テラーノベル
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【死とは何か。】
我らは歳をとる事に時間が短く感じてしまう。
それは切なく幼い子供が当たり前に毒を吐くように無邪気で非常だ。歳は増えるのに感じる時間は減っていく
我ら人間はまだ幼く、時間が足りないというのに身体に埋め込まれた時計の針は止まらない
いずれ止まった心拍は、もう動かない
「…っ、、なんで先に君がいくんだよ、、、」
でも死とは、寿命だけではなく事故、他殺、自殺、病気、色んな死が待っている。
そしてその被害にあったのは俺よりいくつか若い後輩でありメンバーの中で最も仲がいいリーダー。
自殺に見せ掛けた他殺、それが般若の死に方だった
有名会社と同じチームを名乗る案件依頼が来たと報告をメンバーLINEに送ったのが始まりで、ミーティングをしてくる。そんなメッセージを添えひとつのビルへのマップが送られた。
そこでミーティングをするのかとおっけーと軽い返事を返した数日後、ミーティングをする日となった
でも、終了予定時間から何時間経っても連絡来ない
いつものように熱心になってるのかと思ったがそれにしては遅く、連絡を何件も送った。数える気にもならないほど送った。
連絡に既読はひとつも付かなかった
そこから日を超えたところでスマホの着信が鳴った
「はんにゃっ、!」
手に取ったスマホを耳に当てると総合病院からの連絡だった内容はグロテスクで、耳に入れたくも無いものだった。
未だ残っている言葉、般若は死んだらしい。
「はっ、、え。なに、、があ、ったんですかっ、!」
息が止まりそうなほど、涙すら出てこないほどの絶望が俺を取り込んでいく。
警察に変わると言われ、変わった後に聞いたのは結論は柵から飛び降りたという話
主犯は案件会社を名乗った愉快犯、外の空気でも吸おうと屋上に出たら後ろから刺されたとの事
その犯人は女性であり、元々ファンの1人だったらしい
リアコ活動をしていて、彼女と勝手に思い込み、振り向いてくれない現実が嫌になったんだと。
腹部を刺されていたらしい。血の引きづられた後に続くの柵の後ろ、地面となるコンクリートに死体があったと聞いた。
飛び降りたのだろう
そんな事があり今がある。
事情メンバー、スタッフチーム、コラボを予定していた人、皆に伝え、葬儀を行った。
その後はメンバーとo-menzを支えてくれている歴の長いスタッフと会いこれからの活動を話し合った上でSNSは事情を後にし無期限休止
一時的にみんな、個人の生活に集中して落ち着いたらまた方針を話そうと結論に至り。今日も俺はバトルが終わったあと般若の墓に来る
「なんで、なんで君はそんなに優しいんだろう」
「どうせ元ファンを犯人にしたくないって自殺に追い込んだんだろう、まだ間に合っていたかもなのに」
「クッソ…そいつが消えればよかったのに、」
零れる涙が墓石に落ち着いていく。何かをする気も起きず飯も飲まず、水分と薬だけの日々
あぁ。アニメのように霊としては現れてくれないのだろうか。
きっと俺は虚ろな目をしている、何もする気が起きないのだから、何にもしてないのだから。バトルに勝った訳でも無くファンに何も話せてないのだから
「あれ。おかめじゃん、奇遇だね」
「っ、阿形…阿形も墓参り?」
「そ。この後きっつんと隈ちゃん来たら練習かな」
「…すごいね。よく出来るなぁ、強いや」
こんな中、立ち直れてないのは俺だけなのだ
ろうか
年下の3人は集まって練習して、それなりに生活して、年上であるはずの自分が嫌で仕方なく、彼らが羨ましい
妬み嫉みから来た嫌味を乗せた言葉を放つ
「練習つっても兄貴がいた時みたいなのはしないけどね。ただただ、今の状況話してルーティンやって解散。体も思うように動かないし?」
そのうち動けなくなって死んじゃうかもなぁ。と辛く笑う顔と言葉が般若の葬儀が頭によぎる
