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目を覚ますと、俺はベッドの上に寝ていた。
「折れた足、治ってる……」
ヒイロに自然治癒力を貰ったとはいえ、こうも簡単に治るものなのか? あ、でも俺個人の治癒能力もあるもんな。2人分の自然治癒能力って考えれば、妥当……なのか?
俺はベッドから立ち上がる。でもこれは悪魔の実の能力とか、そういう反則技で治したんじゃねえから、折れやすくなってるだろう。あんまり無茶はできねえな。
部屋を出て俺はなるべく己の気配を殺しながら歩く。左足を引きずるようにして。歩いて分かったけど、やっぱり違和感があるな。
しばらく長い廊下を歩いていると、人の気配を感じた。俺は腹をくくり、その気配の方へと近付く。高い扉が見え、開ける。
「フフフフ……どうやら仔猫が起きたようだ」
ドフラミンゴが椅子に座って笑っていた。俺の姿を見ると立ち上がり、こちらへ来る。俺は警戒しながら後退りした。
「もう歩けるのか。両足を折っておくべきだったか?」
ドフラミンゴは俺の目の前まで来て、俺の足をするりと撫でる。その瞬間、ゾワッとした悪寒が走った。
咄嵯に身を翻してドフラミンゴから離れる。だがドフラミンゴの方が一歩早く、俺の腕を掴んできた。
俺はなんとか腕を振り払おうとするが、ビクともしない。ドフラミンゴは俺を引き寄せ、顔を近づけてきた。
「なぜそこまでローに執着する? こいつがお前に何をした?」
「友達のために動いて何が悪い。ローは俺の大事な友達だ!!」
そう叫び、俺が足を振り上げると、ドフラミンゴは片手で俺を制した。
「仔猫が爪を立てたところで、痛くも痒くもないさ」
そう言ってドフラミンゴは俺の頬に触れるだけのキスをした。俺は目を見開く。
「ふざけ――」
しゅるり、と俺の腕が勝手に後ろ手に組まれ、動けなくなる。それから両足、口にも糸を巻かれてしまい動けないし、声も出せなくなってしまう。
「そんなにローといたけりゃ、いればいい」
と、俺は雑に投げられる。着地した場所はローが座る椅子の足元だった。
椅子に座っているローは静かに目を閉じていて、両手には恐らく海楼石の錠がつけられていた。両手足を縛られた俺は何もできない。
「麦わらの一味が破れたら、お前もおれの部下として働いてもらうぞ」
そう言い残し、ドフラミンゴは俺から離れたところに座り、コロシアムの試合の様子を映像電伝虫を通して見ていた。
俺は気を失っているローにもたれかかり、同じように映像に視線を移した。
悔しさで唇を噛んでいる場合じゃねえ。だからといって今は動いちゃいけない。ルフィは勝つんだから。然るべきときに俺は俺なりに動く。それまではじっとしているのだ。