始めての書き方
三人称視点(?)で書いてみた。でへ。
二話構成です
※ご本人様とは関係ありません
※nmmn注意
いつも通りの時刻
若井滉斗は今日も、大森元貴の家いる。
いつも通り、“プライベートの元貴”と。
「大丈夫? 元貴、疲れてる…?」
ふいに投げかけた声が、少しだけ空気を和らげた。
でも、元貴からの返事は無い。
ただぼーっと虚空を眺めて、目を細め黙ったまま。
若井は構わず、元貴の隣にそっと腰を下ろした。
なるべく気配を消し、できるだけ柔らかく、静かに。
機嫌を損ねないように、
怒らせないように、
触れないように。
「今日、コンビニで元貴の好きなやつ売ってたよ。メロンのプリン」
「冷蔵庫、入れといたからね」
ようやく、横目で、ちら、と元貴がこちらを見る。
それだけで、若井の胸が、すこしだけふわりと熱を持った。
元貴はすぐに目をそらし、またぼうっと虚空を眺める。
「…それ、前のやつのこと、思い出して買った?」
「え……ううん、ちがう。元貴が最初に“うまい”って言ってたの、覚えてたから」
言葉を選ぶのに、喉がぎこちなくなる。
でも、それでもいい。
怒られなければ、冷たくされなければ、なんでもいい。
「へぇ」
短く、気のない返事。
でも、それすらも、若井にとっては魅力的なものだった。
「ね、あのさ……もし、今週の土曜、空いてたらだけど、出かけない?」
「やだ」
「あ、そっか…。うん、そうだよね……ごめん、変なこと言った」
すぐに謝る。
元貴が嫌がる前に、嫌な空気になる前に、手を打つ。
少しでも穏やかな夜にしたいから。
昔は、こんなじゃなかった。
元貴はもっと笑っていた。
一緒にふざけて、バカな話で笑い転げて、くだらないことに本気になった。
でも、いつからか変わった。
壊れる音も、崩れる瞬間も、ちゃんと聞いていた。
だけど、若井には何もできなかった。
どんどんと崩れていく元貴との関係。
前のような関係に戻れることは、おそらく無い。
それでも、どうしても元貴の隣にいたかった。
こんなに冷たくされても、彼の“好き”を、全部覚えていたくて――
「…ねえ、若井」
「…うん?」
「いつまでそうしてんの」
「、え……?」
「俺の顔色ばっか見て、びくびくして。そうまでして一緒にいたい?」
喉が詰まった。
だけど、言葉を絞り出す。
「だって、好きだから……」
元貴が鼻で笑う。
「へぇ。俺のどこが?」
苛立ちとも蔑みともつかない、酷く苦しそうに滲んだ声。
元貴の心の中の何かが、少し見えた気がした。
「……全部、だよ」
無意識に声が震える。
怖いわけではないのに、元貴を前にすると、どうにもこうなってしまう。
俺の中でも、何かが変わっているのかもしれない。
「……それ、ほんとに“好き”でやってんの?」
低く、息を混ぜたような声で。
元貴が小さく呟いた。
若井は、ぎゅっと拳を握る。
「……うん」
本当だ。
わからなくても、寂しくても、
元貴の隣にいられるなら、それでいい。
「…………」
元貴は 何も言わない。
若井の答えを、肯定もしないし、否定もしない。
でも――数分後、元貴は、若井の方に足を引き寄せた。
冷たい足の甲が、若井の膝にそっと触れる。
元貴は、目も合わないまま、それだけをしてソファに身を預けた。
触れる。 けれど、名前は呼ばない。
視線も向けない。けれど、拒絶もしない。
それが、元貴なりの“答え”だった。
若井はそっと、うなじに目を落とす。
暗がりの中、静かに祈るように呟いた。
「……今日も、そばにいさせてくれてありがとう」
To Be Continued…………
コメント
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んぁぁぁ、、、、 この何とも言えない夜の空気が心地良いです…… 気を使ってでも好きなのか… 切ないなぁ、、、、、
この話だいすきかもしれない 三人称の書き方かっこいい。
新しい感じのお話ですね。 続きの後編がどうなるか予想出来ないので楽しみです。