そっか。とだけ口にしてその場を後にしようと足を立たせる
「また会おうね」
その言葉を背に歩いていく
しばらく歩くとそこは自分の家ではない。海だった
別に、死にたいとかそういうんじゃない生きる気も死ぬ気も起きない。
ふと見ると足をつけていた場所はHEROを撮影した海、随分懐かしい場所に歩いていたようだ ヒーローがいれば、こんな俺でも包み込んでくれるのだろうか。ヒーローであれば、救ってくれるのだろうか、答えは否である。
どんな綺麗事も弱音も慰めも。バッサリ切り捨てる言葉も、全て俺の後輩が送ってくれたんだから
俺にとってのヒーローは死んだんだから
「…練習行こうかな。グルラに場所は載ってるし」
いつの間にか何件も溜まったオーメンズLINEグループ
管理者の般若はそのままで、グループ以外にも初代メンバーからも来ていた。内容はまぁありけりな内容だ
般若の事を聞いたと、その報告が主となるもの、通知だけは見たがそれ以降名前を見ようともしない
今は必要ないから。
何日かと時間が経ち練習の日がやってきた
時間だけ見てその場に重くなり何キロあるか分からない足を引きずりスタジオへと足を運ぶ
ドアを開けた時皆が驚いた顔をして、隈取が俺の名前を疑問符で呼ぶ
「おかめ…??」
「えっ!来てくれたんですかっ!?」
「がち、?よかった…」
「んー、たまにはね。」
暖かく言葉を投げる彼らに冷たくなった言葉を告げる
その後は練習などせずにおれをただただ慰める会が始まった。ありがとうや作り笑いを浮かべたが上手く笑えてたか、よく分からない。
正直、気付いたら家の床にいた
あぁ、やっぱり乗り越えれないや。苦しいや。
こんな温もりを前にしてもやっぱり死にたいなぁ
「どーせなら、おかめとして」
死んでしまおうか。もう、どうせなら面をつけて、配信をして、屋上から飛び降りようか。
あぁ。そうしよう、
気付いた時には屋上間近の階段に居た。
旧Twitterでの告知ツイートは適当に打った内容
“今日全部話します切り抜きもぜひしておいてね♪きっとおかめの最後の配信です😌”
そうツイートをしたら瞬く間に何件もののいいねがつく
きっと俺は。もう死んだも同然、生きる屍であるのだから。彼の笑顔も、泣き顔も、怒った顔も、声も、足取りも、もうほぼ何も覚えてない
ただ、口調や踊りだけが染み付いて。
もう、全て頭から消えいるのだからどうでもいい事だけど。
考えながら覚えている限り操作をして面をつけLIVE開始ボタンをつける
「こぉんばんはー。balanceofo-menzおかめです今日はお外で配信してるよー」
いつものテンションで声を出す。何気ない雑談を挟み人が集まり同時視聴が2000を突破した所でリーダーの話をし始める
コメントでは絶望を発するコメントもあった。日常と本垢の名目も見えてきっと、隈取や阿形、狐だろう
そうして流し見していると、██████が参加しましたと、そんな文字が見えるなんとなくだが、きっと彼の名だろう
あぁ。来てくれたんだね。俺の最後救済をしに。やっぱアニメみたいな事してくるね。
もう、いいよ君の所へいくから
「で、最後の配信ってのはね〜〜」
ここで消えるから。
そう放つとコメントが嵐のように流れていく
困惑や、そんなこと彼は望んでないという
でもそんなのどうでも良くて、ここでかまちょして死にたくて。
かまってちゃんだけして死にたくて。
その、○○推し、それが最後の逃げだと。彼の名前が入ったアカウント名が、俺の背中を押した言葉だと、それだけだ。
「今までありがとー!」
柵に乗りいつもの、おやすみボイスをとだけ思い
おやすみ。そう言って重力に従い始める
背中にでかい衝撃が落ちた頃。俺は赤い液体を垂らしながら眠りにつく。
そこで俺は久々に
生を感じた。
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