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魔力の暴走を起こしたドット、それを沈めるアイリスの話
これは……ある夜の話…
アイリス)スゥ…スゥ…
この日は確か……すっごい綺麗な星空だったような…
綺麗な満月だった……確か…ストロベリームーン……だったかな
そう、そんな日に…
と…激しい爆発音とともに悲鳴が辺りに響いた
アイリス)!?
とてつもない悲鳴と爆発音で跳ね起き寝ぼけた頭で窓を開け外に飛び出す
アイリス)ねっむ…(寝みぃけど……放置していい魔力量を感じない…)
目を擦りながら爆発音がした場所へ向かうと赤髪の……ドットが居た
アイリス)ドット…?(あいつからか…魔力がちょー漏れてんの…)
目を凝らして見るとドットが一方的に暴れている図しか分からなかった
アイリス)ふむ…とりあえず…半殺し程度にいたぶるか
ドットに近付こうとしたらいきなり火球が私を狙って飛んで来た
アイリス)うぉっ……な、なんじゃ!?
キョトンとしてるとドットの周りには数多くの火球が出ておりそこから攻撃をしてる様だった
アイリス)めんど…魔力使えなくさせたら大人しくなるかな……
渋々…瞳の色を変え近づくとドットの周りあった火球は消えドットもその場に倒れ込んだ
アイリス)……まさか…
うつ伏せに倒れたドットを起こしいつもしているヘアバンドがないことに気付き前髪をかき分けるとそこには十字の痣があった
アイリス)……そういう事か…
その額の痣には見覚えがあった…
アイリス)イーラ・クロイツ……確か、魔力持ちの中では特殊でその特殊さから「戒め」の意味を込められ十字の痣を……とか何とか……だっけ…
イーラ・クロイツ…感情が昂りすぎるとセーブしていた魔力が一気に解放される…だが、感情以外にも魔力が開放される時がある……それは
アイリス)ストロベリームーン…か……
ストロベリームーンはとある昔の言い伝え……そして、密かに今でも伝えられている言葉がある……それは
アイリス)「魔力の解放」…自分の意思に反し勝手に解放され…体は魔力に支配をされ魔力が尽きるまで暴れる……ドットからは微かに魔力をセーブしてる気配を感じていたが……まさかこの痣のせいだとは…
滅茶苦茶になった部屋を治しザワザワとしている生徒達には「私の魔力の軽い暴走だ、騒がしくしたな」とだけ伝えて部屋に戻した
ドットの部屋
アイリス)さてと……ストロベリームーンの間はこの目の維持か…きついな……
寝ているドットの頭を撫で下手に離れてまた暴れられるのも困る為全員には急遽だがドットのことを軽く伝え部屋に泊まることにした
アイリス)……戒め…か
「私はこの子の罪を背負えなかったのか…」なんて考えているとドットが目を覚ました
アイリス)……(魔力は…いつも通り……とまでは行かないが多少は落ち着いてるな…)
ドット)あ、あのぉ……
アイリス)私が居る理由を簡潔に述べよ
ドット)え”ーっと…ぼ、暴走しました……
アイリス)何故早く言わなかった
ドット)いや…言うもんじゃないなぁ……と…それに、勝手に暴走したの今日が初めてだしよ……
アイリス)ストロベリームーン……今日は魔法使いにとっちゃ最高だがお前達イーラ・クロイツの奴らにとっちゃ最悪の夜だ
ドット)ストロベリームーン……?なんじゃそりゃ
アイリス)簡単に言えば魔力が1夜だけ増幅する日の事だ、ほら月が赤いだろ
窓から指を指すとドットは指された方を見て「うぉ!?マジだすげぇ!」なんて呑気なことを……こいつの将来があたしは心配だよ…
アイリス)月と赤は結構密接な関係だ、魔力関係にな
ドット)その密接な関係同士が混ざり合うと大変になると……
アイリス)そう、正しく今のお前がな
ドット)へぇ〜…ん?でも俺今まで一回もなったことねぇぞ?
