テラーノベル
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──────いえもん視点──────
【最高神】は手で顔を覆い、なにかブツブツとつぶやく。ルカさんの能力がそんなにも意外だったのか、完璧と自称するそいつが相手のことすら把握できてなかった不完全さに気づいてしまったのか。その感情はおそらく失意──────
「…ふふっwあはははははwww!!!お前らの仲間は私のことを下に見すぎてたみたいだなw」
そいつは突然笑い出す。狂気的な笑いが後に引ずる。しかし、不気味さはなく、狂気的なまでに【美しい】と思ってしまっている。一種の洗脳じみたそれが俺の脳を刺激する。
「馬鹿だなー本当に。ここに日光はあるか?十字架は?ニンニクは?銀は?聖水は?───あるわけが無いじゃないか。それに…。」
そう言ってそいつはルカさんの死体に思いっきり腕を突き立てる。その手には青白い光の中に黄色の光が溢れ出す、神秘的な光を放っていた。───恐らく、ルカさんの魂だろう。そう分かってしまうのはそれが炎のようにゆらゆらと揺れていたからだ。
「魂を回収して、能力を回収さえすればそんなもの無に等しい。」
「───させるとでも?」
【最高神】が、その魂を掲げていると、めめさんが即座に魂のランタンを取り出し、その魂を吸い上げる。【最高神】は不快そうな顔をしながら
「そうだったな。お前のせいで代々ロストは死を、魂を操れないのだったな。」
そう言って、めめさんのことを軽蔑した目で睨みつける。めめさんも負けじと睨みつける。
「あぁ、人間。教えてあげよう。この死神の秘密をな。」
そう言って、そいつはまたもや饒舌に話し始める。
「この死神は元々9代目最高神の1人【ロスト】の名を持って誕生したものだ。9代目はお前たちがよく知る勇者が活躍した時代の最高神だ。勇者の管理役としてロストが直々に姿を変え、勇者の相方として暗躍することになった。その時の名が【死神】だよ。勇者、魔王によって起こった死や魂を管理する役目を新たに与えられた。───だが、こともあろうが。」
そう言って、俺に向き直る。その目には冷たい光が宿っていた。
「そいつは人間を許そうと言い出した。しかし、最高神たるロストはそんなことはいけないとわかっていたのだ。だが、相反する感情。ついに───それはふたつの肉体に別れた。ひとつはロスト。もうひとつは───お前だ、めめんともり。」
そう言いながら今度はめめさんに向き直る。俺もめめさんの方に目をやる。めめさんは自身の過去について語られても無表情で気にしてないように見えた。が、拳が強く握りしめられている。言い返したい、そんな気持ちが伝わる。
俺は俺で少しショックを受けていた。めめさんについてこんなにも知らなかったのだと。確かに数年の時でしかない。めめさんにとっては瞬きひとつの間の時間だろうが。その短い間だが一緒にいた仲なのに知らなかった。めめさんについて知ろうと思わなかったのでは?と自身を責める言葉が脳裏によぎってしまう。
「めめんともりは魂や死を操る力を手に入れ、手に入れた称号は【死神】。唯一下界に渡れる神となった。が、お前は下界へと行ったっきり神界に顔を出すことはなく、仕事だけをし、必要な情報は死神の眷属を作り出しやらせた。そこまでして手に入れたかった勇者を手に入れて満足だろ?もう充分生きたんだよ、お前は。」
そう言って、【最高神】はめめさんに指突きつけ嘲笑う。めめさんがキッと睨みつけると、そいつは満足したのか神座へと戻る。
「改めて、1人死んでしまったようだが、ようこそ。最高神の間へ。そして、お前たちは何を思い抗う?今、お前達はなんだと思う?正義か?希望か?光か?───そんなことを思っているならばその思考は既に捨てておくべきだ。」
なんて言ったって。そうそいつは言いながら空へと浮く。その背後からは後光が差し、そいつを神々しく、神秘的に仕立て上げる。
「目の前にいるのは絶対的な正の象徴である【最高神】なのだから!お前たちが何をしようと悪であることは変わらないし、妨害者であり、邪悪なのだ。それ以上はなく、それ以下のみその存在を許そう。私は慈悲深いのだから。」
言っていることがめちゃくちゃである。だが、その言葉は考えなければ鵜呑みにしてしまいそうなほど正しい答えだと思ってしまう。脳が必死に否定しても、それを体が受け入れる。だって、目の前にいるそいつこそ───
