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zm視点
起床時刻となり眩い光が部屋を照らす、窓から入ってくる日も光に混じり姿を消した、重い体を起こし窓を開ける、今は冬の後半、肌寒い風が髪を揺らす、洗面所に行き顔を洗い、歯を磨く、スッキリしたところで服を着替える。少し廊下側も騒がしくなってきた、今日は夕方に任務がある、午前中はどうしようか、食害?内ゲバ?悩んでいると扉がバンッと激しい音を立てて開く、壊れたらどうすんねん
syo「ゾム起きてるよな!」
kn「模擬戦しようぜ!!」
相変わらずの煩い声と共に出てきた狂犬は戦いをご申しの様だ、何時ものことだが何時も飽きない、
zm「おう!」
元気に返事をする、二人は歯を見せ笑い、手招きをして訓練場に走っていく、俺もそれを追いかけて行く
目的地に着くと早々と構える、負けるつもりもない
kn「位置についたな!…よーいどん!」
コネシマの声と共に三人は駆けだす
…
肩で息をして伸びている奴が二人、立っている奴が一人、俺が勝った、
syo「はぁ〜…やっぱ強えな」
kn「でも…”諦めねぇ” 」
zm「…ハッ越えてみやがれ」
俺は笑いながら嬉しそうにこいつらにそう言った、すると二人も眩しい笑顔を向けられた
狂犬と別れると昼飯に丁度いい時間になっていた事に気が付いたお腹も空いてきたし訓練場を出て、食堂へ向かう
食堂へ着くと見慣れた背中が見えた、オスマンとひとらんだ
os「あっゾムめう〜」
ht「…一緒に食うか?」
zm「ん、じゃあお言葉に甘えて…」
そう言い食事を取りに行き、オスマン達の近くにあった椅子に座り、「いただきます」と手を合わせる、ゆっくりと食べ進めていく、すると横から具の乗ったスプーンが差しだされた
zm「……?なんや」
os「何って、あ~ん?」
悪びれない様子でニコニコと綺麗な笑みを浮かべている、ひとらんは、というと帽子を深く被り少し苦笑いしている
os「ほら、早く」
ズイッとスプーンを自分の口へと運ぶ
パクッ
zm「んっ………美味しいで」
そう言うと満足そうに笑い、ひとらんは微笑ましそうにこちらを見ている、俺もこのときは嫌いではない。だからあ〜んも大目に見ている
そこからなんてことはない雑談をしながら一緒に食事をする、時間がゆったりと流れる様な、だけど直ぐ終わってしまう。少し寂しくもあったが、またこの時間がある事を信じてるから
腹も膨れたため、ある場所に行く。そいつはいつもそこに居て、静かに本を読んでいる、いつものように驚かそうとダクトを通って図書館に向かう、出口から小さい光がダクトを照らす少し様子を見て、静かに降りる、抜き足差し足とアイツの後ろに回り込む、今俺はきっと楽しそうに嫌な笑いを浮かべているのだろう、声をかけるのは少しつまらない、そのため椅子を思い切り揺らす
ガタッガタ
em「うわぁ!!」
落ちない程度に揺らしたつもりが焦って椅子から落ちて尻もちをついていたその様子を見て俺はケラケラと馬鹿にするように笑う
zm「ハハッッ!!…」
em「なんだゾムさんか…」
少しホッとしたように胸を手に当てる、困った様に眉を下げて、でも笑っている、いつもの流れだが飽きないことだ
zm「本読んどるんか」
em「はい、そうですよ」
zm「今日はどんな本なんや?」
em「じゃあ読みましょうか」
そう言い、本の紙をめくる音が響く、俺は向かい合わせになる様に椅子に腰掛けるエミさんも椅子に座り直す、「よいしょ」と声を漏らすので「おっさんか」と俺が言うと「まだ若いわ!」とツッコミを入れてくる、
em「では読みますね」
「昔々二人の少年は……」
ロボロとはまた違う、落ち着く声でゆっくりと文字を読み上げていく、心地良さにうとうとするが何とか意識を保つ、そんな俺に気が付いたエミさんは「寝ても良いですよ」と微笑んだ、その言葉に甘えて「 30分ぐらいしたら起こしてくれ」と結構面倒くさい役割を押し付け瞼を閉じた
重い瞼を上げると背中に重みを感じ起き上がると毛布が掛かっていたようだ、皆もエミさんも優しいな…その優しさに甘えるのもたまには良いことだ、毛布を握りながらそう思う
em「起きましたか」
読んでいたであろう本を置いてこちらを向く
zm「ん”~…」
蹴伸びをしてから答える、任務の時間が近づいているので席を立つ
zm「じゃあな」
em「ええ、”また今度”」
zm「おう」
また会えるそのときを楽しみに
廊下を歩いていると、医務室から声が聞こえた、ちょっと気になったので覗いてみることにした
sn「煙草少し控えてね〜」
ut「え〜」
sn「やめろとは言ってないから」
どうやら煙草の話のようだ何時も書類を置いて煙草を蒸している大先生はこの光景を見るのは珍しくもなんとも無い、大先生じゃないときもあるが…
zm「またか大先生」