アイリス)そりゃそうだろ、ストロベリームーンは色んな条件の元でなるんだ
ドット)だからならなかったのか…
アイリス)そういう事、普通の人間の寿命だとストロベリームーンに会う確率はかなり低いわよ、おかげでストロベリームーンで魔力の増幅云々の話が上手く伝わってないの
ドット)へぇ〜
アイリス)んで…なんで黙ってた?イーラ・クロイツの事
本題に話を戻したらドットは顔をひきつらせた
アイリス)……確かイーラ・クロイツの奴らは感情の起伏で魔力が大幅に増幅するから人間関係に相当悩んだとか……って、聞いたことあったな……まさか、それがあるから話さなかったのか?
ドットの顔を覗くとバツの悪そうな顔をして目を逸らした
アイリス)……当たり…か、まぁ私もほぼ同じだったけどな〜魔力があればあるだけ私は生きる……お陰でもう何年も人生やってる人生の大大大先輩よ笑
ドット)……同じ…?
アイリス)そうよ、私は魔力が尽きなければずっと生きる人間、そのせいで仲のいい子が出来ても何十年後にはその子はいなくなる……そんな生活をずっと繰り返してきてね……いやぁ、アイツらすげぇよほんと笑だって自分の友人が死んでも私のそばに居ようとするんだぜ?笑
笑いながらドットの部屋にあった紅茶を勝手に物色して勝手に淹れ、ドットに出す
アイリス)あいつらに会う前まではな、普通の人と関わるのは嫌だったんだよ、すげぇ怖くてさすぐ独りになるしさ……ほんっと、ただの苦痛だったよ、でも今じゃ全く怖かねぇんだよ、アイツらがそばに居るからよ
アイリス)魔力関係の事なら私にぜーんぶ話しちまえよ笑魔力の抑制位なら何とかさせてやれるからよ笑
紅茶を飲みながらドットは少し頷き「助けてくれるのか……?」と少し不安そうな顔をした
アイリス)バーカ笑あたしは助ける助けないよりもそんな「呪い」を抑制するだけだよ笑そうだなぁ……ストロベリームーンが今日来たってことはお前が死ぬまでは来ないだろうし……魔力解放の基準を上げたら爆上げしたら良くなるかしら
ティーカップを置いてドットの胸に手を置く
アイリス)良いか、今から魔力解放の基準を上げる方法を教えてやる、そこまで無茶なことはないが……まぁ、結構気張るな笑
ドット)??
アイリス)簡単に言ってやるが実際にやるのはキツイって事だ
ドット)え、俺死なないよね?
アイリス)安心しろ、死ぬこたぁねぇ……ただ…チョー疲れるからガンバ!
ドット)はぁ!?
アイリス)おっしゃ始めっぞ〜
ドット)待て待て待て待て!
アイリス)あんだよ…
ドット)やり方は!?方法は!?
アイリス)んぁ?あ〜……まぁ、簡単に言えば解放された魔力に慣れる……ただそれだけだ、自分の意思を強く持って「俺は俺」そう思っときゃいい
ドット)んなっ……それゼッテェキツイどころの話じゃねぇだろ!
暴れ回るドットを組み敷き「別にお前がこのままでいいなら別に放置するけど?」と、言うとドットは苦虫を噛み潰したような顔をした
アイリス)黙秘はイエスと捉えるけど?
ドット)…お前なら別に平気か……
アイリス)私がお前ごときに負けるわけねぇだろ
ドット)すっげぇ安心出来る言葉第1位だわ笑
アイリス)なら良かったわ、早速始めるけど……色々平気そ?