「惑わされないでください!!」
めめさんがそう叫ぶと同時に、俺は自我を取り戻す。めめさんは大鎌を構え、そして、そいつを睨みつける。
「この世界を壊すことのどれが正しいというのですか!今まで生きてた人の証を消すことの何が正義なんですか!」
めめさんがそう叫び、反論するとそいつは笑って答える。
「…は?」
そいつがなんてこともないように答える。めめさんも思わず反論することが出来ていなかった。
最高神は平然と話を続ける。
「なぜ正義なのか?正しいのか?それは私が決めることで、私が定義するものだ。正解は私だが、お前達はそんなことを言っても違うものが正解だと喚くだろう?…鬱陶しい。認めないなら、説得しても無意味だ。
そう言って吐き捨てるように言った後、簡単に説明してあげよう、と話を続ける。
「1+1=3とお前達が言っていて、私が2と言ってもお前達は話を聞かず、適当なことをほざく。───何を言ったって無意味だ。正そうとしても、正しいと思っているやつの思考を曲げることは難しい。やってあげてもいいが、そんなことに時間を使うなんて馬鹿みたいだ。」
それに、とそいつは笑う。その背後にはまるで棺のようなものが十数個並んでいる。そして、そいつが指をパチンっと鳴らすと同時に───
めめ村全員の死体が現れる。どれも綺麗な状態で傷一つなく、眠りについているように目を伏せている。最高神は空っぽの棺の中に新たにルカさんを加える。しかし、それは綺麗な状態になることは無い。その状態を俺たちに確認させた後、そいつは俺たちに向き直る。
「死神が気に入る人物はどんなものかと気になっていたが…全てが最高神の力を持っているなんて探す手間が省けて助かったよ。安心して欲しい。魂は無事だよ。」
急な優しさに俺は思わず怯む。何が目的なのか、真意は何か。全くもって意図が読めない。
「私に勝ちたいって言うなら、この中の魂ひとつでも破壊したらお前たちの勝ちだよ。だって、全ての力を回収しなければ私は完璧ではないんじゃないか?」
そう言って最高神は俺に剣を渡す。その剣に輪郭はなく、定まった形をしていない。光の集合体のようなものが俺の手に馴染む。
「ほら、1つ魂を壊せば私は完璧になるのを諦めよう。───あぁ、ルカの死体に剣を突き立てて貰っても構わないが、それは魂がないからノーカウントだ。───絆、仲間、友情…それを私に見せてくれよ。」
「それの、何がお前にメリットが───」
「散々私をこけにしてくれたじゃないか。私の発言は嘘だ、と。お前達は仲間だと言ってただろ?───それが気に食わない。そんな妄言を吐き捨てて、幸せに死ねるなんて思うな。お前にはちゃーんとした絶望を与えてから殺す。」
そう【最高神】が笑う。あぁ、当たり前だが、と言ってそいつは話を付け足す。
「お前との契約はきちんと守ろう。契約内容は…『10分以内にめめ村の魂1つでも壊したら私の力を譲る』…で、どうだ?信用出来ないならば魂の契約をしようじゃないか。破ったら魂をロストする。」
そう言って、俺の了承を待たずにそいつは勝手に契約を結ぶ。キュッと心臓が鎖か何かに縛られる感覚。刻まれたのだと、理解する。
「さぁ、見せてくれよ。───綺麗な友情を。」
光の剣が俺を焦らせるように光った。
ここで切ります!んー面白い!書いてて最高神の性格が浮き彫りになってきましたね!最高神は本当に完璧になるのが目的なんでしょうかねー。それっぽいこと言って誤魔化してるかもしれないですよw。あ、本当かもしれないですけどね。
あー7月が終わっちゃうよー困るよーあー。
親との約束で7月までに夏休みの宿題終わらせろ、というものがありましてねー。詰んでるんですよねー。はははー。受験期になんでこんな毎日投稿しているのだろうか…。偉すぎる!いや、偉くないのか…?
まあまあ、置いておきまして!完結まで毎日投稿はなるべく続けていきますので…!!応援お願いします!
それでは!おつはる!
コメント
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とりあえず言えることは一つだけ・・・小説書く前に宿題やろうってことだけですよ。
(投稿者としては)偉いけど(受験生としては)偉くない