ut「ゾムさん!煙草控えろなんて無理ぃ 」
情けない声を発しながら泣きついてくる
sn「ゾムも怪我してるの?」
zm「いや俺は気になっただけやで」
sn「そうか、まぁ怪我してないなら良い
よ」
そう言い優しい声で心配してくれる俺等の医師はとても頼りになる
zm「ペ神も怪我したあかんで」
sn「俺が怪我したら元も子もないでしょ」
ut「ちょっと…俺置いてけぼり」
sn「じゃあ二人とも元気でね」
「「おう」」
大先生と共に医務室を出る、
ut「はぁ〜」
溜息を一つ付き不満そうな顔をしている
zm「ちょっとは我慢しぃ」
ut「…怪我じゃないのはゾム達のおかげで もあるんやで」
zm「……なんやクサイセリフ吐きやがって」
ut「酷いッッ」
何時もは頼りにならない奴だと思いがちだが時々見せる姿はとても安心できるちょっと癪に触ることもあるがそう思っていると後ろから声がかけられた
cn「あっ!大先生にゾムさん!」
syp「うっす」
zm「おぉ後輩組やん」
ut「どうしたん二人揃って」
cn「いや、暇なんで歩いてたんすよ」
syp「チーノに誘われて無理やり…」
cn「無理やりちゃうわ!」
相変わらず仲がいい二人はお互いに楽しそうにしている、どちらも可愛い後輩だチーノは場の雰囲気を和ましてくれるときがある?と思うし、ショッピはクールな印象で頼りになるがよく笑う事が身内なら分かる
本当に二人はいいバランスだと思う
syp「そうや、ゾムさん今度手合わせお願いできますか」
zm「いいで、今日は任務あるし…明日にでもどうや」
syp「分かりました有難うございます」
zm「可愛い後輩の頼みなら断るわけにいかへんやろ」
cn「大先生はどうします」
ut「そうやな〜書類終わってないから終わらせへんとあかんわ」
cn「なら手伝いますよ」
ut「ほんまに!助かるわ〜」
チーノは何か企んでいる様だがチョロすぎる大先生も悪いのでほおって置く事にした
zm「じゃあ俺任務行ってくるから 」
ut「気を付けてな」
syp「じゃあまた、気を付けてください」
cn「お気をつけて〜!」
暖かい言葉に背中を押され三人と別れ総統室にダクトを使って移動する、こっちのほうが速い
総統室にてダクトを開けて入るグルッペンとトントンがこちらを向いた
tn「ゾムさん扉から入って来てくれ」
zm「ごめんって」
「はぁ〜」とトントンが呆れたようについた、俺は任務について聞くためにグルッペンの前に行く
gr「任務だな」
zm「おう」
gr「前にも説明したとおりX国の潜入捜査に行ってもらう、と言っても文明の発達などを見る程度でいい指示はインカムでロボロにしてもらうが最低限に抑えてくれ」
zm「了解」
gr「じゃあ”行ってらっしゃい”」
tn「気を付けてな」
zm「おう!”行ってきます”」
X国に着いた頃にロボロから着信が来た
rb[着いたな今回は街を見て回ったり軍基地に潜入するぐらいやまぁ油断すんなや終わったらまた連絡くれ ]
返事はインカムを2回叩く
街は、さほど発達していないだが少し静かだ、そこまで警戒するほどでもないが、なんやこの違和感?次は軍基地だがダクトを利用し移動する
おかしい
誰も居ない、いや少なすぎる総統室を覗いてみると別の国とも通信しているようだ俺は優れた聴覚で話の内容を聞いたするとその内容に背筋が凍り冷や汗が出る急いで軍基地から出て自国に急ぐ
話の内容は我が国W国を潰すそれも権力の大きいA国と同時に、しかももう始まっている
自分の足を速く、速く動かして自分が出来る限りの限界を超えて、早く自国に戻らないと、そのことで精一杯だった、震える手でインカムに手を置く
zm「ロボロ!」
[ザーッ]
返事が帰ってこない、その事に更に血の気が引いた
自国に着いた頃にはとても静かで血が滴り落ちる音が良く響く街を抜けグルッペン達のいる軍基地に急いだそこで見たのは崩れた瓦礫と仲間を庇うように倒れたシャオロンや助けようとしたペ神など皆力無く横たわっていた一人一人駆け寄りながらあるはずもない脈を確認しながら涙を流し詰まった喉から一生懸命言葉を紡ぐ
シャオロン、コネシマ諦めないんじゃなかったのかよ…
オスマン、ひとらんもう一度、あの時間に浸らせてよ…
エミさん、また、あの優しい声で微笑んでや…
大先生、俺を安心させてよ、慰めてや…
チーノ、ショッピまたあの眩しい笑顔を見せてよ
ロボロ、こんな俺を導いてよ…
トントン、グルッペン、俺帰ってきたで、おかえりって言ってよ、ただいまって言うから…
暖かい時間幸せな時間を返してよ…
返事も何も帰ってこないどれだけ泣いてもどれだけ叫んでもあるのは静寂と冷え切った仲間の死体だけ
出来るなら、望むなら
もう一度あの時間を
気が付くと俺はW軍に入る前に戻っていた
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