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第63話『守るべき者、その名は』
🌸 ゴッドエデン・慈愛の庭
満開の花が咲き誇る、美しい庭園。
風に揺れる白銀の草木が、まるで時の流れを止めているかのようだった。
その中心に立つのは――セレナ。
そして彼女の前に、やわらかな微笑みをたたえた愛と美の女神・アフロディーテが現れた。
「あなたの試練は、“守りたいと願う心”の真実。
セレナ、あなたは愛する者のために、どこまで闘えるのかしら?」
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💔 心の傷、そして祈り
庭園の景色が歪み、気づけばセレナはレファリエの丘にいた。
あのとき兄・リオンが命を落とした知らせを受けた、絶望の場所。
(兄さんが……死んだ? そんなの……嘘よ……!)
彼女は泣き崩れ、ただ祈ることしかできなかった。
そのとき、心の底から生まれたのは――
「私が……もっと強ければ……!
誰かに守られるだけじゃなくて……私が、守りたいのに!」
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👥 分身との対話
突如、セレナの前にもう一人の自分が現れる。
その瞳は揺らぎ、叫ぶように問いかける。
「本当に守れると思ってるの? あなたのような優しさで?」
「犠牲を前にして、あなたは“選べる”? 誰かを救う代わりに、誰かを捨てる覚悟があるの?」
セレナは拳を握りしめる。
そして、迷いながらも答える。
「私は……選べないかもしれない。
でも、それでも私は戦う。
みんなを救いたい――たとえ、この命を懸けても!」
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🌟 真なる慈愛の覚醒
その瞬間、分身が静かに微笑み、光に包まれて消える。
アフロディーテが再び姿を現し、彼女の胸元に淡紅の愛の紋章が刻まれた。
「あなたの愛は、弱さではない。
それは、誰よりも強い“覚悟”の証。
愛とは、犠牲ではなく、信じる力よ」
セレナは涙をぬぐいながら、力強く頷いた。
「ありがとう……。私はもう、立ち止まらない。
兄さん、ゲズ、ウカビル……そして、世界を守るために」
⸻
🌌 遠くから届く気配
その頃、空に微かな歪みが走る。
誰かが“神の国”を見つめていた。
闇が胎動し、やがて、地の底からサタンの軍勢が目を覚ます。
だがそのときまでは――まだ少し、時がある。
そして、残るはただ一人。
最後の試練を迎える者――ゲズ。
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