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#mryk
とくめい
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庵野
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20××年 9月1日
「…」
冷たく突き刺すような静かな風と
温く頬を撫でる湿り気が体を覆う
屋上はまるで飛行機に乗って地面を見るみたいで、胃の奥がきゅっと縮こまる
「…こわい?」
「…うん」
怖いに決まってる
こんな高いところに立って、怖くないわけがない
フェンスを乗り越え、恋人と手を繋いで
無意識に手に力が入っていたのだろう、元貴が俺を気にかけた
「…やめる?」
沈黙を切り裂いた言葉は、俺にとって自分の決断を引き裂かれるような気分にさせた
「……いやぁ、やめない。」
「もう大丈夫」
遺書だって書いたし、持ってたお金も全て使った
もう何もないし、残してない
唯一心残りがあるとするなら、元貴と大人になるまで一緒になれなかったこと
そんな贖罪を込めて、左手の薬指に煌めく、元貴とお揃いで買った指輪にキスをする
そのほんの仕草だけで、元貴の頬がほんのりと染まった
「…きれいだねぇ、街は」
元貴がそう言い、東京の夜景をまっすぐ見つめる
学校の屋上からでも見えるこの景色は、今は独り占め、いや、ふたり占めなんだ
「若井、小指出して」
そう言われ、何かと思い右手の小指を出す
すると、元貴が小指を絡め指切りの形にした
「…これからも、あの世でも、来世でも。
ずぅっと一緒っていうおまじない。」
ぎゅっと、小指に力がこもる
約束であり、おまじない
きっと、確実なもの。
「行こっか」
満足するまで夜景を堪能すると、元貴が手をギュッと握った
「……」
「せーの__
けたたましく鳴り響くサイレンの音
人々のざわめきに微かに混じるシャッター音
目の前はぼやけて、ほぼ無
体の感覚が全くなく、辛うじて元貴の手を握っている感覚だけが手元に感じる
ふわふわしていて、浮いてるみたいな気分になった
手を握り直す微力もないけど、またあっちで沢山握ってやろう
そう思い、目を閉じる
4年後
8月21日
_いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
高二の二学期が始まり早々、異変を知らせたのは同じクラスの女子生徒だった
_せんせ、っ高橋が、高橋がぁ!
ぞろぞろと集まる人だかりが押し寄せ、押されて教室によろめいた
その瞬間、視界に飛び込んだのはまさに異様な光景だった
「たか…はし…」
教室の天井に設置されたパイプに縄を括り付け、白い唾液を吐いた青白い顔のクラスメイトの高橋くんが、首を吊っていた
「…なんだよ、これ」
「あーあ、騒ぎになっちゃった 」
そう後ろから聞こえるのは、よく聞き慣れた、聞くと安心する声
「…元貴」
高校生の中に混じる、学ラン姿の幼い少年
あの時と何ら変わらない、本来なら同い年のはずの彼
中学一年生で止まった背丈と、声帯
「…また元貴なんだ…っ」
安心すべきじゃないのに、安堵してしまった
原因というか、死因が得体の知れないものではなくなったからだろう
_高橋!?!おい!お前ら高橋下ろすから手伝え!!
先生のその怒号で一斉にクラスの人たちが高橋に群がる
それを蚊帳の外で見る俺と、元貴
「ばっかだねぇ、そもそもあんなパイプ普通の人に届くわけないって分かんないのかな」
「今回は、どうやったの」
とぼけた顔をして、うーんと、と悩む表情をしてから話し始める
「普通だよ?持ち上げて括り付けるだけ」
「でも、仕方ないよねぇ、若井のこと虐めてたんだもん。仕返しだもん」
後ろから俺に抱きつきそう子供らしくあどけなく言う
そんな雰囲気とは裏腹に、元貴がやってきたことは半端じゃない
一年、二年の一学期のトータルで既に四人の死者
一人目は一年の夏頃プールで溺死。
二人目は同時期、裏庭で刺殺。
三人目は冬頃、焼却炉で焼死。
四人目は二年に入り早々撲殺。
どれも、見るも無惨な姿になっていたそう
遺書等もなく、警察は他殺の方向性で進めていたそう
だが、指紋は被害者のものしか見つからず、更には監視カメラにも被害者しか映らない
だが、どれも不可解なのは、被害者が狂ったように自分で顔をボコボコにしたり、怯えて”ナニカ”から逃げるようにして焼却炉やプールに飛び込むこと
確実に、呪いだと噂になった
「みーんな、若井のこと虐めてた人だし、天罰だね 」
全て元貴がやったことだ
これは、死に別れた恋人たちの……
いや、飾った言い方はやめよう
これは、死に損なった俺と、成仏できない亡霊のとある夏の話
過去作のリメイクです
個人的にお気に入りのものなので、記憶を頼りに同じものを作ろうと思います
過去の作品とは違い、新しい描写も出てくると思います
お楽しみに
コメント
16件
え、初手で2人かと思ったらまさかのwkさんまさかの生き残り、、、なんて辛いやつなんだああああ、、、好きすぎる😭
やっばい、最後やばい、鳥肌えぐい、え、うわ、え、好きです
ほんとにずっと更新を待ち望んでました…!!最高すぎて泣けてきました😭🙏🙏🙏