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#エルフ
桜井正宗@オートスキル1巻発売
6,950
上野文
4,013
あのち
226
577
第19話
それから夜には熱は下がってきて、朝にはもう大丈夫そうなので、明日からの復帰だ。
昨日までベッドの上でぐったりしていたとは思えない程の回復力だと自分でも思った。
アニカから貰ったバスケットの中を見た。サンドウィッチだ。美味しそう。
二日くらい食べていないお腹は鳴りっぱなしだ。
僕はアニカから貰ったサンドウィッチを食べた。少し、惜しいような気もしたけど、美味しかった。
……ん? そう言えば、アニカの手作りって言ってたような……
僕はそんな事を考えたら耳まで赤く染まった。
次の日。
「復帰か……」
僕はそんな事を呟きながらいつもの服に着替えて訓練場へ向かった。
「大丈夫なのか?」「風邪だって聞いたが、もう動けるのか?」「無理はするなよ」
そう先輩たちが僕の周りに集まった。
「ロルフ。最近、追い込み過ぎだった。だから、今日は剣を握るのは禁止。明日からは大丈夫だ」
そう言ったのは騎士団長だ。
え? 剣を握るのは禁止……
「槍とか、弓は……」
「それもだ。今日は仕事が入ってなかっただろ」
そう言って騎士団長は違う人の所へ向かった。
やる事無い! うん。何をすればいいの?
そう思いながら草原に寝っ転がった。草の匂いが立ちこめるようなそんな匂いが鼻を突き抜けていった。
ゴブリンだったら木の枝でどうにかなる……はぁ〜……団長の中の僕のイメージはどうなってるの?
心の中で愚痴りながら青空を見上げた。
本に載ってるレベルの事は覚えたけど、出来るような希望の光の一筋も見えない。
どうしたら、人前で話せるように……?
分からない……僕はどうやったら話す事が上手くなるのか、白い目で見られる事は無くなるのか、人付き合いは……どうでもいいけど……
「私が頼りにできる数少ない人にロルフも入っているんだから」
……嬉しかった。頼りにされるってこんなに嬉しい事を初めて知った。というか、アニカだからっていう事もある。
あの人はとっても優しくて、こんな僕にまでちゃんと心から接してくれて、一緒にいて楽しい。
アニカは、僕の事を気にしてくれて……情けないのかな?
護らないといけない姫に気を使われて……
そんな騎士は出来損ないかな? そんなやつは捨てられるかな?
悩みながら青空の下に寝っ転がった。
✡
「……はぁ〜。あれは、どうやって励ませばいいのかな?」
私は部屋の中で中庭を眺めながら大きなため息をついた。
噂によれば、ロルフは剣も弓も槍も使うのが禁止されたようだったな……
そんな事、騎士団長が新人に「お前は剣を握る資格が無い」と言わんばかりに言う事だけど、落ち込んで無いかな?
ロルフの事だし、他の事で頭がいっぱいなんだろうけど……
私はそう思いながら図鑑とにらめっこした。
一ヶ月後。すっかり温かくなって春の花も終わりを迎えていた。
ロルフもあれから、少し休むようになったけど心配が削がれる事は無い程の努力をしている。
でも、彼は「ふっ。ここに、付いてる」そう言って笑ってくれる事が増えた。
え? 何が?
私は指指された所をいじるとロルフが取ってくれた。
「葉っぱだよ」
「え、嘘っ!」
「葉っぱで驚く事あったの?」
「いや、葉っぱが付いてるなんて何だか恥ずかしいと思っただけ」
「そっか。なら良いんだけど、ん? ……下がってて、魔物がいる」
そう言ってロルフは静かに剣を抜いた。
私も、小さな魔物くらいは倒せるはずなのに……
ロルフの言われた通り私は木の陰に隠れた。
少し物音がするなと思ったら、狼の群だった。殺気が凄くて、今にも飛びつきそうなくらいだ。
十匹くらいいる。強そうだけど、ロルフの手にかかると直ぐに狼たちは倒れた。
あの綺麗な剣捌きはいつ見ても心を奪われるような美しさだ。まるで美術作品みたいで、見てて気持ちが軽くなる。
「アニカ。大丈夫?」
「私は大丈夫だけど、ロルフこそ。怪我は無いの?」
彼は頷いた。笑顔だった。
「ここの木陰、気持ちよさそうだね。あ、サンコウの木の夜空を見たいって言ってたけど、今日行くんだ。一緒に来ない?」
私は多分口元が緩んでいたと思う。そんな顔が見えないように俯いて頷いた。彼は首を傾げているように見えるけど、こんな表情を見せなられない。
少し落ち着いて顔を上げるとロルフが何も喋れないで口をパクパクさせていた。
「大丈夫だよ。少し見られたくなかっただけ。嬉しいよ」
そう言って私は彼の反対の草原の方へ向いた。
コメント
1件
ああ〜第20話、めっちゃ尊すぎた😭💕 ロルフがアニカの手作りサンド食べて耳真っ赤にするところ、騎士団長に「剣禁止」されて茫然とするところ、全部可愛すぎて胸がぎゅってなったよ…! 「頼りにできる人にロルフも入ってる」ってアニカの言葉、ロルフがこんなに嬉しそうにしてるの初めてじゃない?感動した。 最後のサンコウの木の夜空デート、絶対エモいやつやん…!続き早く読みたいよ〜〜🌸