考査勉強の合間に書いたやつ、特になんのメッセージ性もないゆるゆる〜なお話。なんとなくで読んでネ🫠
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楽しそうにはしゃぐ声。鼻の奥を懐かしい匂いが掠めた。隣で歩く西を見ると学生時代を思い出して、少しの切なさと、あのころは夢にも見たこの状況に胸がいっぱいになって、気づけば繋いだ手を離して抱き寄せていた。
「わっ、りほ、いきなりどうしたの」
「んー、あの子たちみたら学生の時思い出してさ、今も一緒にいれるの、幸せだなあって、思っちゃって」
「うそ、私も今それ考えてた」
かわいい顔がほころんで、再び歩き出したかと思えば、家とは違う方向へ歩いて行こうとする西。
「にし?どこいくの」
「花火、うちらもしようよ」
楽しそうに花火をする学生をみて、西もやりたくなってしまったらしい。いい大人が花火なんて、と思いながらも本当は少し嬉しくて、つい足取りが軽快になってしまう。
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まずはスタンダードなやつから。
手に触れるサラッとした紙の感覚。小さい頃はこの棒がもっと大きく見えていたのに。
わざわざ携帯を近くのベンチに置きに行った西が戻ってきて、はじめよ、とロウソクに火を灯す。
「なんで携帯置いてきたの?写真いいの?」
「写真を撮れば撮るほど記憶が薄れちゃうんだって、なんとか効果、みたいなやつ」
「へぇ、、、」
西は時々、どこで聞いてきたのかこんな豆知識を披露してくることがある。大体内容は曖昧で、なのに自慢げに話してくるこの感じは、小さい頃から変わらない。
色とりどりの花火をとっては火をつけて、消えたらまた1本取る。子供のようにはしゃぐ西が可愛くて、ずっと見ていたくて、虹色の光が途切れる度、終わりが近づいていくのが寂しかった。
「4本あるから、2回できるね、それとも両手で持つ?」
最後にふさわしい線香花火を前にそんな事を自慢げに言い出したので、勿体無いから一本づつにしよう、と声をかけた。
2人でしゃがんで向かい合って、真ん中の蝋燭に線香花火を近づけようとした時、
「あ、まって、!」
良いことを思いついて慌てて西の手を阻止する。
「んー?なに、やっぱり2本持ってやりたい?」
「いや、そうじゃなくてさ」
「なになに、りほちゃんどうしたの?」
言葉を詰まらせた私を覗き込む西に分かりやすく照れてしまって、暗くてよかったと胸を撫で下ろす。
「どっちかの線香花火が落ちるまで、秘密を打ち明けるってやつ、前漫画で読んだ、」
「いいじゃん、なんかロマンチックで!やろうよ!」
まずは西から。花火の先に火がついて、数秒たつとツンとした香りが鼻腔を刺激して、パチパチと火花が散り始める。
「じゃあにし、ひみつ、教えて?」
「うーん、えっとねぇ、」
「うん、」
「私、りほのこと、、、りほが告白してくれたよりずっとずっと前から好きだったんだよ、、二十歳になる前ぐらいから、ずっと」
想像よりずっと、幸せな秘密の暴露。もう少し、この時間を堪能したい。まだ、落ちないでいてほしい。
花火の先で光の蕾が膨らんで、今にも弾けて落ちてしまいそう。
弱い風が頬を撫でて、それと一緒に光は地面に落ちて消えた。
「にし、、、かわいい、しらなかったよ、そんなの」
「だって言ってないもんね、はい、次りほちゃん」
うきうきしながら新しい一本を差し出してきた西には申し訳ないけど、正直秘密をばらす勇気がない。はずかしい、だけなんだけど。
「秘密思いつかないなあ、今度にとっておかない?とっておきの秘密が見つかった時にさ」
「なんだよ〜、りほから提案したくせに、」
「ごめんって」
「いいよ、その代わりすごい秘密じゃなきゃ許さないからな!」
ほんとうは準備していたとっておきの秘密はもう一度心の中にしまって、西の言葉に頷く。
どうやって伝えようか。言えるはずもない。
私は西が、初恋の相手だなんて。
コメント
12件
500いいねにさせてもらったゾ!!最近1番にはなれてないけど、いいねで稼いでマッスル💪最高だぁぁぁぁぁ!
こーゆー話大好きすぎる!
続きあったら見たいです!