ドット)平気だけどよ…封印?とか、そういうのって出来ねぇのかよ
アイリス)普通の魔力なら可能だけどお前達イーラ・クロイツの場合は封印しても感情の起伏で直ぐに印が解けちまうんだよ
ドットの上着を全て脱がせ胸に手を当てる
アイリス)ちなみに、封印がお望みならお前一生魔力使えなくなるけど……どっちがいいよ
ドット)ぜんっぜん……前者選ぶわ
アイリス)言うと思ったわ笑
手に力を込め魔力を徐々に流し込みドットの本来の魔力を解放させていく
アイリス)ドット、お前はお前だ、魔力に操られるべき人間じゃない、この言葉を頭に叩き込め、従わねぇ魔力は「俺が死んだあとに大人しく操られてやる」とでもなんとでも言っておけ
ドット)お、おう……(も、もう目の前がクラクラしてきた……)
アイリス)意識を保て、お前が今見てるのは魔力が操ろうとしている視界だ、お前が今まで見てきた世界はもっと鮮やかだっただろ、ちゃんと見ろ
徐々に流し込む魔力を増やすとドットの口から歯ぎしりをする音と魔力が抵抗を始め呼吸を止めようとしてもがき苦しむドットの呼吸
アイリス)まだまだ行くぞ〜、だーじょーぶだからな、お前が暴走してもすぐに停めてやるからよ
朝方
アイリス)やっと終わったな
ドット)ゼェ…ハァ…ゼェ…ハァ……
アイリス)魔力の基準上げおめでとう、これで少しは感情的になっても多少はマシになったからな
ドットはベッドに沈み込みグッタリしている
アイリス)ちなみに、これからは多少は魔力が解放されても扱えるがまだ無理な所は有るからな、そこんとこ気を付けろよ
ドット)ま、まだ……あるのかよ…
アイリス)当たり前だろ、その痣を完全に従えるのにはまだ時間が掛かるからな、もしまたやるなら私を呼べよ、自分一人でも一応はできるが……まぁ、おすすめはしないな
ドット)あ、あんなの……ひとりで…やれるわけ……ねぇ、だろ……
アイリス)お前は無茶をするから言ってんだ、人は皆「慣れてるから」なんて言葉を簡単に吐くがその「慣れ」は慣れの本質を見抜いてない話だ
ドットの部屋の窓を全て開けタバコに火をつける
アイリス)本当の慣れはな、「同じ失敗をしない、繰り返さない」って意味だ、「慣れ」の本質を見抜いてないやつの言葉は「平気」「やってるから」なんて「確証もなく不安定な慣れ」だ
ドットは多少身体が良くなったのか体を起こして冷えきった紅茶を少し飲み私の話を黙って聞いていた
我ながら老人臭く長い話をしたが……まぁ、それでも結構黙って聞いていた方だな
律儀だなぁ…とか思いながら「お前はホント…そういう部分じゃすげぇと思うけどな」と口にした
ドットは目を丸くさせ驚いていたが……多分、言葉の意味をわかったのだろう
アイリス)さて、解放の基準を上げたし私はこれで帰ろうかしら
ドット)もう帰んのか?
アイリス)当たり前でしょ
ベッドから立ち上がり「今日は休むこと、ていうか動けないから気を付けるんだよ」と言い残し帰ろうとしたら「なぁ」と言って部屋から出ていくのを止められた
アイリス)……まだ話したい事があんの?
少し……嫌な予感がした、声のトーンが心做しか下がったからだ
ドットはしばらく口を閉じていたが一呼吸置いて私にこう質問を投げかけた
ドット)……俺ら魔法使いはどうやって生まれてきた?ストロベリームーンは普通の超常現象なのか?
と……
私は正直…いや、かなり聞かれたくなかった
今まではナァナァに質問を返していた……だから、今回も「さぁ〜?私そこまで長生きじゃねぇし」と返したら「嘘だろ、お前はイーラ・クロイツの事を知っていた、それだけで結構な証拠だ」と……物凄い責めたててきた
観念した私は「……分かった、話してやる…だが、聴くことはオススメしないし「聞かなかった方が良かった」なんて思うかも知んない、それでもいいのか?」と言うとドットは「気になるだけだ」と……
正直乗り気じゃなかった、御歳103歳なんて言ってるが本当はそれよりももっと長生きだし……魔法使いの祖なんて話は何回も聞いて来たから話そうと思えば話せる……でも、何がなんでも話したくなかった……
アイリス)……後悔するなよ
ドット)??もちろんだ!
アイリス)これは結構前の話だ、魔力と魔法使いの起源の話だ
ドット)魔力……も?
アイリス)あぁ、これは「ある1人」の……いや、「とある家族が消えかけた話」だ