テラーノベル
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塔のいちばん奥。
重たいカーテンで閉ざされた部屋に、姫はいる。
名を、こさめ。
外に出ない。
誰とも会わない。
世界は、この部屋と、ひとりの従者だけ。
🍵「姫、お食事です」
静かな声とともに扉が開く。
銀のトレイを持った青年——すち。
過保護で、冷静で、完璧な従者。
姫に関することだけ、少し過剰。
🦈「いらない」
ベッドの上で丸くなったまま、こさめは言う。
🦈「さっきお菓子食べたし」
🍵「それは食事ではありません」
淡々と返す。
🍵「姫が倒れたら困ります」
🦈「倒れないもん」
🍵「倒れます」
即答。
こさめは、外が怖い。
視線も、期待も、噂も。
だから部屋に閉じこもった。
最初は数日。
それが数週間になり、やがて当たり前になった。
止めなかったのは、すち。
止めるどころか、完璧に整えた。
本も、甘い菓子も、柔らかな毛布も。
姫が出なくて済むように。
🦈「外、晴れてる?」
🍵「ええ」
🦈「人いる?」
🍵「います」
🦈「じゃあ無理」
こさめは布団をかぶる。
すちは静かにカーテンをさらに閉めた。
🍵「無理しなくていいです」
優しい声。
🍵「姫は、ここにいればいい」
すちは本気で思っている。
外は汚い。
欲望と噂で溢れている。
姫は柔らかすぎる。
だから、守る。
🦈「すっちー、。こさめ外に出てみる、」
布団の隙間から、小さな声。
🍵「なぜ外に出る必要があるのですか?」
🦈「……みんな出てるから」
🍵「姫は“みんな”ではありません」
即答。
🍵「姫は特別です」
その言葉に、こさめの胸が少し温かくなる。
ある日、侍女が言った。
「姫様、少しは庭へ……」
その夜、侍女は配置換えになった。
理由は明かされない。
でもこさめは気づく。
すちがやった。
🦈「すち?」
🍵「はい」
🦈「侍女いなくなったね」
🍵「姫に余計なことを言いました」
表情は変わらない。
でも声は冷たい。
🍵「姫を不安にさせる者は、不要です」
そこまで?
少しだけ、背筋が寒い。
でも同時に。
安心する
お題思いつかなかったので
お題ガチャりました
コメント
2件
面白かったです!!
初コメ失礼します 翠瑞の風邪編もう1回やって欲しいです 翠様が瑞様にヤンデレになるやつも書いて欲しいです