コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ええー松原さんまで、そんな言い方ですか~」
真梨奈がますますつまらなさそうな顔になる。
「……整いすぎてて、恐いってことよ。あの先生を見てると、完璧すぎてアンドロイドみたいにも、時々見えるくらいだしね」
女史はそう話して、
「ほら、いつまでもうだうだ言ってないで、近野さんのように、ちゃんと仕事をしなさいよ」
傍らで黙々と事務をこなすアシスタントの近野 さつきさんを一瞥して、軽くおしゃべりを諫めると、
「はーい…」と、真梨奈が間延びした声で答えて、仕方なさそうに患者さんのデータ処理を始めた──。
──このクリニックは完全予約制のため、一人一人の診療時間を40分以上と、かなり長めにとっている。
時には、その時間をオーバーして、話を聞き込むこともあり、
患者さんには概ね好評な上、先生も優しくて美男でと評判はとても高かった。
けれど……、
そう、患者さんには大概受けがいいのだけれど……なぜだか、あの医師の姿を見ていると、完璧な表の顔からは見えない、隠された裏の顔があるような気がしてならなくて、
それが、言い知れない恐さを孕んでいるようにも思えて、私には仕方がなかった……。