勢いで持ち帰ってしまった….、
でも今頃返しても罪悪感が残るだけだと思い、扉を開ける
ゆきむら。「おかえり」
僕の親戚の三崎ゆきむら。
耳には複数のピアスを開けていて、
菫色の髪は片方の目を見えなくしている
パッと見、目付きが悪く不健康そうな体をしているので、怖がられるが
少し抜けているけど、とても優しい。
まひと「た….ただいま」
ゆきむら。「あ、随分びちょびょだな」
まひと「まぁね、」
ゆきむら。「風邪ひくから、早く風呂入ってきな、もうご飯作ってあるし」
まひと「そ…そう…、」
まひと(やば…ちょっと動揺し過ぎた…)
ゆきむら。「…、なんか隠してる?」
まひと「まさかぁ笑…」
ゆきむら。「思いっきり顔に出てるけど」
ゆきむら。「言えって、な?」
いくら優しいゆきむでも、
「人が倒れてたんで拾ってきました」
なんて言ったら流石に怒られるにきまっている
ゆきむら。「….、言って」
まひと「….」
ゆきむら。「、僕も無理に言えなんて言わねぇよ、隠し事なんて誰だってある、そんなこと分かりきってるけど、僕はまひに頼って欲しいんだ、僕はまひの父でも母でもないただの親戚。だけど、今こうして一緒に暮らしている以上、僕はまひのことが可愛くて仕方ないんだよ」
出た、ゆきむの御ねだり戦法。
やけに深いこと話しだすから断りきれないのだ
まひと「….、実はさ、」
ゆきむら。「おう」
まひと「…人が倒れたから..連れて帰ってきちゃった….、」
ゆきむら。「….連れて帰った?」
….。
ゆきむら。「あはっははw」
沈黙が流れたあと、ゆきむはぷっと吹き出した。正直何がおかしいのかよく理解出来ないが、怒られなくて一安心した。
ゆきむら。「お前118呼べよw頭おかしいんじゃねえのww」
ゆきむら。「真剣に語ってた僕が馬鹿みてぇじゃんw 」
まひと(真剣ではないでしょ…)
まひと「…118は海上保安庁だよ。」
ゆきむら。「….、よく知ってんな、….
で、人はどこ」
まひと「これ….」
ゆきむら。「わ、….」
まひと「僕が風呂入れるから、手当の準備….」
ゆきむら。「ううん、僕がやる、百合さんと晶さんの墓参りしてきな、雨もだんだん強まってるし、」
まひと「でも….悪いよ….僕が拾ってきたのに、無責任だし、お墓参りならいつでも行けるもん」
ゆきむら。「僕がやるって言ったらやんの、分かった?」
まひと「えぇ、」
全く、理屈になっていない
ゆきむら。「ほら、ホッカイロ持って、傘さして」
まひと「そこまでしなくても….」
ゆきむら。「駄目、風邪ひく」
まひと「もぅ….」
ゆきむら。「はいはい、行ってらっしゃい、気をつけて行くんだよー!転ばないようにねー!」
ホントに、お母さんよりお母さんして、
早く帰ろ
________________
ゆきむら。「おかえり」
まひと「ただいま」
ゆきむら。「あのさ、この子の事なんだけど、」
まひと「わあ!可愛い!!」
まひと「で、この子が?」
ゆきむら。「てるとって言うんだけど、実は….」
「“アンドロイド”なんだ。」
まひと「アンドロイド?からくり人形とか、AIの分類の?」
ゆきむら。「ああ、」
まひと「はあ、嘘は大概にしてよね。」
ゆきむら。「ホントに….」
まひと「はいはい、
てるとくんはアンドロイドダネ~」
てると「貴方には申し遅れましたね」
まひと「わ!喋った!」
てると「僕は、C-256番人工アンドロイド、てるとです」
まひと「へー、アニメの見すぎなんじゃない?」
ゆきむら。「僕も最初は疑ったけど、妙に喜怒哀楽がしっかりしてないんだよ」
まひと「それなら、ずっと仏頂面の人もいるでしょ」
ゆきむら。「いやホントに、冷静とかそうゆうレベルじゃなくてさ、瞬きとかも一切しないんだよ」
てると「信じて貰えなくても別に良いですよ」
まひと「…..、まあ、これから一緒に過ごしてみて、様子がおかしかったら、友達に見てもらうし、ポスターでも貼って親を探すよ」
ゆきむら。「機会いじりが得意な子なのか?」
まひと「うん、しゆんって言うんだけど、親がからくり師でね」
ゆきむは「そうか」とどこか寂しい眼差しを向けた。
________________