テラーノベル
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僕は扉を開けた。
「ありがとうっ。」
そう言って走り込んできたのは、僕たちと同じぐらいの歳のオレンジ髪の少年だった。
Episode. 2 仲間
僕たちはすぐにドアを閉めた。外にはいくつかの足音が駆け回っている。僕は聞いた。
「君の名前はなんて言うんだい?」
「俺は、東雲彰人です。」
彼はそう言った。
「彰人か。お前はどうして逃げていたんだ?」
司くんがそう聞く。
「連れていかれそうになったからっす。」
その答えに僕は驚いた。この施設に居れば安全だと思ったのに、、、、、
「どんな人に連れていかれそうになったんだい?」
司くんが、すかさず聞く。
「白衣?みたいなの着てて、自分たちでここの職員だ、と言っていたっすよ。」
「白衣か、、、」
「確か、担当の人たちの衣服は白衣ではなかったな。」
「そうだねぇ。となると、、、追いかけてきた人たちは担当の人以外の職員の可能性が大きくなるねぇ。」
「まず、なんで連れていこうとしたんだ?」
司くんが疑問を抱いた。
「たしかに、、、」
僕も彰人くんも同じことを言った。
その時だった。
扉がノックされた。僕たち3人は青ざめた。
「すまない。開けてくれないか?」
誰が扉の向こうでそう言った。
「どうする?開ける?」
僕は2人に聞いた。
「どんな人かが分かればいいんだが、、、」
「ちょっと聞いてくるね。」
「気をつけろよ。」
「もちろん。」
「貴方は誰ですか?」
僕は扉の向こうに居る誰かに声を掛けた。
「ここの施設の者なんだけど、、、ここに彰人くんって居る?」
「何故、彰人くんを探しているんですか?」
「彰人くんはこれから検査があるんだ。他の職員がそれを伝えずに、連れていこうとしてごめんね。」
「僕たちに危害を加えないなら開けてあげる。けど、危害を加えた時は、、、分かるよね。」
「危害を加えないと約束しよう。」
「絶対だよ。」
そこに立っていたのは背の高く顔の整った職員だった。
「こっちだよ。」
「彰人くん。他の職員がごめんね。」
「事情は聞きました。」
「これからはどうする?2人がいいなら、彰人くん、一人部屋だったしこっちに移ってきても大丈夫だけど、、、」
「僕はいいよ。」
「俺も、大歓迎だ!」
「、、2人がそう言うならこっちに移ります。」
「分かったよ。引越し準備をしておくね。まずは検査に行こうか。」
優しい職員なのかな、、、?
「分かりました。」
そう言って彰人くんと職員は部屋を出ていった。
「あの人、なんだか不思議だったねぇ。」
「俺には普通に見えたな。」
「職員のはずなのになんだかずっと申し訳なさそうな顔してたし、、、」
「言われてみれば、そうだな。」
「とりあえず、彰人くんが帰ってくるまで待っておこうか。」
「あぁ。」
30分ぐらいして、彰人くんがさっきの職員と一緒に帰ってきた。出ていった時と違って、彰人くんはピアスを付けていた。
「それどうしたんだ?」
司くんがそう聞く。彼も、違いに気づいたのだろう。
「これっすか?貰ったんですよ。」
「かっこいいねぇ。君によく似合ってるよ。」
「あざっす。」
「そういや、君の引越しも終わったからね。」
「俺たちは何もしていないがな。」
「そうだ。君たちは、明日から3人で訓練に参加してもらうことになったから、把握よろしく。」
職員はそう言った。
「訓練?何をするんだ?」
司くんがそう聞くと、
「あ、訓練内容は明日全部説明してから行うから大丈夫だよ。」
そう付け足した。
「じゃあ、俺はこれで失礼するよ。」
そう言って職員は部屋を出ていった。
職員side
俺はあの子たちの部屋を出た後、自分の研究室へ戻った。
「被検体No.0624」
「被検体No.0517」
「被検体No.1112」
「訓練内容は頭脳向上に向けての学習とテスト、体力向上に向けてのトレーニング、____向上に向けての________か。」
あの子たちは見込みが大いにある。だからこそ、申し訳なく思う。
俺のせいだ。彼らは悪くない。全ては_________
_____した、俺のせいなのだ。
俺は、、、、、、、、
今日も鏡の前に立つ。
「今日も正常です。」
機械音声がそう言う。そう、これは検査なのだ。
「変わらないな。何時からだっけ。__________なのは。」
俺は正しかったのか?正しかったと言えるのか?そんな疑問が常に頭を過ぎる。
ふと、視界に破れたノートのページが入った。
「被検体No.0525」
これは、俺が見たくなくて破り捨てたはずのページだった。
「なんで、これが、、、捨てたはずなのに、、」
俺はそのページを拾ってノートに挟んだ。見るのも嫌だと言うのに、捨てる気にはなれなかった。
「俺は、この施設で、、、人の役に立つ______を作ろうとしているんだ。絶対に諦めない。もうあんな思いはしたくない。その為に、今日も頑張るんだ。」
コメント
2件
____に何が入るんや……?冬弥くん出てくるの楽しみ(((o(*゚▽゚*)o)))