日曜の昼。まなみのスマホに、そらとの友達から連絡が入った。
「おい、そらと今日ゼミ来てねぇけど風邪っぽいぞ。
部屋でぶっ倒れてるかもしれんけん、ちょっと様子見てやれ」
それを見た瞬間、まなみは心配になって、そらとの家へ向かった。
「そらとー?大丈夫なん?」
ドアをノックして声をかけると、しばらくしてガチャリと鍵が開いた。
出てきたそらとは、顔が赤くて目がとろんとしている。
「……まなみ?」
「うん。来たよ」
「なんで来たん」
「だって友達から聞いたんよ。風邪やろ?」
「……ほっとけや」
「ほっとけるわけないけん」
強がるそらとの額に、手を伸ばしてそっと触れる。
熱い。かなり高い。
「ちょ、なに触っとん」
「熱あるやん!ベッド行こ、はい、早よ」
「おれ一人で大丈夫やけん」
「うちが大丈夫やないんよ。心配でたまらん」
そらとは反論しようとしたけど、力が入らないみたいで、
結局ふらふらとベッドに腰を下ろした。
「お粥作るけん、台所借りるよ」
「勝手にせえ」
「もう、素直やないんやから」
そう言ってまなみは冷蔵庫を漁り、お粥を作り始めた。
部屋からは、そらとの咳が聞こえてくる。
30分後、まなみはお盆を持って戻ってきた。
「できたよー。はい、食べよ」
「おれ、食欲ない」
「食べんと治らんけん」
「まなみ、母ちゃんかよ」
「母ちゃんじゃないけど、お世話係やけんね」
口をとがらせてスプーンを差し出すと、
そらとは諦めたようにため息をついた。
「……ん」
「はい、あーん」
「……おれ、自分で食えるっちゃけど」
「うちは食べさせたいんよ」
「……っ」
そらとは顔を赤くしたまま、しぶしぶ口を開いた。
「うま……」
「でしょー?愛情たっぷりけん」
「愛情って……」
「ん?なに?」
「なんでもない」
そらとは顔を横に向けたけど、耳まで赤い。
それに気づいたまなみは、にやっと笑って近づいた。
「照れとる?」
「照れとらん」
「ほんとにぃ?」
「……お前、そういうとこ、ほんまたち悪い」
「なんでぇ?」
「無自覚すぎるけん」
そらとは枕に顔を埋めて、低い声で呟いた。
それがなんだかくすぐったくて、まなみは自然と笑顔になる。
「ほら、熱下がるまでうちがおるけん」
「……帰らんでええん?」
「帰らんよ」
「……そうか」
目を閉じながら、そらとは小さく微笑んだ。
いつも強気なそらとの、こんな無防備な顔は初めてだった。
胸が、きゅっとなった。
コメント
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クラゲちゃーん!助けて〜! 新しいのが見れない(இωஇ`。) ページが見つかりませんって なるのどうしたらいいの〜?
そらとくん大丈夫かな? まなみちゃん優しい〜!