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春菜は学校帰りに、少し遅くなった帰り道を歩いていた。今日は美咲に、少しだけ時間を取って話したいことがあったけれど、美咲は智也と一緒に帰ると言っていたため、結局一人で帰ることになった。春菜の心は、次第に複雑な思いでいっぱいになっていた。
いつもなら、智也と美咲が一緒にいることに対して、心の中で喜びを感じていた。しかし、最近になって、春菜はその気持ちがどんどん変わっていくことに気づき始めていた。美咲のことは大切な親友だし、智也のことも嫌いではなかった。でも、智也が美咲と一緒にいる姿を見ているうちに、どうしても心の中で、抑えきれない何かが芽生えてしまった。
そのとき、ふと前方に智也の姿が見えた。彼は一人で歩いていて、何か考え込んだような表情をしていた。春菜は一瞬、足を止めたが、すぐに踏み出した。「智也くん、こんなところで何してるの?」春菜は、少しだけ勇気を出して声をかけた。
智也は驚いたように振り向き、春菜を見て少しだけ微笑んだ。「あ、春菜か。なんだか考え事をしてたんだ。」
「考え事?」春菜は彼の顔をじっと見つめた。「何か悩んでるの?」
智也は少し黙った後、やっと口を開いた。「美咲と一緒にいる時、なんだか変な気持ちになるんだ。嬉しい反面、なぜか心の中で少し寂しさを感じることがあるんだ。」
春菜はその言葉に驚き、心の中で小さな衝撃を受けた。智也が美咲との関係について悩んでいるなんて、思いもしなかった。
「でも、どうして悩んでるの?」春菜は思わず口にした。
智也は少し遠くを見つめながら答えた。「美咲は俺にとって大切な友達だから、彼女と一緒にいると、俺も本当に幸せなんだ。でも、他の誰かとの関係が少し複雑に感じる時があって…。それって、何か違うんじゃないかって思うんだ。」
その瞬間、春菜は心の中で不安な気持ちが湧き上がった。智也が何かを隠しているのか、あるいは自分の中で何か葛藤しているのか、春菜はそれを感じ取った。彼の気持ちが、美咲に対する友情以上の何かがあることを、少しだけ疑い始めていた。
「智也くん、私…」春菜は、口を開く前に少し考えた。彼の目を見つめると、なんだか言葉が胸に詰まっていった。
「春菜、もしかして、俺が変なこと言った?」智也が心配そうに聞いてきた。
春菜はその質問に少し驚いたが、すぐに気を取り直して言った。「ううん、そんなことない。ただ…智也くんが美咲と一緒にいるのを見るたび、私もなんだか複雑な気持ちになるんだ。」春菜の声は少し震えていたが、彼女はその気持ちを素直に打ち明けた。
智也は静かに春菜を見つめ、少し考えるように口を開いた。「そうか…。でも、春菜がそう感じるのは無理ないよな。でも、俺はただ、美咲が幸せでいてほしいと思ってるだけなんだ。」
春菜はその言葉を聞いて、心の中で不安が少し和らいだ。しかし、次第に彼女の胸の中には新たな疑問が湧き上がってきた。「智也くん、どうして私にそんなに優しくしてくれるの?」春菜はその問いを自分に向けてみた。
智也は一瞬、黙ってから、少し照れくさい笑みを浮かべながら答えた。「春菜、俺はただ…君がすごく大事な友達だからだよ。君が辛そうな時、何かできることがあったらと思うし、君の笑顔が見たいから、ついつい気を使っちゃうんだ。」
その言葉に、春菜は一瞬動揺した。しかし、心の中で、智也の優しさが少しずつ自分を包み込んでいくのを感じた。「やっぱり、智也くんって、すごく優しい人だよね。」春菜は心の中で呟いた。
そして、春菜は自分でも気づかなかった感情に気づき始めた。智也に対する好感が、ただの友情以上のものに変わっていることを、徐々に実感していた。しかし、その気持ちをどう処理すべきなのか、春菜はまだ答えを出せなかった。
智也の優しさに気づいた春菜の心は、複雑な思いで満たされ、次第にその感情に引き寄せられていった。彼女はどんな結末が待っているのか、まだ予感すらできなかった。