ーー千冬「はぁッ、はぁッ、はぁッ、泣」
裸足で走った。場地さん怒ったかな、
もう嫌いになったかな、もう捨てられるかな、
もういいよ、もういいんだよ、
逃げ出してしまおう。誰のために虐められていたんだろう、
もう何もかもどうでもいいよ。
ーー千冬「はぁッ、はぁッ、ぅっ、ぐっ、泣」
視界が歪む。目の前がはっきりと見えない。
心臓部分が痛い。苦しい。辛い。痛い。
ーー千冬「ぅっ、あぁっ、はぁッ、ぐっ、泣」
人気を避けて逃げた。人から逃げた。
しかし、どこへ逃げても人がいる。
あたりも暗くなってきた。あぁ、どうしようか。
どうしよう、あぁっ、どうしよう!?
とうとうたどり着いたのは公園だった、
俺がお気に入りの公園。昔父によく遊んでもらっていた所。たけみっちと会ったところだ。
ーー千冬「……泣」
懐かしく思えるこの場所。ここなら気も楽になるはずだ。少しだけ、、、休んでいこう、、、
ここは人が余りいないから楽なんだ。
父ならこんな時、、どうしていただろうか、、
ーー千冬「父ちゃんっ!ブランコ乗ろっ!!」
ーー父「いいぞ!!ほらっ!!」
勢いよく押され大きく揺れる。
ーー千冬「わぁぁっ!!」
「俺ブランコ好きっ!!」
ーー父「そうなのか?」
ーー千冬「うんっ!!飛んでるみたいで大好き!」
「鳥さんみたいでさっ!!」
「俺も大きくなったら鳥さんみたいに飛べる?」
ーー父「あー、、そうだな!!」
「きっと飛べるぞ!!」
「あ!!ほら千冬!!見てみろ!」
「飛行機がこんなにも近くで見れるぞ。」
成田空港から飛び立ったのであろう飛行機が大きな空を飛んでいた。
当時の俺は飛行機は鳥のように自由に飛べるものだと思っていた。
ーー千冬「俺飛行機になる!!」
ーー父「パイロットってことか?」
ーー千冬「ばいろっと?」
ーー父「空を飛べるんだ!」
ーー千冬「俺なりたい!!」
ーー父「夢は大きくあれ。」
「今の千冬はなんにでもなれるぞ!!」
ーー千冬「王様にも?」
ーー父「日本に住んでる限り難しいんじゃないか?」
ーー千冬「えぇー!」
今思い出せば、その頃の自分の無邪気さは一体何処へ行ってしまったのだろう。
忘れるほど前だね、
父がなくなってから俺はこの公園に来ることは少なくなった。
父が亡くなってから更にやんちゃし始めて、
リーゼントを初めて、
自分が1番じゃなければ気がすまなかった。
ーー千冬「父ちゃん。俺ね、約束ちゃんと守るから、」
小学生の頃
ーー先生「ま、松野くん、、ちょっと来なさい、」
授業中急に先生に呼び出され先生はオドオドしていた。
ーー先生「さっきね、お母さんから電話がかかってきたの。」
ーー千冬「…ぇ?」
信じられなかった、信じれなかった、信じたくなかった、父ちゃんが??嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!
ーー千冬「う、ウソだ、、、」
ーー先生「玄関で千冬くんのままが待ってる。」
「行きましょうか、」
ーー千冬「………」
頭がパニクって、ちゃんと理解するには時間がかかっていた、まず疑っていた。
父ちゃんが死ぬはずねぇ。間違いだよ。
嘘だよ絶対。絶対嘘に決まってる、
先生が間違ってるんだよ。
それに、まだ死んだ訳じゃない、神様、父ちゃんを助けて、、
玄関に行けば本当に母が泣きながらたっていた、
ーー千冬「か、あちゃ、?」
ーー母「行くよ、泣」
車に乗り、病院へ向かった。
俺らは待機所で待って、赤色に点灯する「手術中」の光を眺めていた。
ーー母「…あのね、泣」
喋りだしたのは母だった。
ーー母「父ちゃんはね、帽子を拾おうとした女の子がトラックに引かれそうになった所を」
「女の子を突き飛ばして自分から飛び込んだの、」
「女の子の命を救った英雄よ、、泣」
「帰ってきたら褒めてあげないとね!泣」
泣きながら笑う母の顔は痛々しく思えた。
しばらく時間が経って沈黙の中点灯していた「手術中」の光が消え、ドアが開いた。
ーー医者「…全力を尽くしましたが、✘✘さんは、、」
医者は目線を落とした。
ーー母「…そんな、、泣」
ーー千冬「……泣」
そして、やっと父ちゃんが見れた時は霊安室だった。
ーー千冬「…父ちゃん、泣」
白い布が父ちゃんの頭にかけてある、それを見た時、やっと事故にあったのだと確信した。
それでも父親を死んだということは信じれなかった。
母は号泣し泣き崩れた。その姿を俺は泣きながら眺めることしか出来なかった。
そして、最後に父の顔を見たのは葬式のときだった。
綺麗に掃除されていて、眠っているように寝ている父親の顔は死んだのが嘘のように感じさせる幸せそうな顔をしていた。
ーー千冬「……泣」
家に帰ると祖母と母が喧嘩をしていた。
どうやら祖母が一人でやって行けるわけない。わたしが千冬くんを授かると母に行って母は「わたしが育てる。責任をもって」
父の遺産もこっちが貰うという話
それに反対した祖母と喧嘩したらしい。
結果的には裁判という結果で終わってしまった。
お金は母が働いて稼いだお金と父の保険金から生活を。
日がたって行き墓参りに行くと母が俺に手紙を渡した。
ーー千冬「父ちゃんが千冬へって、、」
その中身は遺書のようなものだった。
今までありがとう。ということ、
感謝の気持ち、1番心の染み付いたのは
「生まれてきてくれてありがとう。」
「父ちゃんの息子になってくれて俺は幸せだった」
「父ちゃんいつか結婚式みたいな、千冬の」
「辛いことがあると思うけど、前を向くんだぞ。」
「きっと強く、優しいひとになれるから。」
「千冬は強い。」
「父ちゃんがいない分、母ちゃんを頼んだぞ。」
俺はそこから母ちゃんを守るということを決めた。
しかし、今では守る所か迷惑ばかり書けて、心配ばかり書けている。
今思えば申し訳ないな、、
そんなことを思っていると気配を感じて横を見ると隣にブランコに乗っている人がこちらをずっと見つめていた。
ーー千冬「うわぁっ!?」
ーー武道「驚かせたか?」
ーー千冬「ァ、、う、、うん、、」
コメント
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パピーかっけぇ!!!