疫病神が!どこまで邪魔する気だ!」
「はい、先日のカナール皇国の件に加え、ウサール王国でも予想を超えています。」
「はいじゃないんだよ!お前、皇国のクーデターの段取りと王国の死神の封印解除に、どれだけの労力と金を使ったと思ってるんだ!
クソ!誰か黒の軍団に対抗できる輩を引っ張って来れんのか?すぐに殺してしまえ!」
「帝王様!申し訳ございませんが、すでにこの大陸で黒の軍団に対抗できるものは、神セブンのキャスバル以外におりません。通常の手段では、太刀打ちできません。我が帝国軍をしても、対抗できるかどうか疑問でございます。」
「ホセよ!通常ではない方法はないのか?斬新で確実な方法は!」
「はい、これは一つの提案ではございますが、こちら側に取り込むというのはどうでしょうか?」
「ふむ、そんなことが可能なのか?」
「情報によりますと、黒の軍団の頭領であるユメという男は、相当な女たらしという噂です。
それを利用する手でございます。
そこで、王女様で適任の方がいらっしゃると思いますが、どうでしょうか?」
「ん?よくわからんが。」
「黒の軍団頭領を籠絡するのでございます。
まず、こちらに軍団を呼び出し、王女様と引き合わせ、お世話をさせるのでございます。
そして、気を許したあとに、いつものように、ガチャリということで。
そうすれば、黒の軍団はこちらの手のうちでございます。」
「なるほどな。で、適任の王女というのは誰だ?」
「それはもう、王女様の中でも、一番お美しいあの方でございますよ。今は、隔離されていますが。」
「ん?おー、あれか?王族で唯一、世界民を授かった、あの忌まわしいやつのことだな?
それは良い。あやつも使い道ができたな。
恥ずかしくて、表には出せんが、今回は適任であろうよ。今すぐに呼び出せ!」
「はっ!ただいま!」
思ったより早く丞相が戻ってきた。ひとりの少女を連れて。すごく警戒した様子の少女に帝王が声をかける。
「おー、よく来た。久しぶりだな。
いきなりだが、お前にひとつ仕事をやる。やっとお前にも役に立てる時がきたな。」
少女は話しかけられても震えて声も出ない。
「まあ、仕事と言っても簡単なことだ。
ある男に好かれればいいだけだ。ただし、お前の言うことはなんでも聞くくらいにだ。
そのためには、お前の行動にかかってるが、失敗は許さんぞ。利用できるものは利用するんだぞ。母親譲りのお前の美貌と無駄に発育した体を使ってな。
と言ってもお前にはよくわからんか!じゃあ、教えておいてやろう。お前はその男と2人っきりになった時に全部脱げばいいのだ。わかるか?全部脱ぐんだぞ!ははは!」
少女に断る術もなく、ただ、黙って頷いていた。少女にとって帝王はそういう存在であった。
「もう良い。下がれ。あとはホセに詳細を聞いておけ!
ホセよ。全ギルド支部と帝国内の街、関所に黒の軍団宛ての帝国王城への招待通知を伝令しておけ!今すぐにだ。ギルドへの依頼料はいくら使っても構わん。」
「はっ!承知いたしました。」
少女は、丞相に連れられて、ある男の話と何をしなければいけないかを何の疑問もなく、何の反抗もせず、ただただ、自分の中に取り込んでゆく。人形のように。
◇◇◇◇◇