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時刻は夜10時。そらとの熱はなかなか下がらず、ベッドの上でぐったりしていた。
「そらと、水分ちゃんと飲んどる?」
「……ん。飲んだ」
「汗かいたやろ、着替える?」
「めんどい」
「めんどくないけん、はい、起きて」
そらとは渋々上体を起こし、パジャマを脱ごうとしてふらっと倒れそうになる。
慌てて支えたまなみの肩に、そらとの重みがかかった。
「だ、だいじょぶ……?」
「……なんか、力入らん」
「もう、ほんま子どもやん」
「……うるさい」
そう言いながらも、そらとは小さく息を吐いてまなみにもたれかかる。
いつも強気なのに、こうやって素直に甘えてくるなんて珍しい。
「……そばにおって」
「えっ」
「なんか……お前おらんと、寝れん」
「……」
反則すぎる。
胸がドクンと跳ねて、まなみは息をのんだ。
「いいけん、ここ」
布団をポンポンと叩かれて、言われるがままにベッドに腰を下ろす。
するとそらとは、まなみの手をぎゅっと握り、そのまま顔を近づけてきた。
「そ、そらと……?」
「……ん」
ふわりと唇が触れた。
一瞬だけ、軽く、熱に浮かされたようなキス。
まなみの頭は真っ白になって、心臓が暴れそうになる。
そらとはそのまままなみの肩に顔を埋めて、小さな声でつぶやいた。
「……ありがと。お前おってよかった」
そのまま眠りに落ちたそらとの寝息を聞きながら、まなみはしばらく動けなかった。
翌朝
カーテンの隙間から差し込む朝日。
そらとが目を覚ますと、隣のまなみがぐったりと布団に潜り込んでいた。
「……おい、まなみ?」
「んぅ……」
「顔、赤……」
慌てて額に手を当てると、熱い。
完全に風邪をもらってしまっていた。
「はぁ……お前、なんで俺に移されるん」
「だってぇ……そらとが、近かったんやもん……」
「っ……!」
昨夜の記憶が一気によみがえり、そらとは耳まで真っ赤になった。
「お、おれ……そんなことしたん?」
「したよ」
「……ごめん」
「べつに、ええよ」
「……っ。ほんまお前、ずるいわ」
そらとは布団をかけ直して、濡れタオルでまなみの額を冷やした。
その優しさに、熱でぼんやりしながらもまなみは微笑む。
「ねぇ、そらと」
「ん?」
「次は……うちのそばにおって、?」
「……あほ」
「へへ……」
そらとはタオルを取り替えながら、低く呟いた。
「……もう、離れんなよ」